muttenz's blog

スイス星空だより

VSXの登録総星数がなんと95万に!

今朝VSXのホームページを見てびっくり。この間まで確か60万台ぐらいのような気がしていたのに、今朝は953304となっています。

ATLASのカタログから確定の変光星を入れたのかと思ったのですが、今週変更した星というのを見たらずらずらと20万出てきました。昨日OGLEが追加されたようです。

そのためか、検索機能が働きません。

StmV07とItohV01の2つの変光星をVSXに登録

もうかれこれ2ヶ月くらいでしょうか、秋田の佐藤さんと伊藤さんお二人から変光星を発見したのでVSXに登録を出来ませんかと頼まれました。佐藤さんのはミラ型で調べたらVSXはもちろん、ASASSN Variable Stars Databaseにも、470万の星を含むATLASカタログにも記載されていません。完全に単独発見です。それでもASASSNには数年前からのデータ、減光部分ばかりですが、ありました。下図の一番右の緑は佐藤さんのデータです。

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全部組み合わせて位相図を作りました。

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この変光星の周囲にはいっぱい他の星もありその影響をASASSNデータから取り除くのが結構大変でしたが、無事にVSXに登録されました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=844789

 

伊藤さんの発見された変光星は周期は短く変光範囲も狭い、食変光星でした。こちらはVizieRで調べたらATLASにすでにエントリーがあり、しかも周期やタイプが求められていました。伊藤さんの観測データで位相図を作るとはっきりとEWのものとわかり、ATLASのタイプもあっていると判明しました。

これがAPASS、ASASSNと伊藤さんのデータを組み合わせた位相図です。

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正式名は前回の記事に書いたように、この場合はATLASが発見者で、そのカタログにある名称が正式名となり、ATO J316.0268+46.4900となりました。参考名としてItohV01も登録しました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=844806

 

このようにお二人の変光星発見をVSXに登録でき、お二人にも喜んで頂けて私も嬉しいです。おめでとうございました!

ATLASカタログに関してのVSXのポリシー

秋田の佐藤さんの新変光星や伊藤さんの発見されたEWをVSXに登録することについて、久しぶりにセバスチャンにメールでやりとりしました。

その際にATLASに変光星のエントリーがあって、VSXには記載されていない星の発見者の扱いについて尋ねましたら、最近VSXのFAQにそのことについて記事を追加したからそれを読んでくれとのことでした。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=about.faq

の中のDiscovery Creditの項目です。

内容をATLASに関してのみ要約しますと

ATLASでdubious(変光星かどうか疑わしい)とある場合は、ATLASはその変光星の発見者にはならない。

ATLASが変光星と決めてしかもタイプも正しい場合は、ATLASが唯一の発見者。

ATLASが変光星と決めたがタイプが正しくない場合はATLASをco-discoverersとして登録すること。

以上の3つの場合にしたがって誰が発見者の扱いを受けるべきか決まるようです。

現在KaiVでVSX未登録のうち5つはATLASでdubiousなのでこれはいずれ新変光星として登録できそうです。ATLASに記載のないものも6つあります。

少しずつでも観測してデータを揃えていこう。

 

KaiV87の第一極小が受かった

ATLASのカタログが出たショックは大きかったのですが、それ以前に見つけた変光星を観測しています。KaiV87はタイプがEAははっきりしているのですが、周期、そして第二極小の位相などを決めなければなりません。

今回、8月26日に第一極小が綺麗に受かりました。

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皆既食だと言うことまでわかります。今まで仮定していた周期、4.779日がほぼあっていること、少し長過ぎるということもわかりました。(食の中心は予報より50分ぐらい遅かった)ATLASのカタログには、変光星かどうか疑わしいとあり、周期は2.019334日となっていますが、この周期は全く外れです。

ATLASの要素はしばしばハズレがあるので、今ではこれまで通りVSXに記載がないものを見つけた場合はとりあえずKaiVナンバーをふって、独自に調査することにしました。

このところVSXに記載がないものがいくつか見つかって、今日KaiV100が昨晩の観測から見つかりました。

TCP J20100517+1303006の増光(珍しいことではないらしい)

TCP J20100517+1303006が2年前に発見された時に観測したフレームから当時KaIV67という新変光星を見つけました。ただ、周期やタイプなどがはっきりせず、ずっとそのままになっていたので、この8月観測を試みています。(ATLASではdubiousとなっています。)

昨晩の観測フレームで例のごとく変光星を一応探していたら派手に増光しているものがあり、その座標をVizieRで検索したらTCP J20100517+1303006でした。すっかり場所を忘れていました。

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ASASSN Sky Patrol でここ60日分の測光データをダウンロードしました。

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50日ぐらい前にスーパーアウトバーストがあったようです。

私の観測でも一週間前にすでに明るいときがあったのに、その時は気が付かなかった。。今回も一週間前も共に14等台後半止まりでノーマルアウトバーストでした。

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うえのASASSNのグラフを見ても数日おきに14.5-15.0等ぐらいに増光しているのですね。

変光星を見つけてもすでにATLASに記載されていた!

前回書いたようにKaiV87はEAらしいのですが、VSXには記載がなく、ATLASでもdubiousとなっています。これをVSXに登録すべく観測をはじめました。(昨年いくつか観測データがありますが、正確な周期、特に第二極小の位相がどこにくるかがはっきりしていません。)

21日、22日と観測したフレームから変光星を見つけました。

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4UC 691-090971です。その座標には見事ATALASでエントリーがあり、周期0.565973日のContact Binaryとなっていました。。。

ATLASに470万変光星の候補を見つけられたのではもう新変光星はまず見つかりませんね。

A First Catalog of Variable Stars Measured by the Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System (ATLAS)

久しぶりにブログに復帰です。6月前半は日本に一時帰国していましたが、帰国4日目に風邪をひいてしまいました。それでも変光星観測者会議でのリポートも一応無事に済ませられました。その後、倉敷、岡山の変光星仲間を訪問したり、昨年完成した3.8mの大望遠鏡を見学したりして素晴らしい時間を過ごさせていただきました。関係者の皆様にこころから感謝申し上げます。

ところで、一昨日vsolj-obsに秋田のBさんが新変光星の観測を報告なさっていて、VSXには記載がないとのこと。そこでこの星についてちょっと調べようとVizieRで検索したら、一番下にATLASによるカタログというエントリーがありミラ型タイプで周期129.3278...日と出ていてびっくりしました。

このATLASというのは地球にぶつかるかもしれない小惑星を毎晩探していて、もう膨大な量のデータが溜まっていて、それぞれの星が最初の2年間の観測でだいたい100回計測されているそうです。そのデータからなんと470万の変光星候補が見つかったそうです!

14万は確実に新変光星でそのうちなんと7万以上が食変光星だそうです。

https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2018AJ....156..241H/abstract

もうこうなると新変光星を見つけるチャンスはゼロかと思ったのですが、私が見つけながら、まだVSXに登録できていないKaiV87(タイプはEAのようです)を見たら上記のカタログに載ってはいるものの、分類はdubiousとなっていて変光を疑われているだけでした。今シーズン頑張ってVSX登録にこぎつけよう。