muttenz's blog

スイス星空だより

KaiV110の発見からVSX登録まで  「観測をするとしないとでは。。。」

「観測をするとしないとでは無限大とゼロの差がある」という本田實先生のお言葉を倉敷の赤澤さんが座右銘としておられると、かつて教えて下さいました。 そのことを実感したのが2020年11月6日でした。 その日、久しぶりに観測ができそうな天気が巡っ…

KaiV110の発見からVSX登録まで 「周期を探す」

下図は前回書いた2回めの極小のライトカーブです。 最初の極小から9.004日後の9月18日にまた極小が受かった 前回書きましたが、9日あまりでまた極小が受かった場合、この2回の極小が同じ極小であったのか、それとも異なる極小だったのかは、今回…

KaiV110の発見からVSX登録まで

あけましておめでとうございます! 本年もどうかよろしくお願いいたします! 予告いたしましたように、昨年発見した新変光星、KaiV110をVSXに登録するまでの経緯を書きたいと思います。 2017年5月に矮新星を観測していてKaiV66と67を発見しました。以来…

2020年のVSXへの新変光星の登録は7個

今やいろんなサーヴェーが新変光星をごっそり見つける世の中ですが、それでもこの一年で合計7個の新変光星をVSXに登録できました。 内訳は私のKaiVが4個(105,106,110,107)、伊藤さんのItohVが2個(03,02)、山本さんのYmoVが一つ(30)です。 伊藤…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (6)

先日大島さんが、ピント少し外してドーナツ状の星像でもAIP4IWINではちゃんと星像として認識してくれますよと書いて下さいました。 下は以前に載せた2段ピントを外して撮影した画像ですが、最初はこれを調べても役に立たないのではと考えましたが、念の為に…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (5)

前回、「ピント少し外し」、「高輝度側、階調優先しない」のオプションで撮影した画像のリニアリティを載せましたが、同じピントのママで「高輝度側、階調優先」を「する」にして撮影した画像のデータです。アパーチャーはまた3.5に取りました。 「ピント少…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (4)

今まで書いてきたことは金田さんとメールをやり取りして色々とご意見を伺いながらやってきました。 どうもリニアリティが21000付近で破綻しているようで、これだと観測できる星の範囲が狭まるとの危惧に、金田さんがピントをぼかして撮影したらどうかと提案…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (3)

AIP4WINにフレームを一枚取り込んでSingle Star photometry tool を起動し、アパーチャーサイズを決めて画像の星をクリックしていくと次のようなデータが最終的に得られます。 V1,V2はクリックした星の座標 V3はそれぞれの星のアパーチャー内でのピーク値 V…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティについて(2)

もう一度復習しますと、今回のANDRTのライトカーブの歪みは測光ソフトや、測光の仕方が原因ではなく、キャノンの受光部がある輝度(それも比較的低い)をこえるとリニアではなくなり、そこの範囲では撮影された星像のフラックスが本来ならあるべき量より少な…

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (1)

今年春から10cmのニュートン反射にCanon EOS Kiss X7をつけて食変光星の極小を観測し始めました。色々と問題が生じましたがなんとかデータとして使えそうな観測になってきました。 ところが、かなり重大な問題が起こりました。 ことの起こりは今年11月12…

木星と土星(と木の枝)

もうすぐ最接近と騒がれている木星と土星の(見かけ上の)接近。これは日食や星食と違ってまあ世界中で見られるわけですが、両星ともに南の方にあるのでスイスだと高度が低いです。日没後の見られる時間も極めて短い。とハンディキャップが色々とあって撮影…

ハヤブサ2、カプセルの帰還のライブ中継を見た

ハヤブサ2の地球への帰還そして再出発、カプセルの大気圏突入のライブ中継は素晴らしかった。日本だと夜中の2時からの中継で起きているのが少々辛いだろうが、スイス時間だと夕方6時と最高の時刻。ゆっくりと1時間半の中継を楽しんだ。色々の説明や動画…

山本さん発見の新変光星、YmoV30をVSXに登録

この新変光星は山本さんが発見されて今年11月8日にVSOLJに報告なさっていました。その記事を読んでASASSNのデータをダウンロードして周期や変光範囲などを決めて昨日VSXに登録申請したら今日受理されました。なおVizieRを見ても変光星として上げているカ…

新変光星がまた一つ見つかった

昨晩はカシオペア座にあるKaiV104を一晩中観測しました。その撮像フレームからほんの僅かに変光している星を見つけました。 VSX、VizierRを参照したら、ATLASがdubiousと報告していて周期はハズレのようです。 おそらくEAでしょうね。

小惑星 リュウグウ を撮れた

もうすぐハヤブサ2が戻ってきますが、ハヤブサが訪れた小惑星「リュウグウ」が夕方にちょうど写しやすいところにあるようなので撮ってみました。16.7等とあったのでノーフィルター、積分時間1分で撮影しました。移動速度は1.8"/minとあり、ルーペで画像を…

KaiV111の周期を求めた

前回の投稿でゆっくり小さな変動をしている変光星、KaiV111を見つけたと書きましたが、6月からの観測フレームでこの星が写っているものを全部測光したデータから周期を求めてみました。一番良さそうな周期は12日あまりで、その周期で作った位相図です。 …

KaiV110の続き

KaiV110は前回の投稿記事に書いたEAらしい新変光星ですが、その後観測を続けていたらなんと9日後の9月18日にまた極小が受かりました。その間、ほぼ毎日観測できて、下はそのライトカーブです。緑がKaiV110、青はチェック星。 一番左が初めて極小が受かった晩…

KaiV67の副極小をようやく観測できた! そして新変光星を2つ発見!

