前々回書きましたように、1年前の極小が位相図でちゃんとフェーズ 0.0 に乗るという事はこの周期はかなりの精度があると保証されます。
前回書いたような予報と極小時刻がずれたということは、今までの極小とずれた極小は異なる極小という結論に達しました。つまり周期を今までの2倍に取り、今回の極小を第二極小とすると第二極小が少しフェーズ 0.5 より早いのだろうと考えられます。
2020年9月の観測データだけでその考えに従って作った位相図がこれです。
前々回書きましたように、1年前の極小が位相図でちゃんとフェーズ 0.0 に乗るという事はこの周期はかなりの精度があると保証されます。
前回書いたような予報と極小時刻がずれたということは、今までの極小とずれた極小は異なる極小という結論に達しました。つまり周期を今までの2倍に取り、今回の極小を第二極小とすると第二極小が少しフェーズ 0.5 より早いのだろうと考えられます。
2020年9月の観測データだけでその考えに従って作った位相図がこれです。
昨年の9月はかなり良い天気が続き、14日は予報どおりに極小が受かり、次の極小は18日夜の予定でした。その晩はバーゼルの音楽堂が4年がかりで改築されて新しく入ったパイプオルガンのお披露目の演奏会がありました。遅くなって帰宅し、まずSS CYGを赤澤さんのために観測してからKaiV107の観測を開始しました。それでも極小時刻には間に合うはずで、しかも極小そのものはもうこれで何度か受かっているのでそれほど重要性は無いと考えていました。
ところが明くる日観測データを処理していてこれはおかしいと思いました。極小が十分に受かるはずだったのになんと増光部分しか受かっていないのです。スキャッターが多い観測でしたが、下図がその晩のライトカーブです。
X軸の数字が小さくて読めないかと思います。左から0.44、0.46、0.48ですので、0.475は左から3番めの縦線のすぐ左付近となります。どう見てもそのあたりに極小があるようには見えず、ただ緩やかな増光しか受かっていません。
とにかくこれはショックでした。しかし完全に食外というわけではないので、極小時刻が少し早かったのだろうという結論になりました。
それからこれが何を意味するのか考えました。
基本的にはどんな観測でも、測光後必ず変光星が無いかフレームをMuniwinでチェックしていますが、たまにはある星の変光に気が付かないこともあります。
あまり大きな期待はせずに2019年のKaiV67を撮影したフレームを全部チェックし直したら、かなりのフレームでKaiV107が写っており、なんと一つ極小付近が受かっていました。(下図中央)
2019年の全データによるライトカーブ
この年はVフィルターを付けて観測していたので緑色にしています。
この2019年の全データを位相図にしてみました。
ほぼ1年前の極小がちゃんとフェーズ 0.0 に乗るので周期がかなり正しいと思われます。
この変光星を発見するきっかけとなったKaiV67はもう足掛け3年ぐらい観測しています。2017年に観測したフレームに写っていないか全部チェックしたら数回写っているので測光しました。残念ながら極小の観測はありませんでしたが、このような食外のデータも場合によってはある特定の周期の可能性を否定する証拠になることがあるので重要です。(食外のデータが極小のデータの部分に来るような周期は正しいはずが無いからです。)
さて、前回書いたように周期を2日あまりにすると第二極小が受からないことになってしまいます。そこで、それまでの2020年のデータと2017年のデータ全部を使って、周期を2倍にして位相図を作りました。
かなり良い感じですが、第二極小が観測できていないですね。これだとこの周期が正しいということはまだ言えませんし、第二極小がどのくらい深いのかが全くわかりませんからVSXへの登録は全く不可能です。
こういう場合にASASSNデータをここで見つかった周期で位相図にすると役に立つことがありますが、今回は全くだめで、ただのごちゃごちゃの図が出てきました
PDMで周期を探しても意味のありそうな値は見つかりません。
まあ、そういう観測データだったのでASASSNの変光星カタログにも記載されていないわけです。
2020年の夏は良い天気が頻繁にありましたが、極小予定の日にちょうど晴れるまでさらに4週間かかりました。8月20日から21日にかけての夜に3回目の極小を観測できました。
これで4日あまりの周期はそう外れた値ではないことがはっきりしたのでそれまでの3回の減光、増光が重なる周期を細かく求めて6月以来のデータで位相図を作りました。
これを見ると第二極小の部分に凹みが全く見られません。ひょっとしたら周期はこの2倍かもしれないと考えはじめました。
2020年7月18日にKaiV107の極小が受かってわずか4日後にまた極小らしいものが受かりました。
早速この2回の減光が重なるように周期を探すと、4.016日ぐらいとなりました。
昨年のそれまでの全観測データとこの周期でとりあえず位相図を作成しました。
これから書くことはCanon EOS Kiss X7のリニアリティとは直接関係は無いのですが、その時に調べたデータからcGmagとVmagのズレが星の色によってどのように変わるかを数少ないデータですが調べてみました。
調査では15の色々な明るさの星を選びましたが、星の色 (B - V) も(ある程度意識的に)0から1.9ぐらいの広い範囲で選びました。
下は全部の星を使った場合の相関図で、相関係数は0.53ぐらいです。
右下の端の2つの星が全体の傾向から外れています。線形近似の係数も0.07程度になりました。
B - V < 1.8の星に限る、つまり右の方の3つの星を除いて相関図を作りますと、相関係数は0.96ぐらいになります。
cGでは星の色が赤くなるとVより暗く写ってしまうようです。
もっと沢山の星、例えば散開星団のようなかたまりをいっぺんに撮影して統計をとったら良いのでしょうが、とりあえずこのような傾向がありそうです。