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スイス星空だより

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータから B - V 、V - Rc、 V - Ic などの色指数の推定値を得る

7月20日のブログでB - V と BP - RPという色指数の関係式について書きました。

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(4) - muttenz's blog

 

ここにB - V 、V - Rc、 V - Ic とBP - RP の関係図と推定式をまとめておきます。

B - V

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g(B - V) = -0.083509 * bprp ^ 3 + +0.282372 * bprp ^ 2 + +0.580821 * bprp + -0.014337

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a -0.083509 0.002595 -32.180 < 2e-16 ***
b 0.282372 0.009104 31.016 < 2e-16 ***
c 0.580821 0.010190 56.999 < 2e-16 ***
d -0.014337 0.004268 -3.359 0.000787 ***

 

V - Rc

f:id:muttenz:20210726013559p:plain

g(V - Rc) = -0.0204691 * bprp ^ 3 + +0.0967384 * bprp ^ 2 + +0.3545388 * bprp + +0.0145966

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a -0.0204691 0.0006667 -30.70 <2e-16 ***
b 0.0967384 0.0023388 41.36 <2e-16 ***
c 0.3545388 0.0026178 135.43 <2e-16 ***
d 0.0145966 0.0010965 13.31 <2e-16 ***

 

V - Ic

f:id:muttenz:20210726013930p:plain

 g(V - Ic) = 0.0071876 * bprp ^ 3 + +0.0635081 * bprp ^ 2 + +0.7474902 * bprp + +0.0573296

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a 0.0071876 0.0009006 7.981 1.72e-15 ***
b 0.0635081 0.0031593 20.102 < 2e-16 ***
c 0.7474902 0.0035362 211.384 < 2e-16 ***
d 0.0573296 0.0014811 38.707 < 2e-16 ***

 

最後になりますが、Gaia DR2の各バンドの特性のグラフです。(Gaia DR2のサイトから取りました。)緑がGバンド、青がBP

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Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(5)

今までBバンドとVバンドの推定式を記載しましたが、同様にRcバンドについて図と推定式を記載します。

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 推算式です。

Rc= Gmag - (-0.024190 * bprp ^ 3 + -0.057060 * bprp ^ 2 + 0.325737 * bprp + -0.003917)

gRc - Rc の標準偏差は 0.0214 です。

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(4)

今までの続きとして、RcバンドとIcバンドに関して記述してもよいのですが、別の視点からデータを解析してみました。

先日大島修さんが掲載しておられた「測光システムとフィルター 標準星」

otobs.org

を読んだ時のことを思い出しました。

今までは Gmag - V(Landolt) を左辺に、右辺に BPmag - RPmagの3次式を置き、3次式の係数を求めていました。左辺で2つの測光システムが混ざっています。

なんとなくスッキリせず、左辺をB - V (BもVもLandoltから)としたらどうだろうかと考えました。

つまり、Landoltからの B -  V をy軸に、Gaia DR2からの BP-RP をx軸にプロットし3次式のモデル式の係数を求めました。

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昨日投稿当初の図が間違えていました。この図が正しい図です。

B-Vという色指数とBP-RPという色指数の関係となり、かなり直線に近く右上がりで、ほぼ(0,0)の原点を通ります。

GaiaデータのbprpのみからB-Vを推定できます。

g(B - V) =  -0.083509* bprp ^ 3 + 0.282372 * bprp ^ 2 + 0.580821 * bprp + -0.014337

パラメータです。

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a -0.083509 0.002595 -32.180 < 2e-16 ***
b 0.282372 0.009104 31.016 < 2e-16 ***
c 0.580821 0.010190 56.999 < 2e-16 ***
d -0.014337 0.004268 -3.359 0.000787 ***

 

ところでgBを求める式は

gB = Gmag - ( 0.079788 * bprp ^ 3 + -0.436169 * bprp ^ 2 + -0.609623 * bprp + -0.004176)

