周期不明の食変光星 V563 Her の周期を探そう
これから観測シーズンになる星座で周期不明の食変光星を前もって調査しておこうと、ヘルクレス座の周期不明の食変光星、V563 Herを調べました。
GCVS、VSX、Krakow、O-C gateway、BAVなどどこにも周期は書かれていません。
これはHoffmeisterが観測できた2回の極小時刻です。
2438525.560 Hoffmeister
2438587.436 Hoffmeister
その間隔は61.876日です。
サーベーデータを探したら幸運にもCRTSにありました。
なんと食らしきものが2回受かっています!
データをダウンロードしてそのあたりを詳しく読んでみます。
下のデータは上図で左の方の食のところです。2行目を除くと増光しているようです。
右の方の食は。これはきれいに少しずつ明るくなっています。
とりあえず、この2回の食の暗いデータポイントを極小時刻としてHoffmeisterの極小と合わせて4回の極小時刻を使ってスクリプトpfindを動かしてみました。
そうしたら、周期として61.83日が出ました。要するにほぼHoffmeisterの二つの極小の間隔です。(もちろん61.83を整数で割ったものも出ましたが。)その周期で4回の極小のNを計算するとこうなりました。 N
2438525.560 15.1 0 Hoffm 0
2438587.436 15.1 0 Hoffm 1
2453549.823073 14.960 0.0600 CRTS 243
2456456.777411 15.400 0.0600 CRTS 290
このCRTSの二回の極小の間隔を回数の差で割ってみると
2906.951/(290-243)=61.85002
この周期でCRTSのデータから位相図を作ってみたのですが、どうもピンとこない。
そうだ、CRTSのサイトでも周期を探させられるのだったとやってみました。
なんときれいな位相図が出てきます。
これはほぼ確実ですね!ご丁寧に第二極小付近で暗くなってます。
自分で位相図を作ってみました。元期としてはCRTSのデータ中一番くらい時を使いました。また、それにはHoffmeisterの極小も入れます。
上に書いたようにCRTSの2回の食のデータは共に増光時ですので、フェーズ0.0より右に来なければなりません。そうやって見たら自然とHoffmeisterの極小(青色で15.1等の点二つです)もほぼ0.0にのりました。
第一極小付近を拡大してみます。
2回の食のデータがきれいに増光のカーブを描きます。なのでこの位相図の要素はおそらくそんなに外れていないでしょう。
V563 Herの周期が6.18530日と見つかりました。(誤記を訂正しました。3月14日20時14分JST)