muttenz's blog

スイス星空だより

GaiaのGmag, BPmag, RPmagからVmagを得る

今までのところかなり暗い星の光度データで一番信頼されているのはAPASS (AAVSO Photometric All Sky Survey) かと思いますが、これも16等ぐらいからデータが無い星もいっぱい出てきます。

Gaiaのデータが発表されてから、そこに記載されているGmagだの他の光度のデータがVだのBだのいわゆる標準光度システムに変換できないかと思っていました。

今日は半日かけてそれに取り組みました。

まず論文探しです。

そうしたら、こういう論文がありました。

GAIA-C5-TN-UB-CJ-041

https://www.google.com/search?q=GAIA-C5-TN-UB-CJ-041&oq=GAIA-C5-TN-UB-CJ-041&aqs=chrome..69i57j69i60.1479j0j8&sourceid=chrome&ie=UTF-8

そこにはいろいろと詳しくフィルターのことやら説明がされていますが、必要な変換のための、色と色との関係式も出てきます。

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論文の10ページに出てくる表1

この表は、一番左の列のフィルターによる光度差を、(V - I ) の多項式で表わしたときの、式の係数を表にしたものです。

しかし、実際にGaiaのデータからVを計算する場合にVはもちろん、Iもわかっていないわけで、当然 V - I もわかっていません。

VizieRに行ってGaiaのデータでG, GBP, GRPなどは見つけられるのでG - GBPや G - GRPは決まります。

そこで3段目や4段目の関係からV - Iを求めれば良いのですが、これだと3次方程式の解を求めなければなりません。3次方程式の一般解は面倒くさいのでニュートンの近似法を使い、このプロセスをR言語のスクリプトにして、いろいろと試してみました。

例えば、このところMisV1408のすぐそばにある星のVが欲しかったのですが、普通の星表では見つかりません。

Gaiaでは

Gmag=16.5458/BPmag=17.3054/RPmag=15.6741とあり、

BPからはV-I=1.470 V=17.028、

RPからはV-I=1.436 V=17.011

が得られました。

 

V - Iがちゃんと関係式を満たすかどうかは確かめました。GBPを使うのとGRPを使うのとで場合によっては結果にV等級で0.05等ぐらいの差は出てきますが、大体はそれほど大きな差はなく、リーズナブルな値と思われます。上の例ではその差はわずか、0.017等でした。

これを使って17等台より暗い星のVが一応求められるようになりました。