でした。

gVを求める式は

gV = Gmag - (-0.003721 * bprp ^ 3 + -0.153798 * bprp ^ 2 + -0.028802 * bprp + -0.018513)

でした。上の式から下の式を左辺、右辺それぞれ引くとGmagは消えて

gB - gV = - ( 0.079788 * bprp ^ 3 + -0.436169 * bprp ^ 2 + -0.609623 * bprp + -0.004176) + (-0.003721 * bprp ^ 3 + -0.153798 * bprp ^ 2 + -0.028802 * bprp + -0.018513)

式をまとめるとbprp ^ 3、bprp ^ 2、bprp、定数それぞれの係数は

- 0.079788 -0.003721 = -0.083509

0.436169 + -0.153798 = 0.282371

0.609623 + -0.028802 = 0.580821

0.004176 + -0.018513 = -0.014337

となり、B - Vとbprpの関係式を直接求めた式の係数が出ました。(上記のパラメータ参照)

つまり

g(B - V) = gB -  gV

でした。

一つの同じデータから二種類のプロセスで得た結果ですから同じ係数が出ても不思議はないのですが、ここまで合うとは思いませんでした。

 

 

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(3)

Vバンドに関して行ったことをBバンドでもやりました。

説明は同じなので省いて、図だけを掲載します。

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Gaia DR2から推定したBバンドの光度gBの推定式は
gB = Gmag - ( 0.079788 * bprp ^ 3 + -0.436169 * bprp ^ 2 + -0.609623 * bprp + -0.004176)
となります。
標準偏差は0.0539 でVの場合よりやや悪いです。

パラメータです。

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a 0.079788 0.002650 30.104 <2e-16 ***
b -0.436169 0.009298 -46.909 <2e-16 ***
c -0.609623 0.010407 -58.576 <2e-16 ***
d -0.004176 0.004359 -0.958 0.338

 

 

 

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(2)

Landoltの星表にある各星の位置情報からそれに対応するGaia DR2のデータを取得することを金田さんがやってくださったわけですが、プログラムでそれを自動化してもそう簡単なことではなかったそうです。

Landoltに記載の星でGaia DR2に対応する星がなかったり、2つの星が出てきたりとか、Gaia DR2のデータの一部が欠けていたり、bprpの値が適用範囲外だったりで、16等未満の星の中から326件を除外しなければならなかったそうです。そうやってLandoltとGaia DR2のデータとを対応できたのが前回書いた6070個の星を含む星表となりました。

 

必要なデータが出揃ったので、B、V、Rc、Ic各光度ごとに前回記述したようにプロットして非線形回帰のモデル式

y = a x (bprp) ^ 3 +  b x (bprp) ^ 2 + c x (bprp) + d

の三次式の係数をR言語の nls 関数で求めました。

ここではVの場合を説明します。

ある星のGmagとLandoltからのVmagの差をy軸に、BPmagとRPmagの差をx軸にとってLandoltの星表の星をプロットします。その図で黒点一つ一つが星表の星を表しています。

 

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nls 関数を用いて算出した各係数は図中のとおりです。

Gaiaから推算したgV光度とすると、上の式を変形して、

gV = Gmag - ( a x (bprp) ^ 3 +  b x (bprp) ^ 2 + c x (bprp) + d )

によってGmag、BPmag、RPmag から各星のgV推定光度を算出します。

 

下はそのgVを縦軸に、LandoltからのVを横軸に採ったグラフです。

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 この図からわかるようにgVとLandoltからのVmagはかなりよくあっています。そこで、その差をとって、それがVmagによってどのように分布するかを次の図にしました。

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gV - Vmag vs Vmag

当然予想されることですが、星が暗くなるとgVとVmagの差が大きくなっていきます。

かなり外れているものも見受けられるのですが、6000個に比べたら比較的少ないとも考えられます。このヒストグラムを作ってみました。

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このように大部分の星でそのGaiaからの推定値はLandoltの値から0.05等以内に入っています。

