muttenz's blog

スイス星空だより

ようやくV343 Lac のデータ改訂をVSXに登録できた

この食変光星は2016年冬から観測し始めて3シーズン目になります。この8月に第二極小を観測しようとしてドジをして半かけの極小観測になってしまいました。

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この食変光星の周期は一応VSXやGCVSには載っていて6.471914日となっています。BAVには一つだけAngererの極小観測がありますが、O-CGatewayには周期の記載はありません。Krakowの予報サイトにはGCVSの要素で予報が出ています。

観測開始当初はVSXの値が正しいと思っていろいろと考えています。古いブログの記事を読み直すとそのあたりが今になってみると面白いです。

食変光星V343 Lacの続き - muttenz's blog

2016年から観測を続けてきてこの星の本当の周期はVSXなどの周期のほぼ2倍が正しいとわかりました。

昨年からは倉敷の赤澤さんが観測を手伝ってくださって日本スイスの連携で極小への連続観測が出来ました。

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今シーズンにもお手伝いいただき、データもたっぷり溜まったので先日来VSXにデータの改訂をすべく再測光を含め数日かかって整約しました。昨日ようやく改訂を申請、昨晩受理されました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=16932

これが全体の位相図です。青が赤澤さんの、緑が私の観測データです。

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第一極小付近。(データを絞ったのでちょっとスカスカです。)

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第二極小付近です。明らかに極小がフェーズ0.5から外れて0.49ぐらいです。たった0.01と思いますが、周期が13日弱ですのでそのズレは時間にすると13日の1%、0.13日=約3時間となり、観測で完全にわかります。

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古いRicAのデータが少々ずれてますが、これがApsidal motion によるものかはわかりません。感じとしては観測の誤差でしょう。BAVのAngererのデータは第二極小のど真ん中。

第一極小には底はありませんが第二極小の底は平らに見えます。皆既食なのでしょうか?2つの極小の光度差は0.01Vとほとんどないのでほぼ同じような星と思われますが、少し大きさに差があるのかも。

なお、この変光星の食外にあきらかにDSCTの変動がしばしば見られますが(上の2つの位相図で食の開始前のあたりに見えます)、あまりはっきりしないこともあります。第一極小の食ではDSCT的な変動が見られるようですが、第二極小の食は見られないようで、DSCT変動は伴星のほうかもしれません。とにかくoEAということでこれについてはこれからの解析、観測を待ちましょう。