muttenz's blog

スイス星空だより

食変光星 SY Vul

夏休みで、ブログずいぶん長いことおやすみしてしまいました。その間に起こったこと、いずれだんだん書いていきます。

先週、タイトルの星を観測しました。以前から何度も引用しているドイツのBAVのウェブサイトで長いこと観測されていない食変光星でVulこぎつね座のを見るとSY Vulが出てきます。

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最後の極小観測は1962年10月、なんともう50年以上極小観測がありません。

VSXには周期として7.80182日が記載されていて、これはセバスチャンが昨年ASASデータを元に算出したものです。

(実は昨年9月にこの星のことを調べていたら、VSXに文献として記載されていた文献へのリンクが間違っていることに気付き、そのことをセバスチャンに報告したら、そのあくる日に彼はASASデータで周期を改定しました。)

でもその後で、僕はSWASPデータ等からもっと良さそうな周期を得られました。

下のphase plotで赤い点は1965年に発表されたMeiringerの極小データで、元期はなんと最初の極小観測で1903年のものです。周期を7.801767日とするとSWASPデータもMeiringerのデータもフェーズ0.0に持って来られます。

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ちなみにセバスチャンの周期でphase plotを作ると、このようにSWASPデータはずれます。

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新しい周期で今月の予報を出したら、25日20時(UT)に第一極小になるはず。それを先週観測しました。

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極小の底とその後の増光を捉えることが出来ました。

VSXのページで極小予報を出させると、26日2時42分(UT)でHJD2457229.613。僕の観測の終わりの方に当たり、僕の予報より約6時間半も遅く、今回の観測によってそれでは、明らかに遅すぎる。

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