muttenz's blog

スイス星空だより

FY Ori のデータ改訂をVSXに申請、無事に受理されました

2月にこの変光星を観測して、周期や変光範囲などを決めることができたのでVSXにデータの改訂を今日申請しましたが、すぐに受理の返事が来ました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=23251

ASAS-SN Variable Stars Database が発表されて、命名されていても今まで周期が不明だった変光星でもずいぶんと周期、変光範囲がわかりました。しかし場合によってはASAS-SNの観測でも周期が見つからなかったり、比較的近くに明るい星があったりして観測できなかったり、未だに命名されていながら周期不明の変光星もあります。

FY Oriの場合はASAS-SN VSDB で周期は3.6794106 d.となっていて基本的には十分な精度の周期です。しかしそのデータと、ある晩の極小観測を組み合わせると、もっと精度を上げて周期を決められます。下の位相図で減光、増光のカーブが観測のカーブと重なるような周期を探します。

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VSXに報告したFY Ori の位相図

そうやって今回出した周期は3.67935 d.です。(小数点以下の桁数が多ければ精度が高いわけではありません。)

2月14日のブログに書いたように、Hoffmeisterによる1944年のこの星の極小観測の記録が残されています。

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Hoffmeisterの観測記事

それを位相図に入れると青い点のようになります。彼の観測は写真等級なのですが、かなりV等級に近い感じで、カーブも私の観測のライトカーブに並行です。ただ、ずいぶんずれています。彼のライトカーブがフェーズ0.0からの増光カーブに乗るような周期を探すと、今度はASAS-SNのデータポイントが緑のカーブに乗らなくなるのです。このことはHoffmeister発見の頃から周期が変化したことを意味すると思われます。この場合、周期は発見時より少し長くなってきているはずです。