An Introduction to Close Binary Stars を読んでいたら
天気が悪くて観測できないのでタイトルの本を読んでいます。
ところで、このページ44の図で引っかかっています。
上の楕円軌道の図は離心率0.3で、軌道面上で右方向から観測している状況です。a(昇交点)とdそして近星点は天球面にあり、天球面に直角に軌道面があることになります。本の説明では、視線速度がゼロになるのはZと書いてあるのですが、ZZ(私がZにXを書きFehlerと書き込んだ)とadの交点に焦点があり、これではどう見てもZで視線速度はゼロにならないと思われるのです。
私が書き込んだ線のZZでなければならないのではないでしょうか?
Rでスクリプトを書いて見ました。それで作ったこの楕円軌道(e = 0.3, omega = 0, semiamplitude = 100 km/s)の視線速度対フェーズの図です。
Vがゼロになるのは離心近点角が90度と270度でした。
P43,44,45の他の図、Fig. 2.7., 2.9., 2.10.も描いてみました。どれもsemiamplitude=100km/s
Fig.2.7. e=0.1, omega=45
Fig.2.9. e=0.6, omega=90
Fig.2.10. e=0.9, omega=270
スクリプトを一応載せておきます。
# from "K, omega, e" to plot radial velocity vs phase
# K: semiamplitude, km/s
# omega:longitude of periastron, degree
# e: eccentricity
radvel <- function (K, omega, e) {
pi <- 3.1415926535
om <- omega * pi / 180 # omega in radian
dp <- 2 * pi / 1000 # step to calculate
ph <- vector() # orbital phase
th <- vector() # true anomaly
v <- vector() # radial velocity
for (i in 1:1001) {
E <- dp * ( i - 1 ) # eccentric anomaly
ph [ i ] <- ( E - e * sin (E ) ) / ( 2 * pi )
ifelse ( pi < E, th [ i ] <- 2 * pi - acos ( ( cos ( E) - e ) / ( 1 - e * cos ( E ) ) ),
th [ i ] <- acos ( ( cos ( E ) - e ) / (1 - e * cos ( E ) ) ) )
v [ i ] <- K * ( cos ( th [ i ] + om ) + e * cos ( om ) )
}
plot ( ph, v, xlab = "orbital phase (periastron phase = 0)", ylab = "radia lvelocity km/s" )
grid ( col=4 )
}
とにかく天気が不安定!
このところの一日の天気の変化のパターンは、午前は晴れていて暑くなり、入道雲がどんどん発達、夕方には場所によって夕立が来て、夜にはほぼ全面的に曇ってしまいます。普通の人にとっては夏らしい天気でそれほどひどいと思わないようです。しかし天文ファンにとっては毎日ひょっとしたら晴れるかと期待させられて、夕方には裏切られるという、恨めしい状態です。
現在21時47分
人工衛星の赤外線カメラで捉えたヨーロッパの雲の状態です。
黒っぽいのは雲がないところで、白いのはだいたい積乱雲です。バーゼルは、Bernの上のドイツ、フランス、スイスが接しているところです。今はなんとか晴れの地域ですが、左からひょっとしたら積乱雲がやってくるかも。。。
SDSSJ141118.31+481257.6 昨晩の短い観測
夕方8時頃に出先から車で帰るときにかなりの雨にあい、今夜も観測は無理だと思っていたら、11時頃に雨がやむと同時に西の方から急速に晴れてきました。雨レーダーの画像で、これからしばらくは雨が来ないことを確認して観測開始。
