muttenz's blog

スイス星空だより

KaiV37 これは何だ?!の続き

天気が思ったほど良くならず、この星の観測を続けたいのですが、できません。仕方なく、データをいじくりまわしているだけです。

この星の観測データがCRTSにあります。

そのデータを使ってPDMで周期を求めると、P: 0.4089225 d.が得られます。

その周期で位相図を作りました。

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一見、これはなんだろうという感じです。

周期を半分、P/2にして位相図を作ります。

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おお、何か見えてきますね。

同じ要素で2016年の観測データを使って位相図を作りました。P/2

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元期は適当に選んだので意味はないのですが、二つの位相図を見ると極大、極小の場所、カーブの形までかなり似ています。

CRTSの最初の位相図の場合のように周期Pと2016年のデータを使って位相図を作るとやはりごちゃごちゃの感じ。

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当たり前なのですが、CRTSデータの最初の位相図に似ています。

これらの要素で2017年の観測データから位相図を作ります。

P/2

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今度はP/2がだめですね!

Pでやってみます。

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良さそうです!前回のブログのとほぼ同じようなものができてこれはRRでしょう。RRならば周期0.4日はちょうど良いのですが、変動範囲がちょっと狭い。

RRの場合ライトカーブが時間と共に変わっていくのは珍しくないようです。(Blazhko効果)

ただ、周期が変化してほぼ2分の1の周期となることがよく起こるのかは知りません。

KaiV37 これはなんだ?!

KaiV37は昨年の春発見しました。当時の記事です。

muttenz.hatenablog.com

この頃、この星の周期は0.2と0.3日の間ぐらいだろうと判断しました。(極大が一回)

ASAS113804-0026.5のことも一応片付いたので、未解決のKaiV37をなんとかしようとこのところ3回続けて観測しました。これは昨晩、5月21日の観測。すぐにわかることですが、谷から右の方の山まで約0.15日あります。これからして周期は少なくとも0.3日以上!(極大が一回として)

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今年の3回の観測を眺めていたら周期が昨年とは違うと言う印象でしたが、そのとおりです。今年のだけでPDMで求めた周期で作った位相図。

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これを見るとちょっと目にはRRに似ています。

昨年のデータで位相図を同じ周期で作るとこうなってしまいました。

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まるで似ても似つかぬ感じです。RRだとライトカーブが少しずつ変化したり周期も少し変化したり、位相がずれたりはありますが、これだと周期がほぼ2倍近くに変わったことになります。

周期不明の食変光星V1774 Ophの観測要請

昨年へびつかい座の周期不明の食変光星V1774 Ophの周期を探すと言う記事を書きました。

蛇使い座の周期が不明の食変光星 続き - muttenz's blog

V1774 Oph の続き - muttenz's blog

これに関連して今年2月にも続きを書きました。

muttenz.hatenablog.com

だんだんこの食変光星の観測シーズンになってきましたが、いかんせんこの星の赤緯がマイナス17度とかなり南なので、僕のところからはほとんど観測不可能です。

そこで一つ日本の皆さんに観測要請です。よろしくお願いします!

周期が割に短かくて3.1日なのでチャンスは続けて来ますが、その後はほぼ1ヶ月ないことになります。APASSのデータによれば13等台です。

5月の極小予報です。

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日本での現在の薄明の状態や、変光星の高度などよくわかりませんが、上記の4回がチャンスかと思われます。JSTで書き直しておきますと。

21日21.14時

24日23.46時

27日25.78時

30日28.11時

南中時は経度にもよりますが、大雑把に25時あたりでしょうか?

そうだとすると最善の日は27日次は24日でしょうか?

 

また書きますが、6月の予報です。青が第二極小。赤が第一極小のチャンス日。

すでに書いたように6月下旬にならないと第一極小はチャンスが巡ってきません。

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以前に載せた位相図です。予報はこの要素を使っています。

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周期不明の食変光星V563 Her の周期を探そう 続きの続き

muttenz.hatenablog.co

この記事にあったように、5月5日に極小後の増光を観測し、その後5月9日に食外の観測もできたので、この星のCRTS並びにAPASSデータと観測データを組み合わせて見ました。

(食外の光度からそれぞれのデータのゼロ点合わせが出来るようになります。)

位相全体の位相図です。

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CRTSのデータは少々明るすぎたので暗くし、僕の観測データはAPASSよりかなりくらかったので明るくしました。ただ、これはちょっとおかしいと思い、良くよくAPASSデータを見直したら、使用した比較星のUCAC4のDVDに載っている値12.169が現在onlineで出ているAPASSの値では11.954となっており、なんと0.2等も明るい!新しい比較星の光度を使ったら、観測データは修正する必要がなくなりました。こういうこともあるからデータは最新のものを使う必要がありますね!

