OQ GemのO-C
これの続きのようなものですが、さらにケプラーのデータが加わりました。
一つの周期と元期で色々なデータのカーブをうまく一致させたり、全部の極小観測時刻をフェーズ0.0に持ってくることは不可能です。そこでわかっている極小観測時刻から適当と思われる元期と周期を決め、その要素でそれぞれの極小観測のO-Cを見てみることにしました。
これが現在わかっている極小観測時刻です。
HJD N
2438406.6500 0 Hoffmeister
2439063.5300 273 Hoffmeister
2453056.4122 6089 Frank
2456788.050 7640 Kepler(幾つもあるので、中央を取りました)
2457774.5030 8050 Kasai
2457803.3770 8062 Kasai
HJD~Nで線形回帰をして切片と傾きを出してそれぞれを元期、周期にします。
その要素でそれぞれのO-Cを出してグラフにしたものです。
左の端の二つがホフマイスターの、6000のあたりのがフランク、最後から二番目のがケプラーの、最後の二つが私の極小観測です。これらをうまく説明出来るものとして、波のような周期変動を仮定しました。
しかしどうもうまく行きません。終わりの方の拡大図ですが、どう見ても波の上にデータが乗っているとは言えません。
このままでは行き止まりです。そこで、もう一度始めから見直してみることにしました。
そもそも極小時刻を間違えて書き写していないだろうか?とか、自分の観測の極小時刻をもう一度測り直してみようかとかです。フランクの値はあっていました。自分の極小時刻はもう一度やり直しましたが上記の値で妥当と思われます。
ホフマイスターのデータが載っているAN(Astronomische Nachrichten)をもう一度読み直しました。これがそのデータが記載されているところです。
赤で囲ってある所、11.がOQ Gemの極小時刻で、2438406.65の2430000は省略されて8406.65と書かれており、その後に(乾板シリーズ)とカッコに書かれています。その次に9063.53とあるのが二つ目の極小時刻です。
8406の夜は上の方の5.の星の説明にも出てきて(赤線を弾いた部分)、5.の星の一時間おきの光度が書かれていて、その夜には計11枚の乾板が撮影されていることがわかります。(それが「乾板シリーズ」の意味する所のようです。)この記述からその最後から二番目の乾板でOQ Gemの極小が観測されていたことがわかりました。それに対して、9063.53の時刻は他の星であちこち水色のところに見られますが、その夜の他の時刻は見当たらず、単発の観測であったことが推察されます。したがって、これは極小時刻を観測したのではなく、その時の乾板で暗く写っていたという事実を書いたに過ぎないと思われます。なので、この極小時刻からO-Cを出すことは意味がないということになりました。(後で得た元期と周期からその日の極小を計算したら、9063.466となり、9063.53の時には暗かったはずだと確かめられました。)
以上のことから極小時刻の候補は一つ減り、O-Cの状況は大変に変わります。