muttenz's blog

スイス星空だより

A First Catalog of Variable Stars Measured by the Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System (ATLAS)

久しぶりにブログに復帰です。6月前半は日本に一時帰国していましたが、帰国4日目に風邪をひいてしまいました。それでも変光星観測者会議でのリポートも一応無事に済ませられました。その後、倉敷、岡山の変光星仲間を訪問したり、昨年完成した3.8mの大望遠鏡を見学したりして素晴らしい時間を過ごさせていただきました。関係者の皆様にこころから感謝申し上げます。

ところで、一昨日vsolj-obsに秋田のBさんが新変光星の観測を報告なさっていて、VSXには記載がないとのこと。そこでこの星についてちょっと調べようとVizieRで検索したら、一番下にATLASによるカタログというエントリーがありミラ型タイプで周期129.3278...日と出ていてびっくりしました。

このATLASというのは地球にぶつかるかもしれない小惑星を毎晩探していて、もう膨大な量のデータが溜まっていて、それぞれの星が最初の2年間の観測でだいたい100回計測されているそうです。そのデータからなんと470万の変光星候補が見つかったそうです!

14万は確実に新変光星でそのうちなんと7万以上が食変光星だそうです。

https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2018AJ....156..241H/abstract

もうこうなると新変光星を見つけるチャンスはゼロかと思ったのですが、私が見つけながら、まだVSXに登録できていないKaiV87(タイプはEAのようです)を見たら上記のカタログに載ってはいるものの、分類はdubiousとなっていて変光を疑われているだけでした。今シーズン頑張ってVSX登録にこぎつけよう。

新変光星かと思ったらもうASAS-SN VSDBに載っていた

変光星観測者会議で話す内容の関係でちょっと古い観測から最近までのをMuniwinに入れて変光星探しをしたら一つ今まで気がついていないのが見つかった!

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おお、これはとVSXに行って座標を見たらどんぴしゃり、ASAS-SNがもう見つけていた!残念。。。。

もうすぐ日本へ一時帰国

今度の日曜日に飛んで月曜日から2週間、主に東京に滞在し、久しぶりに変光星観測者会議にも参加します。ブログにいつも書いているような内容ですが、新変光星についてちょっとした報告をいたします。3年ぶりの参加で、変光星観測者の皆様にお会いできるのをとっても楽しみにしております。

久しぶりに新変光星をVSXに登録

3年前に矮新星を観測していて見つけたかなり暗い新変光星、KaiV39を最近続けて観測でき、運の良いことに第一極小が際どいところで受かって周期や元期を出すことができました。北極星から10度あまりしか離れていない星です。

隣の高い木に引っかかるかと恐れていたのですが、木と我が家との間にうまく入ってくれて朝方まで観測できました。

位相図です。

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クリアーフィルターで比較星のRc光度を使ったのでVSXではCRmagとなります

16等から17等のあたりで変光しています。

NSVS13995739 について 続きの続きの結末

長らくブログをサボってしまいました。何もしていなかったわけではなくむしろ忙しすぎたのが原因です。

ところで、最後の記事の結末です。

VSXのセバスチャンにNSVSのエントリーは場所は外れているし、タイプも変光範囲もあっていないので発見者として山本さんにできないかと交渉したのですが、セバスチャンが言うにはNSVSの星でい~っぱい今までデータ改訂をしてきたがあくまでもクレジットはNSVSにあるので今回もそのようにしたいとのこと。NSVSの場合座標が1分ぐらいずれていることもありうるそうです。したがってASAS-SNのデータもその座標の測光値を使い分析したので全く外れた結果を出してしまったとのこと。

山本さんのおかげでこのNSVSの星もようやく一人前の変光星になったのだし、それをしばらく前から同じく発見して観測をしておられた秋田の佐藤さんのデータもデータ改訂に使わせて頂いたので、両人の方の整理番号、YmoV16とStm04もVSXに登録しました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=165925

VSXに送った位相図です。

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vsolj-obsでひとしきりあった騒ぎもこれで決着がつきました。めでたしめでたし!

 

NSVS13995739 について 続きの続き

先日の位相図をセバスチャンに送ったら、この11等星が変光しているのではなく、近くの2MASS J19160178-0714135が変光しているのが混ざり込んでいるのだとの指摘。

結局やまもと様が発見なさったミラ型と思われる変光星がNSVS13995739の原因。

ただ、NSVSの座標にはなんの星もないし、11等、変光範囲は1等にも満たないとの記述なので発見者はやはりやまもと様だと思います。

ASAS-SN のデータをダウンロード、仮の位相図を作りました。

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NSVS13995739 について 続き

この変光星のKWSのIcデータをダウンロードしてVデータの位相図に入れてみました。周期と元期は前回の位相図と同じです。

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ピンク色が Ic 、緑が V データです。

Ic データの変動の方がVデータより大きく見え、カーブの形がかなり異なる印象です。

極大付近が、Vでは尖っているのにIcの方では丸っこいようです。(Icデータの極大部分がはっきりしないのが残念ですが)

極小付近はVではゆるやかなカーブですが、Icでは急なカーブで尖っている感じです。

全く平行ではないので当然色の変化がかなりあるはずです。

このような特徴を示す変光星のタイプは何でしょうか?ご存知の方は教えてくださいませんか?周期は205日と長いです。