muttenz's blog

スイス星空だより

バーゼルのことなど

このブログのタイトルにあるMuttenzムテンツはバーゼル近郊の人口2万足らずの町で、この町に30年来住んでいます。ムテンツはユラ(Juraフランス式にはジュラ)山脈がライン川の河床に移るあたりにあって、町の中心にはスイスでもめったに見られない城壁に囲まれた教会(戦争の時に農民が逃げ込んだとか)があり、その辺りは古い建物が今も残っていて綺麗です。町の南はテーブルユラとよばれる高台が広がり、森、農地なので南の空が比較的暗いのが観測にはありがたいです。(C-11とST-7の組み合わせで観測しているのですが、空気の透明度が良ければ17-8等までうつせます。バーゼルの方向、北西の空はだめです。)

バーゼルチューリヒ、ジュネーブにつぐスイスの都市ですが、スイスの町と言っても格別綺麗でもないし、今まであまり日本から観光客は来ませんでした。近年になってここのカーニバルが日本のテレビなどで紹介されて、観光客もやや増え、その祭りの様子をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

文化的には古くから印刷業などが盛んなので、著作出版のために学者がやって来たりして(たとえば神学者エラスムス学術面でもさかえ、バーゼル大学は1459年に創立されています。

この大学の天文の分野では、最近では教授だったProf. TammanがアメリカのSandageとハッブル定数を求めるための観測を生涯やってました。でも10年くらいまえに予算削減の犠牲となって天文学科は廃止となり物理学科に併合されてしまい天文関係の講義もほんの数えるほどになっています。(いくつか講義を聴講しました。中でも3年前に天体観測の講義を1学期聴講してさらに観測所での実習、試験も受けさせてもらい無事受かりました。(実習のための観測所には60センチカセグランと40センチのシュミットカメラがあります。)それから後、自分で冷却CCDの観測を始めました。

天文に大いに関わりのある物理や数学では、ベルヌーイ家がここで活躍しています。また、大数学者オイラーバーゼルのそばの村リーエンで生まれ(生家は残っています)ここでヨハン・ベルヌーイに才能を認められて数学に進んだそうです。(ただ、彼の業績の大部分はサンクトペテルスブルク、ベルリンなどで行われています。)ここの大学で現在もオイラー全集を出版しているけどまだまだ終わらないそうで、彼の巨大さは計り知れないようです。2007年には彼の生誕300周年を祝う行事がバーゼルで行われて街を走る市電の中に記念の懸賞問題が幾つか張り出されました。

http://www.euler-2007.ch/wettbewerb/

その一つは3次元空間における多面体で15面、31辺、14点を有するものを作れというものでした。どんな多面体でしょう?