muttenz's blog

スイス星空だより

あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします

クリスマス前に、ベルリンに行き昨日戻ってまいりました。クリスマス、大晦日、元日などはあちこち休館日になるのであまり観光向けの時期ではなかったのですが、それでも、いろいろ見物したり、ベルリン・フィルを聴くことなど出来ました。

天文関係ではアルヘンホルト(Archenhold)天文台を見学しました。

この天文台の日本語のWikiの記事は次のアドレスです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%92%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%88%E5%A4%A9%E6%96%87%E5%8F%B0

ここには1896年に作られた世界一長い屈折望遠鏡があるので有名です。(その長さは21mでヤーキス天文台の19mより長い!ただ、口径は68cmとのことでヤーキスの40インチよりずっと小さいです。)しかもこの望遠鏡はいわば野ざらし。天文台に近づくとまるで大砲が建物から飛び出しているように見えます。

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屋上に上がって望遠鏡を操作して見せてくれる前に歴史的なことなどを館員が集まった40人くらいの人たちに説明してくれました。その時にこの建物の講堂で1915年にアインシュタインがベルリンで初めて相対性理論についての公開講演を行ったのだと説明してくれました。(ドイツ語でそこの扉にそのように記されています。)

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さて、屋上に上がって見るとさすがに大きいです。特に印象的なのは赤道儀の部分。

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巨大なフォーク式で、接眼部分が不動点にあり観測者はいつも同じ場所で見られるようになっていて、しかもそこの床は常に水平に保たれているので、たとえ望遠鏡をあちこち向けても転げ落ちる心配はありません。

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でもそこへ登り降りするにはやや複雑な経路を取らなければなりません。下の写真で右の階段からこげ茶色の木でできたところに乗り、そこから更に観測するところに小さな階段で降ります。

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全体はあまりに大きいので写していませんが鏡筒の重量に対するバランスの鉄の塊だけで計21トン、可動部分の総重量が130トンあるそうです。赤経のギヤとウオームギアです。

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観測しない時は北向きのポジションに置かれ赤道儀の部分は屋根で一応覆われていますが、観測の時はまず望遠鏡を下げて人が蓋を取り、赤道儀の屋根をケーブルカーのようにレールの上を滑らせて下の方にずらします。それからおもむろに望遠鏡を目標の方向に動かします。

この様子のビデオをドイツ語のWikiのページで見られるのでぜひご覧になってみてください。次のページに行って右下にある動画をクリックすると見られます。

http://de.wikipedia.org/wiki/Archenhold-Sternwarte

全体の模型が展示されていました。左に見える斜めの小屋が赤道儀部分を普段は保護している。赤道儀のあたりに見える茶色の部分の手前に丸い形のバランスウェイトが見られる。

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気の毒なことにこの望遠鏡を作るのに尽力したFriedrich Simon Archenholdはユダヤ系だったためにナチの迫害を受けることになり、奥さんと娘さんは収容所で殺されてしまいます。

この天文台の展示室には更にいろいろなものが展示されていたので、それについては明日以降書きます。