Gaia DR2のGmag、BPmag、RPmagデータからVmagなどの推定値を得る 新しい試み(2)
Landoltの星表にある各星の位置情報からそれに対応するGaia DR2のデータを取得することを金田さんがやってくださったわけですが、プログラムでそれを自動化してもそう簡単なことではなかったそうです。
Landoltに記載の星でGaia DR2に対応する星がなかったり、2つの星が出てきたりとか、Gaia DR2のデータの一部が欠けていたり、bprpの値が適用範囲外だったりで、16等未満の星の中から326件を除外しなければならなかったそうです。そうやってLandoltとGaia DR2のデータとを対応できたのが前回書いた6070個の星を含む星表となりました。
必要なデータが出揃ったので、B、V、Rc、Ic各光度ごとに前回記述したようにプロットして非線形回帰のモデル式
y = a x (bprp) ^ 3 + b x (bprp) ^ 2 + c x (bprp) + d
の三次式の係数をR言語の nls 関数で求めました。
ここではVの場合を説明します。
ある星のGmagとLandoltからのVmagの差をy軸に、BPmagとRPmagの差をx軸にとってLandoltの星表の星をプロットします。その図で黒点一つ一つが星表の星を表しています。
nls 関数を用いて算出した各係数は図中のとおりです。
Gaiaから推算したgV光度とすると、上の式を変形して、
gV = Gmag - ( a x (bprp) ^ 3 + b x (bprp) ^ 2 + c x (bprp) + d )
によってGmag、BPmag、RPmag から各星のgV推定光度を算出します。
下はそのgVを縦軸に、LandoltからのVを横軸に採ったグラフです。
この図からわかるようにgVとLandoltからのVmagはかなりよくあっています。そこで、その差をとって、それがVmagによってどのように分布するかを次の図にしました。
当然予想されることですが、星が暗くなるとgVとVmagの差が大きくなっていきます。
かなり外れているものも見受けられるのですが、6000個に比べたら比較的少ないとも考えられます。このヒストグラムを作ってみました。
このように大部分の星でそのGaiaからの推定値はLandoltの値から0.05等以内に入っています。
実際に標準偏差は0.0199等でした。
gVの推算式を書いておきます。
gV = Gmag - (-0.003721 * bprp ^ 3 + -0.153798 * bprp ^ 2 + -0.028802 * bprp + -0.018513)
なお、nls関数で求めた係数に関するパラメータを下に書いておきます。
Parameters:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
a -0.0037209 0.0009801 -3.796 0.000148 ***
b -0.1537979 0.0034385 -44.729 < 2e-16 ***
c -0.0288018 0.0038486 -7.484 8.26e-14 ***
d -0.0185133 0.0016120 -11.485 < 2e-16 ***