muttenz's blog

スイス星空だより

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

先日来、赤澤さんが観測を続けて下さいまして、昨晩の観測ではフレア的な増光を観測できたそうです。赤澤さん、どうもありがとうございます!

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HJD-2458900 = 10.98付近の急激な増光に注目

このような現象を伊藤さんも観測しています。

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時間的にそれほど長くないのでライトカーブを横に引き伸ばしたように見える

私も観測しています。

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このような増光がこの変光星の特徴のように思われますが、今まで見つかったこの急激な増光をきれいに全部重ねられるような周期は見つからないようです。ただほぼ重ねることはできそうですが。

とにかく今手元にあるデータ全部を使い周期0.1-1日の範囲でPDMで解析した結果です。

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今まで有力視されていた周期は姿を消し、新しいピークがいくつか見つかりました。

深い方から順に4つの周期(0.4802 / 0.5700 / 0.3723 / 0.4028)で位相図を作りました。

一番深い値の周期での位相図です。

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3つの急増光、水色、赤、青は0.0の前後に並んで

全く重なってはいません。

二番目に深い値の周期での位相図。

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赤と青の急増光は0.0付近でピッタリ重なっていますが、水色は0.45あたりにあります。

3番めに深い値の周期の位相図。

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あまり良くわからないかもしれませんが、水色、赤、青の急増光がほぼ0.0付近に集まっています。

4番目に深い値の周期で位相図。

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赤と青の急増光は0.0付近で水色のは0.3あたりに離れています。

どうもこれだと言える周期は見つからないようです。

増光以外の部分のライトカーブの重なり具合は2番めと4番目がなんとなく重なっている感じで、1と3はぐしゃぐしゃに見えます。

加藤さんが書いておられたような周期、0.2482やその2倍は出てきませんでした。

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

スイスの天気はまたずっと悪天候の予報です。そこで倉敷のAさんにこの星の観測をしていただけないかメールを差し上げたら、やってくださるとのこと。倉敷の天気も夜半から良くなったそうで、データをいただけるのを楽しみにしていました。

一方、昨日までのことを加藤太一さんにメールでお知らせしました。

今朝、Aさんからデータが、加藤太一さんからもお返事のメールをいただけました。

加藤さんのお話では今まで集まったデータで0.4-0.5日の範囲でPDMで解析すると0.4969が出てくるとのこと。昨日書いた0.4612692とは全く別の値です。

一方、Aさんから頂いたデータでこの0.4612692日の周期で位相図を作ったら全く合いません。凹凸がほぼ反対だったりでした。新たに周期を求めました。

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今回は0.23台の方が0.46台より強いピークになりました。

位相図です。

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0.46台の周期で作った位相図です。

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一応位相図を作成しましたが、加藤さんのところに集まったデータではこの周期は出てこないので、まあ無駄ですよね・・・

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

21日と24日のデータを合わせた昨日の周期解析は、21日の急速な増光が0.23日の間隔で起こったので、周期が0.2-0.3日の範囲と思い込んでやっていました。

今朝になって、はたともう一度周期を0.1-1日の広い範囲でPDM解析をするべきではないかと気が付きました。

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21日24日のデータを合わせて周期0.1-1日の範囲でPDMで解析

はたして、0.2-0.3の範囲のところより0.4-0.5の範囲でもっと強いピークが出ました。0.4612294日です。

これで位相図を作りました。

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結構良い感じです。これを見ると、急増光(フェーズ0.0付近)は24日には観測されていなかったです。しかしフェーズ0.5-1.0での細かい増光がかなり合っています。

以前、まだ21日の観測だけだった時にVSOLJ-obsに伊藤さんが報告されていたのと合わせて周期を探したことがあるのですが良くわかりませんでした。それを思い出して、この新しい周期でどうなるか試みました。

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伊藤さんの観測(2月10日青)、笠井の観測(2月21日赤、24日緑)

いや、実にぴったりです!(伊藤さんの観測はC-filterで、しかも比較星も異なるので

-11.680-0.65 ずらして、私のdVmagに合うようにしました。)

