muttenz's blog

スイス星空だより

KaiV110の発見からVSX登録まで 「周期を探す」

下図は前回書いた2回めの極小のライトカーブです。

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最初の極小から9.004日後の9月18日にまた極小が受かった

前回書きましたが、9日あまりでまた極小が受かった場合、この2回の極小が同じ極小であったのか、それとも異なる極小だったのかは、今回のように同じくらいの深さだと区別は付きません。しかし幸い今回はその2回の極小の間、毎晩観測できていました。

いま2つの極小の間隔、9.004日をPとします。

同じ極小を観測していた場合の周期の可能性はP、P/2,P/3、P/4あたりでしょうか。

(後記 と、書いたのですが、P/3の場合はちょうど周期が3日となり、それならば9日連続観測で気がついたはずで、ありえませんのでP/3はナシです。)

違う極小を観測していた場合の周期の可能性は2P、2P/3、2P/5、2P/7ぐらいが考えられます。

(後記 と、書いたのですが、2P/3の場合はちょうど周期が6日となり、それならば9日連続観測で気がついたはずで、ありえませんので2P/3はナシです。)

9月以前の、そして別の年の観測でKaiV110が写っていないか全観測フレームを探しました。

残念ながら、別の年にはまったく写っていませんでしたが、2020年の9月以前の観測からさらに測光データを得ることができました。

全データを使い上記のようないろいろな周期で位相図を作りました。

全部の組み合わせはちょっと冗長なのでいくつか掲載します。緑は2020年6月から7月の、赤は8月の、黒は9月の観測データです。

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周期を2Pとした場合

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周期をPとした場合

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周期をP/2とした場合

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周期を2P/5とした場合

これらの位相図からは周期を決定出来るような事実が見つかりませんでした。

そこでとりあえずいくつかの周期を仮定して予報を作り、極小がありそうな場合は少しでも観測するように心がけました。例えば極小の底だけでも受かればそのあたりに極小があるということがわかりますので。しかし、9月のように好天気が続くことはその後とうとう今までありませんでした。10月はたった3回、3.19,31日しか観測できず、すべて食外のようでした。

もし周期がPとかP/2だったら第二極小を観測することは2020年内は不可能となります。しかもKaiV110があるわし座はどんどん西へと動き、観測出来る時間は短くなる一方で、この分だと年内にVSX登録は無理かと思われました。