muttenz's blog

スイス星空だより

サンクトガレンに行ってきました。(1006年の超新星)

昨日、日曜日、かつて教えた弟子に招待されてサンクトガレンに行ってきました。まず、ボーデン湖が見えるレストランで美味しい食事。弟子の家に移動してデザートをいただき、それから弟子が予約しておいてくれたガイドさん付きでサンクトガレンの有名な図書室の見学をした。ガイドに来てくれた人は、この街随一のガイドで、前国連事務総長だったコフィ・アナン氏がこの図書室を訪れた時にも案内役を努めた人。大変博識な人で人の名前から年代までスラスラとよどみなく出てくる。ちなみに彼女はガイドを英独仏伊の4ヶ国語でやれるそうで、今度はスペイン語も入れるとか。日本語はまだだって笑っていた。

バロック様式の図書室に入って上の方を見るといわゆる7学芸を象徴した小さい天使像があり、ひとつは望遠鏡を手にしている。これは天文を象徴していますと説明があったので、僕の趣味は天文ですと言ったら、ここの修道院には1006年に超新星を見た記録が残っているとのこと。そうだ、狼座の超新星の記録がここだったのだと、言われて思い出した。

今日確かめてみたらWikiの記事(http://ja.wikipedia.org/wiki/SN_1006にも、サンクトガレンの修道院の記録のことが書かれている。

どっかで読んだ記憶によればこの修道院はほとんど北限に近かったということだった。よし、検証してみよう。

修道院の緯度は北緯47度25分24秒(Wikiによる)

狼座の超新星の赤緯は-37度43分40秒(1006年原点で。Guide9.0による)

ということは、サンクトガレンで南中時でも高度は5度に満たなかった事になる。あのあたりは開けてはいるが、周りに山もあり良く見られたものだと思う。(現在は超新星の赤緯は-41度54分なので高度1度にも満たずほとんど見えないだろう。)

図書室で今やっている展示は聖書についてで、古いギリシャ語の写本、その初期のラテン語訳本など1000年以上たった羊皮紙の本がいくつも見られた。ある聖書は重さ12キログラムもあり、それ1冊を作るためには羊が二百頭以上も必要だったとか。

羊皮紙は非常に貴重だったので古い写本を時には書いてあるものを削って消してしまい、その上から新しく書いたとか。(パリンプセストと言う)(そのような写本も展示されていた。)

今回の展示とは関係ないが、パリンプセストといえばアルキメデスの写本がパリンプセストの形で見つかってセンセーションになったことがある。(「解読!アルキメデス写本」、光文社)