muttenz's blog

スイス星空だより

WDwintでモデル解析 続き

一応手動式で昨日はかなり良いパラメタが得られたので、モードをDCモードに変えてパラメタの組、q-i(質量比と傾斜角)やT2-omega1(第二星の温度と第一星のポテンシャル)の組み合わせでDifferencial Correctionというパラメタの改善をやらせてみました。なんどやってもエラーが出てこれまた困ったのですが、フォルダにできていたDCOファイルを一旦削除したりしていたら突然エラーがでなくなって改良されたパラメタが出ました。それらをアップデートして計算した位相図と観測からの位相図を描かせたらこんな具合。

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なんとひどくなってしまった。がっくり!改善(?)前の方が良かったです。

WDwintでモデル解析 続き

昨日の続きをやってみたのですが、ポテンシャルの値を変えたくてもmodeをovercontactedにしてあるとできないので、そこが間違っているようです。そこでsemidetachedにしたらパラメタの自由度が増えました。まだ手動でやっている段階ですが、こんな具合。OphV931のデータです。

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見たところ昨日と大差ないか?!

いろんなパラメタはこんな具合。

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どのパラメタを変えるとプロットのどこが変わるのか、まだ良くわかっていない。先は長いし奥はすご~く深そう!まあ一歩一歩進んでいきましょう。

いつだったか食変光星のパラメタ、特に皆既食のある食変光星のパラメタを求めるのにMCMC法を使ったと思いますが、あんな風にこの場合もできないのでしょうか?ただパラメタの数がこっちは本当にボウダイなので計算もすごい量になるでしょうね!

Ngaさんなんかはこういうのをぱぱっと出来るのでしょうか?

WDwintでモデル解析を初めてやってみた

周期解析はだいぶ慣れてきたので、そろそろ新しいこともやってみたいと思っています。以前から食変光星のモデル解析がやってみたかったのでPoebeをダウンロードして少し試みたのですが、さあどこからはじめたら良いのかわからない。

大島さんがまずWDwintで始めると良いと書いておられたので早速こちらもダウンロードしてやってみました。

まずつっかえたのはソフトを開いて、用意した観測データのCSVファイルは全く無関係にパラメタをいろいろ入れていくところです。てっきりまずCSVファイルを読み込ませると思い込み、Load LCI fileをなんどやっても読んでくれないので一旦諦めました。しかしもう一度よーく説明を読んだらとにかくパラメタをどんどん決めてと、書いてある。そうかーと、そのとおりやってようやく先に進みました。

とりあえずたどり着いたのがこんな具合。まだ手動で決めた段階です。昨年観測から周期を見つけたV931 Ophです。

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多色測光していないので、あまり正確な細かい数値が得られるとは期待していません。とにかく初めてやってみて大変だけどとても面白いです。

AstroImageJ フリーの測光ソフト

今朝たまたま久しぶりにAAVSOのホームページに行ったら、Forumの記事のタイトルに「高精度の差測光の最高のソフトは?」という質問があるのを見ました。

https://www.aavso.org/content/best-software-very-accurate-differential-photometry-work

それに対し、Arne Hendenがどの測光ソフトでもいまなら質は悪くない、むしろ観測方法を工夫して良いデータを得るのが大切だとまず答えていました。そう、そのとおりですね!

それでもソフトに関してAIP4Winがいいという人もいれば、MuniWinが良いという人もいたりしました。中で、AstroImageJが最高だという人がいたので、これはなんだろうと見てみました。

このサイトで説明やらダウンロードがあります。フリーソフトでオープンソースです。

http://www.astro.louisville.edu/software/astroimagej/

まだ説明書片手に試しをやっているところですが、なかなか良さそうです。

もともとはImageJという主に生物学のために作られた画像解析ソフトがあってそれに天文向けのプラグインを作ったらしく、ぐぐってみるとImageJについてはいっぱいでてきます。

何が出来るかは上記のサイトで読んで頂きたいですが、例えば大きなアパーチャを取ってバックグラウンドを測定する場合に他の星が入ってもそれを取り除いてくれたり、望遠鏡の反転前後で値がずれるのを補正することができたりするようです。ただ、そのわりには反転した後のフレームをそれまでの星の選択位置ではどの星が変光星なのか見つけられないようで反転したところで測光が止まってしまいます。どうすればこれを避けられるのかはまだ解っていません。

特にこのソフトはExoplanetを見つけるのに考えられたようで、それなりの高精度が期待できそう。JDをHJDに変換するのはもちろん、BJDに変換もできるようです。Dynamical Timeまであります。

測光結果がどんな表の形で出力されるのかはまだ見ていません。でも測光した途端にものすごい量のデータがアウトプットされます!(それを減らした表にすることも簡単にできますが。)

下はOQ Gemの測光をやり始めるところです。選んだ星がsaturateすると赤の印がでたり、リニアリティの限度近いと黄色の印がでたりもします。(その敷居値は自分で設定できる。)とにかく色々便利に考えられていて、大体は直感的に扱えそうです。

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あ、これはJAVAで動いているのでLinux Mac Windowsどれでも動かせるそうです。

僕はWindows 7 で64bitで動かしています。ヴァージョンは最新の3.2.0.。

どなたかもう経験がおありでしたらお教えください。

今気がついたのですが、AIP4WINはタダでダウンロード出来るんですね!

