muttenz's blog

スイス星空だより

「まったくわからない!」が、なんとかわかった!

昨日のAIPでの測光のV星と比較星を入れ替えてもう一度AIPで測光してみました。

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比較のために昨日の測光結果です。

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V星とComp.星が入れ替わっただけなので、カーブは単に上下逆さまの鏡像になるだけのはずなのに、今回のほうが変光範囲が狭い

これはおかしいと、両方の測光のRawデータを吐き出させることにしました。

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ここでは、測光のカウント数より、各星のセントロイドのほうが重要なのでその部分だけをコピーしました。

左側は、昨日のやり方で、変光しているかと疑われた星、TYC3270-1038をVar(赤)とし、C1(緑)に3UC 282-013051を当て測光しました。右側は今日のやり方で、その2星を入れ替えて測光しました。

それぞれ、測光開始のフレームナンバー1から終わりの112の状態が載っています。

フレームナンバー1では、赤でも緑でも左のピクセル座標値と右のピクセル座標値はほとんどほとんど同じですが、フレームナンバー112では、赤も緑もY座標値が2ピクセルくらいずれています。ということはこのフレームでの測光の際にどちらかのセントロイドが合っていないことになります。(右の測光も左の測光も合っていないかもしれません。)

AIPのmulti photometryのやり方で、フレームから次のフレームに移る時にどの星を自動追跡させるかオプションがあります。僕は今までその内のC1を自動追跡、他の星はオフセットというやり方でやって来ました。(オフセットとは、他の星に関しては、最初のフレームで得られたC1からの位置関係を用いて、次々とC1の座標から算出してそこにセントロイドを設定するということです。)

この場合、C1のセントロイドは常にそれぞれのフレームで正しく見つけられるているわけですが、他の星は例えばシンチレーションで少し位置がずれても無視されて最初の位置関係にしたがってセントロイドが設定され、結果的にはアパーチャーが少しずれたところに置かれることになります。今回の観測で雲が通過したため、観測を中断し、再開した時には前の写野から少しずれていました。おそらくそのために今回の問題が起こったのです。あるいは、急に気温が下がったので光学系に変化があったかもしれません。

この仮定を検証するために、測光のオプション中、「V,C1,C2それぞれを独立に自動追跡させる」、を選んで測光してみました。その結果がこれです。

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これは、上記の表の左側の測光に相当します。(ただし新しいオプションによる。)

見事にほとんど変光は見られません。それどころか、VもC2もほとんど同じ傾向のライトカーブになっており、これは主にC1のエラーによっているように思われます。

meinekoさんが親切にいろいろ考えてくださいました。ありがとうございます。

これで、今回の謎は解けたようです。この教訓を活かして、これからの測光をもっと正確にやれるようにしよう。