muttenz's blog

スイス星空だより

Canon EOS Kiss X7 のリニアリティーについて (5)

前回、「ピント少し外し」、「高輝度側、階調優先しない」のオプションで撮影した画像のリニアリティを載せましたが、同じピントのママで「高輝度側、階調優先」を「する」にして撮影した画像のデータです。アパーチャーはまた3.5に取りました。

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「ピント少し外し」、「高輝度側、階調優先する」とした画像のデータ

顕著なことは、星のアパーチャー内のカウントの合計V5の値が、「高輝度側、階調優先しない」のV5と比較すると半分に減っています。従ってV6の値も約0.75等暗くなっています。そして一番明るい星のピーク値が22000あまりと、かなり低くなりました。

上記のデータのグラフです。

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「ピント少し外し」、「高輝度側、階調優先する」のオプション

これだと見事に一番明るい星も線形モデルの線上に乗りました!

難を言えば今度は暗い星が線から外れています。

このグラフから、「高輝度側、階調優先」のオプションを「する」にするとリニアリティが明るい星まで保持されていると思われます。その際全体のフラックス値を下げてそれを可能にしている感じです。なので暗い星で精度が悪くなるのかもしれませんが、このあたりはもっとテストをしなければはっきりしたことは言えないと思います。

なお、ピントを少し外したからには星像も少し大きくなっていると考えられるので、アパーチャーのサイズを3.5から4.5に大きくしてデータを採取しました。しかし本質的な変化があるようには見えませんでした。いくつかのデータポイントが線形モデルの線にほんのわずかですが近づいたのがあります。(3,4、5番目と最後の)

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上の図と同じフレームで星のアパーチャーを4.5にして得たデータをグラフ化

これまでのことから結論としては、Canonを使って測光観測をする場合にはピントをぼかす「高輝度側、階調優先」を「する」に切り替える(ISOの表示の部分にその場合D+の表示が出ます。)が良さそうです。

次回は今まで述べていないいくつかの点について書きたいと思います。