muttenz's blog

スイス星空だより

V343 Lacの極小への減光を観測できた

この食変光星の周期は以前書いたように、ASASSNのデータのお陰で12.9427...日と判明しました。その半分の6.47日ごとにほぼ同じくらいの深さの極小があります。その一つが10月15日8.26時(UT)にありました。スイス時間だと午前10.26時となり、もちろん明るくて極小は観測できません。しかしこの食変光星の減光、増光は約6時間半継続するので、未明に減光開始になるはずで、予想通り減光部分が観測できました。

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食の開始前の食外の部分でライトカーブが波を打っています。この星は連星の一つがDSCTタイプではっきりと短周期の変動を見せます。減光開始後も波が2つほど見えているようです。

あ、それから恐ろしく暗いのですが、新変光星らしいのを見つけました。暗いので、UCAC4には記載されていません。果たして周期など求められるかわからないので、まだKaiV番号はふりません。

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GT Lacの近くで見つけた新変光星 KaiV72

昨日GT Lacの近くで新変光星を見つけたと書きましたが、それにKaiV72の番号をふりました。ちゃんとライトカーブがかけるかと心配するほどかなり暗い変光星です。

ここ三晩の観測です。

10月11日 この時は変光星とは思わなかった。

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10月12日 このライトカーブから新変光星と気がついた。

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10月13日 運がよいことに極小が2回受かりました。極小から極小まで約0.2日です。これがEWとしたら、周期は大雑把に言って0.4日前後とわかります。

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この3回の観測データからPDMで周期を求めたら、0.20717日がピークでした。EWとするとその2倍の周期が本当の周期となります。位相図です。比較星は13.8等ですから、この星はほぼ17等台で変光しています。

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GT Lacを更に観測

昨晩、12日夜も綺麗に晴れました。友人宅に呼ばれていたので帰宅してから観測を始めて開始は23時頃でした。計算では第二極小が未明にあるはずでした。

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無事に受かりました。一昨日には気が付かなかったのですが、一つ新変光星を見つけました。もう一つ相当暗い変光星を見つけたのですが、それは一昨日にも先取りされたチェコの人がすでに見つけていてVSXに登録していました。

ところで、例のO-C Gatewayには二つCCDによる極小観測データ(2007年)があり、さらに古い写真乾板を再調査したらしい極小データがいくつも記載されています。写真測光の方は時刻の精度に不安があるので、CCD測光の二つの極小時刻が位相図で0.0に来るような周期を探しました。P: 0.8372865 d.最後の桁で1変化させると相当に敏感で二つの極小が0.0から外れます。その結果のフェーズ0.0付近の位相図です。

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全体図です。

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第一極大が変な格好をしているのが気になります。これがリアルなのかもう一度そのあたりを観測しなければならないでしょう。

またこの位相図では、Hoffmeisterの発見時の極小時刻(青)がフェーズ0.0から大きく外れ、0.4あたりに来てしまいます。この事実から、周期がここ50年あまりで変化したと思われます。

今夕は第二極小が今頃、21時半頃(UT)起こっているはずです。

ASASNのデータから得られた要素でGT Lacの極小を予報、そして観測できた!

この所蜥蜴座の食変光星の周期を探した中で、一番周期が短いGT Lacを観測してみたくなりました。極小の予報を作ったら、昨晩の19時(UT)ごろにあるはず。天気も良くなって無事観測できました。

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Hoffmeisterの観測(1965年2月8日)以来の極小観測で、じつに52年ぶりとなります。今回の極小の底がはっきりしませんが、おそらく皆既食でしょう。

周囲で変光星がないか探してみたらこんなのが見つかりました。

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VSXで座標から探してみたら、2007年にもう登録されていました!残念!ただ、この変光星を見つけた人はこの付近をかなり観測したはずで、GT Lacの観測をおそらく目的としたと思うのですが、GT Lacの周期などを見つけなかったのが不思議です。

そこでVSXの記載ではこの変光星を見つけた人はチェコの人らしいので、食変光星の観測が盛んなチェコのサイトO-CGatewayに行ってみたらなんとGT Lacについてありました。

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この図を見るともう随分と極小が観測されていました。でも周期を0.2790443d.としていますね!この値の3倍0.8371329が実際の周期に近かったのです。

最初の方で書いた52年ぶりと言うのは外れでした!

 

周期不明の食変光星の周期がASASSNのデータでどんどん見つかる! 4

前回までで、蜥蜴座での周期不明の食変光星の周期を11個見つけ、アルファベットの名がついているのは一応終わりました。V番号のではV349 Lacの周期がわかっていません。

ASASSNのデータでPDMで1-10日の範囲で周期を求めたら、これが見つかりました。

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極小のあたりがおかしいですね。周期を2倍にしてみます。

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これでほぼ良さそうです。

GT Lac

現在、先日周期を見つけたGT Lacを試しに観測しています。周期が0.837.日ぐらいなので、変光が見つけやすいはずですし、一応計算したら今夕第一極小の前ぐらいから観測できそうなのでやっています。ディスプレイを見ていたら最初かなり暗かったのが今では明るくなってきています。とは言え、16等台です!

周期不明の食変光星の周期がASASSNのデータでどんどん見つかる! 3

蜥蜴座で周期不明の食変光星の残り、HI、MQ、MU Lacの周期を探しました。

HI Lac

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周期がほとんど25時間で、極小は毎日1時間ぐらいずつ遅くなっていきます。皆既食かもしれませんね。第二極小も受かっています。

MQ Lac

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これがちょっとまだはっきりとは周期が決まっていません。極小部分のデータポイントが綺麗に並びません。第二極小もはっきりとは見えません。これらのことから周期が2倍ではないかと考えたのですが、2倍の周期で位相図を作成してもピンときません。

これからの課題です。

MU Lac

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これもMQ Lacに似たケースで周期が2倍かもしれませんがはっきりしません。

周期を2倍にした位相図です。

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長周期の変光星、IW Lacの周期をASASSNのデータで探そう

このIW Lacは今までと同じ蜥蜴座の長周期らしい変光星ですが、VSXには周期は載っておらず、変動範囲はpつまり写真等級で17.0-18.0となっています。山本さんが3月に11.6Cと増光を報告しておられました。

この星のASASSNによるここ1000日のライトカーブはこのようです。

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見事なライトカーブです。変動幅は0.7等ぐらいと比較的狭いですね。目視で極大の間隔はおよそ400日弱でしょうか?データをPDMで解析しました。

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385日あまりと出ました。ただこのライトカーブはふたこぶラクダみたいですね。もっと短い周期、上記の半分ぐらいだと、このようになります。

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いずれにしても周期はある程度安定しているように思えますので、詳しくは知らないのですが、LBの分類よりはSRあたりでしょうか?どなたか教えてください。。。