位相0.0付近を拡大しますと。

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CRTSの2回の増光観測データ(黒)を僕の緑色のデータに載せられないかと周期を少し変えてみましたが、これがベストです。(以前は周期を6.18530d.と考えていました)

とにかくまだ極小が観測されていないので、正確な元期と極小光度ががまだ得られていません。ただ、スイスでは第一極小を観測できるチャンスはこれからしばらくありません。

Hoffmeisterの2回の極小観測以来初の極小観測を日本でどなたかしてくださいませんか?!

今月の予報です。

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24日19.86時(JST)

30日24.30時(JST)

の2回がチャンスですが、特に30日が好機と思われます。

極小光度はVバンドで15.5よりも暗くなります。(位相図中のHoffmeisterのデータの点は適当に決めたので本当の極小光度ではありません。)

 

 

ASAS113804-0026.5 続き ケプラー、ASAS、観測データを組んでみた

昨晩、セバスチャンに今までの成果を報告したら、ケプラー、ASAS、お前の観測データを全部組み合わせて全部のデータに納得の行く周期を見つけろとのことです。

もう一度出発点に戻って見ました。

ASAS-3のデータをPDMを使って周期3日から4日の間で探させました。

3.4837142 d.と出ました。

同じようにKeplerのデータでやってみました。

3.4837122 d.と出ました!ほとんどASASの場合と同じです。

それだったら、Keplerのフーリエ解析ででてきた3.4851618を使う代わりに3.48371を使って位相図を作ってみよう言うことになりました。(実際にはその2倍の6.96742)

うまく行きそうです。いろいろ試行錯誤した挙句ようやくできました!

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フーリエ解析で出てきた周期は変動にその成分が入っているということであって、ライトカーブの全体の変動を表しているわけではなく、ナマのdetrendしていないデータの位相図にはPDM解析で出た周期の方が良いのだろうと思われます。

ちなみにセバスチャンはこれでELL+DSCTは確定だと言っています。VSXに載っているELL+DSCTの星(7つある)で周期が7日弱のなどは今までありません。一番長い周期はNSV20695の3.394日です。

追記

今、VSXを見直したらELL+DSCTでもう少し周期が長いのがありました。

KID7337049で、ELLの周期が4.86日です。これはKeplerのデータからR.Jansenという人が2011年に見つけたものです。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=252841

 

ケプラーのデータを解析 きれいです!

muttenz.hatenablog.com

これの続きです。

Period04で周波数を15個まで探してその周期で計算したライトカーブと観測値がかなり良く合うのでもう少し周波数を探させました。

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それから変動の強い周波数のdetrendの位相図を作ることにしました。

ここでちょっと面白いのは、F1とF2の二つが周期にしてそれぞれ3.5日と7日強で、F1はF2のほぼ二倍ながら完全に2倍ではないのです。

まずF1(=P: 3.4851618428464 d.)detrendedの位相図です。

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F2(=P: 7.0959151462743 d.)の位相図です。

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ここでF1F2を同時にdetrendしてみたらどうなるかやってみました。いわばF1 F2以外の変動を取り除いた変動です。

ただし位相図を作るための周期を何にするか問題です。F1に相当する周期か、F2か?

まず思いつくのはF2の周期です。(F1とF2の両方の変動が入っているわけですからF2の長い周期にしなければ無理でしょう。)

それで位相図を作ると。

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これはダメだ!

F1の周期の2倍にしてみよう。

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これは綺麗です!この位相図は何を意味するのでしょうね?まるでEWみたいに見えますが。。。

同じことを僕があしかけ3年かけた観測データでやると。。。残念ながらこんなです。。。

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比較する事自体無駄なことですが、自分の観測は一体なんだったのだろう。少々がっくり来ます。。。