実際に標準偏差は0.0199等でした。

gVの推算式を書いておきます。

gV = Gmag - (-0.003721 * bprp ^ 3 + -0.153798 * bprp ^ 2 + -0.028802 * bprp + -0.018513)

なお、nls関数で求めた係数に関するパラメータを下に書いておきます。

Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a -0.0037209 0.0009801 -3.796 0.000148 ***
b -0.1537979 0.0034385 -44.729 < 2e-16 ***
c -0.0288018 0.0038486 -7.484 8.26e-14 ***
d -0.0185133 0.0016120 -11.485 < 2e-16 ***

 

Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る  新しい試み(1)

このタイトルで今年の初め頃にも一度ブログに書きました。

muttenz.hatenablog.com

この時に使ったのはGaiaのホームページにあった、Gaiaの測光システムと色々な測光システムとの関係式でした。

その際、V、Rc、Icの推定光度をGmag、BPmag、 RPmagから得るのに二次のオーダーの関係式でやったのですが、Bの光度推定はできませんでした。

札幌の金田さんがなんとかBの推定光度を出す方法がないかと訊いて来られたので、三次方程式を解く方法を一応提案したのですが、問題が生じてしまうのでなんとかならないか色々とやってみました。

 

これからここに書くことは今年3月頃、金田さんと一緒にやってみたことです。

先のGaiaのホームページにあった関係式がどのような手法で得られたかについて(話しをV光度の場合として)概略を説明します。(これはGaiaのページで説明されているわけではなく、掲載されている図から推測したものです。)

Vをある星のLandoltの星表からのV光度値、Gmag、BPmag、RPmagをその星のGaia DR2での光度値、bprp = BPmag - RPmagとします。

Gmag - V をy軸にとり、bprpをx軸にとってプロットし、それの非線形回帰として

Gmag - V = a x (bprp)^2 + b x (bprp) + c  という二次のモデル式の係数を最小二乗法で求めたもののようでした。(Rc、Icも同様に関係式を求めているようです)

ただし、どのようなLandoltの星表を使ったのか、どのくらいの星数が使われたのかは記載されておらずわかりません。

 

そこで、現在OnlineでLandoltが測光しデータを公開しているものを検索しました。そうしたら、下記のリンクに星数が約4万3千あまりの星表が見つかりました。

Landolt-2013と呼ぶことにします。

https://cfn-live-content-bucket-iop-org.s3.amazonaws.com/journals/1538-3881/146/4/88/1/aj483396t7_mrt.txt?AWSAccessKeyId=AKIAYDKQL6LTV7YY2HIK&Expires=1626359630&Signature=AIlCvfWTopO42GxF%2FpSVSVfAbRo%3D

このLandolt-2013とそれに対応するGaiaデータを使って、上記のような手法で新たに推定式を作ってみようということになりました。

この星表には、V等級で7等から22等までの、43587個のUBVRcIc等級が掲載されています。

下はLandolt-2013のV光度別のヒストグラムです。

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V等級で一等級ごとの星数です。

 

しかし、今回はこの内、V等級で15等級(16等未満)までの星6070個を対象に計算することにしました。

そのために金田さんはわざわざプログラムを特別に作成して、6千個あまりの星のGaiaデータを取得してくださいました。(相当の時間がかかったようです。ありがとうございました!)

この対象とした星表をこれから単にLandoltと呼ぶことにします。

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LandoltのV等級ごとのヒストグラムです。

Landoltの各星は何度も測光されていてその回数のヒストグラムです。横軸が観測回数で縦軸がその星の数。

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一番星数が多いのは11回から20回ですが、星によってはなんと170回以上も測光されています。

それぞれの星の光度値にその標準偏差値が付随しています。LandoltのV光度ではその平均値は0.0018となります。大変な精度です。