muttenz's blog

スイス星空だより

OT LacでPhoebeを使って見よう

OQ Gemのケプラーデータを使ってのPhoebeによる解析もほぼ出来ることはやったので、一つ別の星をやってみようと、OT Lacを考えました。

以前にも書きましたが、OT Lacは2014年秋に周期などを見つけた大変に思い入れのある変光星です。

muttenz.hatenablog.com

これは楕円軌道の連星で、位相図はこのようになっています。

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位相図のカーブは完全には埋まっていませんが(第二極小後は大穴があいています)それでもPhoebeで解析できるかもしれません。(実はNgaさんが変光星観測者会議などで何度か発表されていますが、今回は練習のためにNgaさんが発表なさった結果を二つの星の温度以外見ないでやってみることにしました。。)

まず困ったのはどうやって離心率eや近星点の位置omegaを見当付けるかでした。

インターネットと言うのは本当にありがたいものです。ある論文を見つけました。

http://www.astro.bas.bg/AIJ/issues/n23/DKjurkchieva.pdf

その中で

e0*cos(omega0) = Pi/2*[(fi2-fi1)-0.5] = a

e0*sin(omega0) = (w2-w1)/(w2+w1) = b

で大雑把にe0とomega0の値を見当つけられるとありました。

ここでfi1 fi2はそれぞれ第一極小と第二極小のフェーズの位置。fi1は通常位相図では0.0に取ります。

w1 w2はそれぞれ第一極小と第二極小の食の幅をフェーズで表した値。

上の図からfi2やw1 w2などを測り、

a = -0.0880  b = -0.0256

を得ました。

e0^2 = a^2+b^2

tan(omega0) = b/a

の関係を使うと

e0 = 0.092  omgega0 = 16.22degとなりました。

ここで常にe0 >= 0でしかもsin(omega0) cos(omega0)共にマイナス。したがってomega0の象限は第3象限でなければなりません。omega0 = 196.22 deg = 3.425 rad

が得られました。