muttenz's blog

スイス星空だより

もうすぐ日本へ一時帰国

今度の日曜日に飛んで月曜日から2週間、主に東京に滞在し、久しぶりに変光星観測者会議にも参加します。ブログにいつも書いているような内容ですが、新変光星についてちょっとした報告をいたします。3年ぶりの参加で、変光星観測者の皆様にお会いできるのをとっても楽しみにしております。

久しぶりに新変光星をVSXに登録

3年前に矮新星を観測していて見つけたかなり暗い新変光星、KaiV39を最近続けて観測でき、運の良いことに第一極小が際どいところで受かって周期や元期を出すことができました。北極星から10度あまりしか離れていない星です。

隣の高い木に引っかかるかと恐れていたのですが、木と我が家との間にうまく入ってくれて朝方まで観測できました。

位相図です。

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クリアーフィルターで比較星のRc光度を使ったのでVSXではCRmagとなります

16等から17等のあたりで変光しています。

NSVS13995739 について 続きの続きの結末

長らくブログをサボってしまいました。何もしていなかったわけではなくむしろ忙しすぎたのが原因です。

ところで、最後の記事の結末です。

VSXのセバスチャンにNSVSのエントリーは場所は外れているし、タイプも変光範囲もあっていないので発見者として山本さんにできないかと交渉したのですが、セバスチャンが言うにはNSVSの星でい~っぱい今までデータ改訂をしてきたがあくまでもクレジットはNSVSにあるので今回もそのようにしたいとのこと。NSVSの場合座標が1分ぐらいずれていることもありうるそうです。したがってASAS-SNのデータもその座標の測光値を使い分析したので全く外れた結果を出してしまったとのこと。

山本さんのおかげでこのNSVSの星もようやく一人前の変光星になったのだし、それをしばらく前から同じく発見して観測をしておられた秋田の佐藤さんのデータもデータ改訂に使わせて頂いたので、両人の方の整理番号、YmoV16とStm04もVSXに登録しました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=165925

VSXに送った位相図です。

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vsolj-obsでひとしきりあった騒ぎもこれで決着がつきました。めでたしめでたし!

 

NSVS13995739 について 続きの続き

先日の位相図をセバスチャンに送ったら、この11等星が変光しているのではなく、近くの2MASS J19160178-0714135が変光しているのが混ざり込んでいるのだとの指摘。

結局やまもと様が発見なさったミラ型と思われる変光星がNSVS13995739の原因。

ただ、NSVSの座標にはなんの星もないし、11等、変光範囲は1等にも満たないとの記述なので発見者はやはりやまもと様だと思います。

ASAS-SN のデータをダウンロード、仮の位相図を作りました。

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NSVS13995739 について 続き

この変光星のKWSのIcデータをダウンロードしてVデータの位相図に入れてみました。周期と元期は前回の位相図と同じです。

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ピンク色が Ic 、緑が V データです。

Ic データの変動の方がVデータより大きく見え、カーブの形がかなり異なる印象です。

極大付近が、Vでは尖っているのにIcの方では丸っこいようです。(Icデータの極大部分がはっきりしないのが残念ですが)

極小付近はVではゆるやかなカーブですが、Icでは急なカーブで尖っている感じです。

全く平行ではないので当然色の変化がかなりあるはずです。

このような特徴を示す変光星のタイプは何でしょうか?ご存知の方は教えてくださいませんか?周期は205日と長いです。

NSVS13995739 について

NSVS13995739はvsolj-obsで山本さんが投稿なさってからちょっと話題になった星です。

これはNSVSのサーヴェーで見つかった変光星で清田さんが書いておられるように同じ星が別のID、NSVS16919745でも観測されています。両観測データを見るとかなりゆっくりとした変動で、変動幅も1等にも満たない狭いものです。周期は少なくとも200日以上というのもデータからわかります。

とりあえず位相図です。

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NSVSの2組のデータから出した周期218.6日で作った位相図。

そして肝心なこの星の座標ですが、NSVSには

NSVS16919745は19 16 01.40 -07 13 49.6

NSVS13995739は19 16 01.36 -07 13 47.6

とあり、VSXは下の方、NSVS13995739の座標19 16 01.36 -07 13 47.6をそのまま記載しています。

Sebastian Oteroの話ではNSVSの座標はかなり粗いのでその座標に星がないこともありうるとのことです。この座標近辺で11等台の星はGSC 05142-02740しかないので、NSVS13995739 = NSVS16919745 = GSC 05142-02740と同定されます。

したがってその座標は19 16 01.288 -07 13 32.51 (Gaia DR2) となりました。

11等台の星ならばKWSにデータがあるだろうとダウンロードし、PDMで周期を求めたら206.9日が出ました。

NSVSとKWSのデータがうまく重なる周期を探すと少し短い205日が良さそうです。

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これで、この星はミラタイプではなく、山本さんが発見された星とは全く異なる星と決まりました。しかし、これはなんのタイプなのだろう?ASAS-SN VSDBにはROTと出ていますが。

ついでにASAS-SN VSDBのデータですが、これは上の2つのサーヴェーに比べてどうしてかひどく変動幅が狭いです。上の位相図にさらに書き込むとこうなります。

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変動があまり見えませんが、単独の位相図にするとわかりやすくなります。

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これら3つのサーヴェーのデータはいずれもすぐ近く、約8秒離れたところにある13等星の光が混入しているので、deblendしなければなりませんがまだやってありません。

UGEMとKWSの測光値を比較してみた 続き

3月31日に撮影した画像でも同じようにやってみました。

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24個の変光星のうち、6つで、UGEM-KWSの絶対値が0.15を超えました。(右の列でアステリクスがついている星。)あとの18個では差はそれ以下。そのうち15個では差は0.1等以下です!

10枚のフレームで写っている場合と写っていないケースが変光星ごとに違うのが少々難点です。(星像があっても検出してくれないのが不思議)

差が大きくなった理由は全部はわかりませんが、フレームの縁ギリギリのケースが2つあり、その場合に結果が悪くなるのは収差や周辺減光などを考えれば当然かも知れません。(下の画像を見てください。星像は特に目立って悪くはありません!かなり縁に近いにもかかわらず成績の良いのもあります。)

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左から2番めと、一番右の星がKWSとの光度差が大きい変光星。一番左のは縁に近いにもかかわらず差が0.087と0.1等以下。