muttenz's blog

スイス星空だより

KaiV12の観測を再測光して

KaiV12は、9月4日にCV、ASASSN-13cvを観測したフレームから発見しました。

 http://muttenz.hatenablog.com/entry/2013/09/08/052418

その時点では比較星とチェック星を用いてする普通の 測光法でライトカーブを作りました。

f:id:muttenz:20140109040141j:plain

この変光星はDSCT、たて座デルタタイプだと、Sebastian Oteroに指摘されました。

 http://muttenz.hatenablog.com/entry/2013/10/21/045416

ここでこのライトカーブに見られる2つの極大に差がありますが、彼の説明では、DSCTの場合基本の変光周期の他に別の周期があって、そのためにこのような事が起こるので、ぜひ基本周期だけではなく、他の周期も見つけてほしいとのこと。

 http://muttenz.hatenablog.com/entry/2013/10/30/044429

しかし、この極大光度の変化がリアルかどうかが、どうも気になっていました。というのも、このライトカーブでx軸の0.475のあたりに穴がありますが、これはこの時間に望遠鏡をフリップしたためです。望遠鏡をフリップするとどういうわけか、ライトカーブにギャップを生じることがあります。

http://muttenz.hatenablog.com/entry/2013/11/23/071601

今回もそのために2番めの極大が暗くなっているように見えるかもしれないからです。

最近になって、アンサンブル測光のやり方、そして測光の際にアパーチャーをそれぞれ個々の星の動きに自動的に追跡させてやるやり方を見つけたので、その方法を使って、9月5日の観測フレームを再測光してみました。

f:id:muttenz:20140109041713j:plain

 

上下二つを比べてみると、極大の差がやや少なくなっているようですがやはりあるように見えます。特に2回めの増光部分が下のほうでは、はっきり上にまで伸び、フリップ後の減光開始も上のに比べて明るくなっています。ただ、全体には光度曲線がボテッと太くなってバラツキがむしろ増えてしまった感じです。(特に1回めの減光部分)

この観測はClearフィルターでしたが、その後Vフィルターで12月まで観測したフレームを同じようにアンサンブル測光して得たデータから周期を求めたら、0.08744dが得られました。その周期でそのデータからphase plotを作ったのがこれです。

f:id:muttenz:20140109042915j:plain

今回はアンサンブルとして5つの星を用いました。その合成等級を計算するのにRで恐ろしく簡単ですが、スクリプトを書きました。

# to calculate the composite magnitude of stars for ensemble photometry

m <- c(11.477,12.208,13.786,13.464,12.104)    # vector, magnitudes of stars

M <- (-2.5)* log10(sum(10^((-0.4)*m)))

M

一行目のc(..............)の中にアンサンブルの星の等級をコンマで区切って入れます。Mが合成等級になります。この場合、M=10.549。

星の個数はいくつでもかまいません。R言語でのベクトルの扱い方が実に便利です。