muttenz's blog

スイス星空だより

AAVSOのTarget Tool

今夜何を観測すればよいの、と誰しもが考えるが、その手助けとなるツールがAAVSOのサイトにできた。会員でなくても使えるのかな?興味のあるジャンルに限定出来るようで、CVというジャンルにフルイをかけてみるとどの星がどのようにモニターされているか色別に示される。

AAVSO Target Tool | aavso.org

TCP J18154219+3515598を観測、周期を求めてみた

vsnet-alertで磯貝さんが観測のリクエストを書いておられたので、昨晩観測してみることにした。開始時に薄雲があり、暗い星は難しいかと危惧したが、どんどん透明度が良くなり、かなりの月明かりにも関わらずまあまあのデータが取れた。

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報告には「ハンプは受かりましたが、周期が求められるほどのものか、わかりません」と書いた。

じゃあ自分でもやってみるかと、PDMで周期を探した。

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結果は "0.0618558 +/- 0.0000440"とでました。

磯貝さんのメールには

The superhump period
of 0.06195 (1) d is longer than one in the stage B of 0.06168 (1) d.

とあり、周期として0.06186(4)が得られたので、はっきりステージBの周期よりは長いので、このデータもまあまあなのではないでしょうか。

ちょっと変わった新変光星、KaiV37をVSXに正式登録

muttenz.hatenablog.com

この星です!

一昨日セバスチャンにこれを登録したいので下見をして欲しいとメールで位相図やデータを送ったら、幾つかのマイナーチェンジを提案されたので今朝早速言われたことを変更してVSXに登録申請した。ものの30分もたたずに、VSXから登録おめでとう!のメールが届いた。このメールもセバスチャンが送ってくれているはずで、アルゼンチンでは早朝の3時頃。彼、星でも観測していたのだろうか?

登録には新しく作成した位相図を送った。

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前のブログに書いたように、この変光星はBYタイプということになったので、元期は一番暗いところになる。この位相図を見ると、昨年と今年の変化や、昨年のピンクが黒のCRTSのカーブとかなり重なっているところが良く分かる。

今まで38個登録できたが、BY Draタイプの新変光星は初めて。

BYってこんなのかなぁという感じは残る。黒点がどんな風に分布しているのだろうか?

このアドレスから見られます。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=512727

TCP J20100517+1303006を一晩中観測でき、新変光星を二つ見つけた

このCV、小嶋さんに19日に発見され、22日にvsnet-alertがでてすぐ、6月22日に一度観測したが、雲がやってきて穴だらけの上に途中で完全にベタぐもりとなって観測を中止した。

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昨晩25日夜は雲が時々通過という天気予報だったが、結果的には完全に晴れた一夜だった。

透明度も良く、クリアフィルターで30秒撮像したので22日の比較星は使えない。そばの他の暗い星を使った。

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ダブルピークのスーパーハンプですね。

ちなみにVanmunster氏がvsnet-alertの観測報告中に彼の新発見の二つの変光星のことを記述している。

[vsnet-alert 21153] TCP J20100517+1303006: new WZ Sge type dwarf nova (early superhump period update) + 2 new variable star discoveries

一つはEWで昨晩のフレームでも見つかった。

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ただ、Vanmunster氏は周期を0.2192 d.と書いているが上のライトカーブですぐにわかるように1/4周期が約0.1日なので、彼の求めた周期の2倍が正しい値だと思う。

もう一つ彼が変光していると書いた星は昨晩は特に変光していなかった。

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0.07等程度の不規則な20分以下の変動が受かったと書いているけれど、これを見る限りではおかしなところはない。

以上の星とは別に二つ新変光星を見つけた。

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これはUCAC4のカタログにないくらい、暗い。極小付近は17等。

2MASS J20095877+1303253

 

こちらは少し明るい。UCAC4 516-125676 暗いところは15.5等位。

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(周期不明だった)食変光星V563 Her の諸データをVSXに正式登録

昨日ブログに書いた内容をセバスチャンにメールで書き送り意見を求めたら、「素晴らしい位相図だ。すぐにVSXに登録しろ。」と書いてくれた。

昨晩VSXにデータを送っておいたら今朝にはapprovedのメールが来ていた。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=15374

このアドレスで、改訂を見ることが出来ます。

観測に協力してくださった、赤澤さん、どうもありがとうございました!

V563 Herの位相図がほぼ完成

muttenz.hatenablog.com

これの続きです。

この所、スイスでは晴天、猛暑続きで、8晩連続で観測できた。(雲が途中できたりした事もたびたびだが。。。)

昨晩(23日夜)には第一極小への減光開始部分を観測できた(途中から曇られたが)。(下図のフェーズ-0.05付近)

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これと20日夜には第二極小へのわずかな減光も観測できた。(下図のフェーズ、0.47付近)

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全体図はこのようになった。

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この位相図作成の元期としてはHoffmeisterの2番めの極小観測を採用した。

1964年7月10日22時28分UT=HJD2438587.436

当時はおそらく何枚かの写真撮影画像から極小時刻を算出したものと想像するが、これだけ食の底が長い(約4.7時間)のに良く正確な値を得られたものと感心する。

もうこれだけ材料が整ったらVSXに報告できると思われるので、そろそろ他の星に時間をかけよう。

 

KaiV37はspotted star !

KaiV37について書いてからもう3週間経過した。

muttenz.hatenablog.com

この後、セバスチャンにこの星について意見を求めるメールを書いたが、なかなか返事がなく、どうしたことかと思っていたら、今日返事が来た。

彼も、この変わった変光星に少々困ったそうで、良くわからないのでパトリックに訊いてみると言うことになった。セバスチャンからのメールとほぼ同時にパトリックからメールが来て、これは疑いもなくspotted starとのこと。

(spotの場合暗いのも明るいのも考えられるが、今回のは両方だろうか?)

RRabではない理由は、この星が赤すぎる、変光幅が小さすぎる、CRTSのデータで少しずつ明るくなっている、を彼は挙げています。

今年の位相図をもう一度載せます。

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これがspotによる変化とすると、星の半分ぐらいが明るくて残りが暗いというような星なのだろうか?想像しにくい。