muttenz's blog

スイス星空だより

KaiV33のAPASSデータ

昨日書いたように、APASSの3つのデータ点の内、暗い方のデータの点は周期を少し変えても緑のカーブの上には持ってこられないし、たとえ僕の観測データを明るい方にずらしてもカーブからもっと外れるだけです。どうしたものかと頭を抱えました。

とにかくデータをよく見てみよう。下の表はKaiV33のAPASSの観測データ。

第一列はHJD-2400000、第二列は等級、第3列はエラー、最後の列がバンドです。

f:id:muttenz:20160215060940j:plain

一つだけ暗いデータは「55924.78369 12.8898 V」で、他の2つに比べて約0.15等暗い。その日のデータを赤で囲い、他の日のデータを緑で囲いました。

Bバンドでも赤は緑より0.12-0.14等暗い。しかし他のg, r, iバンドでは赤と緑の光度はそれほど差がない。

比較星に使った星のAPASSデータを見てみることにしました。観測時刻は上のと同じ組み合わせです。

UCAC4 740-022265  (UCAC4カタログのVmag 11.603 は下の表のVバンドの3つのデータの平均  (11.7106+11.5519+11.5453)/3で算出されている)

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この星の場合も赤で囲んだBバンドとVバンドのデータは他の緑で囲ったのより0.14-0.16等暗い。そしてg,r,iバンドでは赤、緑の差がそれほど大きくない。

チェック星のAPASSデータも見てみました。

UCAC4 740-022274  (Vmag 10.775 =(10.8775+10.7204+10.7259)/3で算出されている)

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ここでも上記の比較星の場合と同じ状況が起こっています。

APASSのBバンド、Vバンドの観測で55924の日の測定値が他の日に比べて、KaiV33のみならず比較星チェック星でも同じようにほぼ0.15等暗いということになります。

三夜の観測で、ある夜のデータが他の二夜に比べて3つの星で同時に約0.15等暗いと言うことはまずありえないでしょう。ということはその日KaiV33が実際に0.15等も暗かったのではなく、B、Vバンドの測定に何らかのミスがあったと思われます。(g、r、iバンドでのデータのバラツキがずっと小さい事実もその推測を裏付けます。)