望遠鏡を動かしたまま就寝するのはちょっと不安でしたが天気予報を信じて朝まで動かしました。残念ながら途中で曇ってしまったようで、結局2時間あまりの観測でした。
16等台とまた暗くなっています。スキャッターかもしれないのですが、まるで食のように3回暗くなったデータポイントが46分ぐらいの間隔で受かっています。
自分で観測できた3回のデータをまとめてみますと。
例のごとく昨晩のデータを使ってPDMで周期を求めたら出てきたのは0.064444。もちろんその半分が本当の周期です。
ただ、この周期で自分で観測できた3回のデータの位相図を作ると面白いです。
宇宙の「プランクトン」矮小銀河と暗黒物質の問題
というタイトルで、昨晩バーゼル大学の天文学教授のB. Binggeli氏が退官記念講演を行い、聴きに行きました。教授の講義は2012年にずっと受講して大変に面白かったので、今回も楽しみにしていました。
ユーモアも交えて暗黒物質がツヴィッキー(Zwicky、なんとスイス生まれです!Glarusの出身ですが、後にUSAに移りました)によって初めて指摘されたあたりから現在までの研究をわかりやすく、しかも問題点をうまく突きながら説明してくださった。
最後の方で、彼の研究室の若手の天文学者Oliver Müller氏が数年がかりで観測したケンタウルスAの近傍の矮小銀河の分布と運動を紹介してくれました。
私が理解したところでは、いまのCDM(Cold Dark Matter theory)によれば、大きな銀河の周囲には相当多数の矮小銀河がほぼ一様に存在するはずだが、我々の天の川銀河でもアンドロメダ銀河でも矮小銀河が平面的に分布しており、しかも大銀河の回転面にほぼ直角をなしていて動きも互いに関連しているそうです。そのような状態が他の銀河でもさらに見つかるのか、Oliver Müller氏は有名なCentaurus Aの近傍を観測研究し、そこでも上記のような分布が見られると今年Science誌に発表したそうです。
これのような事例が3つも見つかって、とても偶然ではすませられず、CDMの理論ではうまく説明ができないのではということになり、CDM理論の見直しが迫られるかもしれないとのこと。
矮小銀河がこのように偶然に並ぶのはCDM理論では1%以下の確率だそうです。
この研究をScienceに発表したOliver Müller氏は右から2番めの人。
このホールの壁は有名な歴史的科学者たちの肖像画が所狭しとかけられている。
YoutubeでOliver Müller氏(左)と仲間の説明が見られます。
再増光したSDSSJ141118.31+481257.6 2晩の観測の比較
このCVは一日でこんなに変わりました。
まずライトカーブです。
増光の割合が一直線上に載っていません。どこかで急増光したのでしょうか?
それぞれのライトカーブを平坦にならして並べてみます。
変動幅がこんなに変わりました。
周期に変化があったかもしれません。PDMで求められたそれぞれの周期は
0.0325453 +/- 0.0000319
0.0324154 +/- 0.0000418
でした。
それぞれの位相図です。
6月1日
6月2日
上の方の周期で両データの位相図を作りました。
こんなにも波の大きさ、形が変わるものですね!
再増光したSDSSJ141118.31+481257.6の昨晩の観測
悪天候が続いていたスイスもちょっとマシな天気になり、昨晩も一晩中連続観測できました。
13等台にまで増光しました。これが昨晩の画像。
これは一昨晩の画像。
昨晩のライトカーブです。
再増光したSDSSJ141118.31+481257.6を観測
一週間ぶりに観測できる天気となりました。(一週間前は観測開始後すぐに曇ってしまった。。)
ちょうど、名寄の佐野さんがSDSSJ141118.31+481257.6が再増光したとVSOLJに報告されていたので、薄明から薄明までフルに観測してみました。
一晩で8山もハンプが受かるのですから、周期は当然短いです!
昨晩のデータをPDMで解析しました。
一番短い周期の谷がスーパーハンプの周期でしょう。0.0325712日(46.9分)
ただ観測のライトカーブを見ると一山おきに高めと低めのが交互に入れ替わっているように見えます。そのためかPDMでも2倍周期の谷もほぼ同じくらいに出ています。
位相図を一応作ってみました。(増光しているようですが、線形近似はしませんでした。)
この位相図の0.5付近に減光中小さな山ができています。