それならばと、伊藤さんのデータと私のデータを合わせてPDMで解析しました。

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伊藤さんの観測と私の観測を合わせてPDMで解析

伊藤さんのと私の観測が10日以上離れているのでピークが細くなりました。(精度が上がった)得られた周期 0.4612556 +/- 0.000029

この周期で位相図を作りました。

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この位相図のフェーズ0.5-1.0を拡大してみると

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上の位相図のフェーズ0.5-1.0付近の拡大図

フェーズ0.9からの増光がぴったりです!

ところで、この0.4612556は、以前21日の急増光が重なるように探した周期0.230のほとんど2倍です。なので当然2番めの急増光がちょうどフェーズ0.5に来ています。そこで、念の為に周期を半分にした位相図も作ってみました。

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もちろん重なる部分はありますが、ゴチャゴチャであまり信頼できないですね。

これからの観測で、この見つかった周期が合っているかはっきりするでしょう。

ASASJ071404+7004.3を観測 続き

昨晩、2月24日夜も、雲の通過があったりしましたが、かなり長く観測できました。

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21日夜のフレアのような増光は受かりませんでした。なので周期性があるのかもよくわからないライトカーブとなりました。

21日のデータと合わせてPDM解析をしてみましたら、周期として0.2486(1)日が出てきました。

昨日のブログの位相図の元期をそのまま採用して周期を新しい周期にして位相図を作りました。赤は21日夜のデータ、緑が昨晩のデータです。

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どこが重なっているのかよくわからないほどゴチャゴチャしています。

今朝のVSNET-alertで加藤さんが周期として0.2482を書いておられたので、その周期でも位相図を作りました。

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フェーズ0.5-1.0のあたりのライトカーブが重なるように見えます。0.2-0.4あたりも重なっているような気がします。

天気予報では、これからまた悪天候の様子で当分観測はできない見込みで、残念です。

今夕のニュースでスイスで初の新コロナヴィールスの患者が見つかったそうで、いよいよこちらにもやってきました。その方はミラノに出かけていたそうです。他にオーストリア、クロアチアでも患者が見つかって、ヨーロッパにもじわじわと広がり始めています。

ASASJ071404+7004.3を観測

2月21日はよる久しぶりに一晩中きれいに晴れて長い観測ができました。

観測したのはASASJ071404+7004.3というCVで、赤緯が70度を超えていて、当地の緯度も高いので夕方19時ころから明け方5時半まで観測できました。

大変に変化の激しいライトカーブが得られました。変光範囲はVで0.2等くらいです。

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よく見るとまるでフレアのように急速に増光しているところが2回受かっているので、そのあたりで全データを2つ、赤と緑に分けました。

全体にはやや減光しているようなので lfit を使ってその減光傾向を取り除き、周期解析をして急増光の部分が重なる周期を求めてみたところ、0.230d.となりました。その周期と一番暗かったデータポイントを元期として位相図を作成しました。

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VSXには周期は記載されておらず、ここで見つかった0.230日の周期が何を意味するかはわかりません。22日、そして今夜も天気は悪く、この続きを観測したいのですが、残念ながらできません。

もう一つDSCTタイプの新変光星をVSXに登録 KaiV106

今月16日にMisV1398を観測してデータを処理していたらDeltaScutiタイプらしい変光星を見つけました。

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KaiV106の発見

それ以後天気が良い夜があまりないので観測できませんでしたが、幸い2018年12月、2019年12月の観測があったのでそのフレームからKaiV106のデータを集めて周期をかなり詳しく決定できました。その要素を使った位相図です。

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変光幅はわずか0.02等で、さすがにこれはATLASも検出していませんでした。

昨日VSXに登録申請したらすぐにOKが来ました。78個目でした。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=1540539

1月16日のMisV1398は第二極小があり、そのライトカーブ(位相図)です。

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緑色が1月16日のデータ。黒は以前の観測データ。