随分ライセンスを取るのにめんどくさいことをさせられ、その上、最大3台のコンピューターにしかインストールできないと脅されていたのに。

 

StarLight Pro の W UMaがおかしい?

Ngaさんが紹介しておられたStarLight Proをインストールしていろいろ眺めています。

かの有名なW UMaを見たら変です。ライトカーブもおかしいし、表示される二つの星の形状、距離、光度が全部おかしい。なんか別の星のデータが入っているのではないかと言う気がします。

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星の名前を、何処かアルファベット順にでも並んでいる中から選べるかとメニューを探しましたがなさそう。どなたかご存知ですか?

仕方ないので星の名前全部と番号をexcelに打ち込んで索引を作ってみました。

 

周期がわかっていない食変光星BU CMi

Ngaさんがいつだったかブログに載せてくださった、「周期のない食変光星」のリストで、今、あるいは間もなくシーズンとなる星を選んで調査しています。それでKO GemだのOQ Gemを調べたり観測したわけです。

これからの観測しやすい星座としてしし座や乙女座などがあるのですが、順番でおおいぬ座やこいぬ座もその前にあります。

小犬座でBU CMiというのがあります。VSXに元期も周期もありません。6等台と明るいのです。TYCHOが見つけたらしいです。6等ならばKWSで精度の良いデータがあると思い、ダウンロードしてPDM解析しました。KWSのV、Icデータで共に同じくらいの周期が出てきまして、それで位相図を作りました。

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第二極小らしいのがあり、しかもフェーズ0.5から外れています。これは面白いと思いました。

念のためにKrakowに行きましたがこの星は予報のリストには載っていません。次にO-C GatewayにいったらPaschkeさんがASASのデータから出した極小時刻と、Oglozaという人が観測した極小時刻が載っていて、周期は0.996..なんとかというのが書かれています。0.996..は要するに一日を仮に周期としているようです。

次にGCVSに行ったら、なんと元期と周期が載っているではないですか!VSXには星の位置などは2009年のGCVSに従って改訂、などと書かれているのに、元期と周期は採用していないのです。なぜだろう?

とにかくGCVSの元期と周期で位相図を作ってみました。

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極小のフェーズがずれたものの、極小は第一極小も第二極小もグチャグチャにならず見られます!そればかりか元期を最初の位相図のと同じのを使うと最初の位相図そっくりのができます。びっくりしました。

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GCVSの要素を使うとPDMの解析しても見られる位相図を作れなかったASASデータでもこんな位相図ができます。

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かなり本物くさいです。この要素をどうしてVSXが採用しなかったのだろうか。それからどうしてこの星が周期不明のリストに載っているのだろうか?

GCVSの周期と僕の見つけた周期とどちらがあっているのだろうか?

セバスチャンが前にくれた注意書きにはASASデータは7等以上では信頼できる、それ以下は明るすぎるとあったのですが。よくわかりません。実際に観測で確かめるほかはないのでしょうか?

KO Gemの三回の極小

1月26日と2月12日にmei/nekoさんが、2月26日に僕が極小を観測し、計3回の主極小時刻が得られました。

7779.928255(207)  7797.088315(625) 7811.390002(198)

これを使ってpfindで1日から10日の範囲で周期を探させました。

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群を抜いて2.86015日が周期として出ました。

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残差もせいぜい48秒くらいです。

3回、それも少し離れ離れのデータで確実な周期が出せました。

もちろん2回ではどう頑張っても1つの周期を出すことはできませんね。

いよいよVSXに報告の準備をしています。できた位相図です。

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ここで使った周期は、SWASPの食のデータが0.0の軸にほぼ対称に並ぶような周期を選びました。ホフマイスターの唯一の極小観測データはそうするとかなり右に外れます。周期が少し変化したのかもしれません。

mei/nekoさん、mdyさんどうもありがとうございました!おかげさまで良い結果を出すことができました。mdyさんのデータをよく見るとまだフェーズ0.5のすこーし前から始まっています。

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こうやって準備して先程セバスチャンにメールで意見を訪ねたらすぐに返事が来ました。いま休暇中で3月6日に戻ってくるという自動の返事でした!残念。おあずけです。