KaiV67の周期はほとんど5日なので毎日観測できたとしても5日ごとにほとんど同じフェーズが観測されます。今年6月から観測し始めてようやく副極小がスイスで観測できる時期になりました。昨晩はUT20.568時に副極小の予報でした。下図が昨晩の観測。 ほぼ予…

KaiV87の第一極小と、第二極小への減光が受かった

KaiV87は2年前にV583 Cygの観測中に見つけたEAの変光星です。 以前にも書きましたが、VSXには記載なし、ATLASではDubiousの分類で記載の周期は完全にハズレです。しかしおそらく他のサーヴェーでももう発見されていることでしょう。 発見以来の観測で位相図…

不思議な変化を示すKaiV67

KaiV67についてはこれまで数回報告しています。 簡単に要約しますと、2017年TCP J20100517+1303006を観測していて見つけた変光星で、その後、昨年までの観測で周期はほぼ5日のEAということになりました。 下図で青はClearフィルター、緑はVフィルターに…

Neowise彗星 その後

前回のブログ投稿の後、13日早朝はきれいに晴れました。3時半ごろに起きて玄関を開けるとちょうど正面にNeowise彗星がまっすぐ垂直に立って見え素晴らしく幻想的な眺めでした。家からすぐ前の私道に入って撮影したので、早朝に家人に怪しまれて警察にでも…

スイスでもNeowise彗星が見えた!

昨夜は24時頃からまずKaiV101を反転する頃まで観測し、望遠鏡を止めるために朝4時に起きました。すぐに二階の北側にあるトイレの窓を開けてNeowise彗星が見えないか、あまり期待しないで見たらなんと向かいのアパートの左に見えるのでびっくり。そこで、…

昨年VSXに登録したKaiV39のデータを改訂

KaiV39は小熊座にあり赤緯も79度と北極星の近くになります。この変光星は2016年にASASSN-16hbを観測中に発見したのですが、大変に暗い星で、その後観測は昨年までしませんでした。 2016年7月発見時の画像 しかしせっかく見つけた変光星、うかうか…

久しぶりにCVの観測 GP CVn

先週はずっと雨が続きましたが、また晴れの天気になり、3晩続けてGP CVnを観測できました。 このCVは食がありライトカーブは深い食で区切られます。 5月16日のライトカーブ 3晩のライトカーブです。 伊藤さんが観測されているのと合わせて周期を出して…

伊藤さんが発見された新変光星2つをVSXに登録!

伊藤さんがMASTER_OT_J061642.05+435617.9の観測中に発見された新変光星2つをVSXに登録できました。 ItohV03はDSCTタイプで変動も小さいのでサーヴェーにも引っかかりにくく、新変光星は明らかで、周期を見つけ割とすんなりと登録できました。 もう一つの新…

金星とプレアデス 4月3日夜

金星がスバルに最接近したのは4月3日の夜で、天気に恵まれてきれいに見えました。 撮影機器、露光時間などは2日と同じ。2020年4月3日19時11分(UT) このところ実に良い天気が続いていて、コロナヴィールスの感染拡大を少しでも抑えるための外出…

金星とプレアデス

金星がプレアデスに近づいていて、明日、3日には最も近づきます。 明日の天気はひょっとしたら曇るかもしれないので、記念撮影をしておきました。 10cm 反射望遠鏡 f = 600mm キャノン EOS Kiss X7 ISO 1600 露光時間4秒

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

先日来、赤澤さんが観測を続けて下さいまして、昨晩の観測ではフレア的な増光を観測できたそうです。赤澤さん、どうもありがとうございます! HJD-2458900 = 10.98付近の急激な増光に注目 このような現象を伊藤さんも観測しています。 時間的にそれほど長く…

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

スイスの天気はまたずっと悪天候の予報です。そこで倉敷のAさんにこの星の観測をしていただけないかメールを差し上げたら、やってくださるとのこと。倉敷の天気も夜半から良くなったそうで、データをいただけるのを楽しみにしていました。 一方、昨日までの…

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

21日と24日のデータを合わせた昨日の周期解析は、21日の急速な増光が0.23日の間隔で起こったので、周期が0.2-0.3日の範囲と思い込んでやっていました。 今朝になって、はたともう一度周期を0.1-1日の広い範囲でPDM解析をするべきではないかと気が付き…