muttenz's blog

スイス星空だより

ケプラーのデータを使ってWDwintでもってOQ Gemのパラメータを求めてみた

ケプラーのデータはこんなに正確なのだからきっと食変光星のパラメータも割にはっきりと見つかるのではと考え、WDwintを久しぶりに使ってみました。

今まで、WDwintを使って食変光星のパラメータを求めてみたのは1年くらい前にV931 Ophを一回解析しただけで、全くの初心者程度です。

文字通り試行錯誤しながら少しづつパラメータを改良してなんとかそれらしいモデルを作れました。

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こういうカーブから二つの星の温度とか、質量比などがわかるのはすごいことですね。

 

OQ Gemのケプラーデータ

非常に細かいことで、まあどうでも良いとも言えるかもしれませんが、一つ気がついたことがあります。下の図はよーく見てください!

位相図で第1極小の前の減光部分のデータポイントをきれいなカーブにする周期で増光部分を作ると完全にきれいなカーブにならないのです。

減光部分を周期2.406115日で作成しました。

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同じ周期と元期で増光部分を見ます。

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逆に増光部分がきれいなカーブになるような周期を探して見ます。

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この周期だと減光部分がきれいなカーブにならないのです。

f:id:muttenz:20180218060913p:plain

細かい違いが見えますか?

この事実が一体何を意味するのか、なかなかわかりませんでした。思いついたのは減光部分、増光部分共に完全に滑らかにはならない、いわば中間の周期で極小付近を作ったならば、全部で14ある食の中に、食のグラフで上に向かう広がりが大きいものと、小さいものとがあるのではないかということです。これを実際のグラフで確かめられないかやってみましたが、ほとんど目では認められないぐらいで、諦めました。もしこの推測が正しければ食の継続時間が変化している事を意味するのではないかと思います。

ご意見をお聞かせください!

OQ GemのO-C 続き

前回書きましたが、ホフマイスターの極小データは実際には最初の極小時刻のみが一晩に撮影した幾つかの乾板から出した本当の極小観測でした。なので、下の表の2番めはO-Cの算出には使わないことにします。

HJD                            N

2438406.6500    0                           Hoffmeister
2439063.5300        273                           Hoffmeister
2453056.4122      6089                           Frank
2456788.050        7640                           Kepler(幾つもあるので、中央を取りました)
2457774.5030      8050                           Kasai
2457803.3770      8062                           Kasai 

ケプラーの観測データから得た極小時刻とその頃の周期が一番確実な値なので、それを元期と周期としてO-Cを計算してグラフにしました。

f:id:muttenz:20180216063252p:plain

一方、2月13日の夜に第二極小が起こったのですが、それを倉敷の赤澤さんが観測してくださいました。ありがとうございます!

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この第二極小の時刻をフランクやケプラーの観測と合わせて第二極小のO-Cを計算してグラフにしました。元期と周期は上と同じようにケプラーのデータを使っています。

f:id:muttenz:20180216064302p:plain

ホフマイスターの第二極小の観測はないのでNが6000以降のしかデータがありません。

比較のために第一極小の方のO-Cのグラフもこの部分に限って掲載してみます。

f:id:muttenz:20180216064655p:plain

ちょうど反対の傾向が見られますね!

 

OQ GemのO-C

muttenz.hatenablog.com

これの続きのようなものですが、さらにケプラーのデータが加わりました。

一つの周期と元期で色々なデータのカーブをうまく一致させたり、全部の極小観測時刻をフェーズ0.0に持ってくることは不可能です。そこでわかっている極小観測時刻から適当と思われる元期と周期を決め、その要素でそれぞれの極小観測のO-Cを見てみることにしました。

これが現在わかっている極小観測時刻です。

HJD                            N

2438406.6500    0                           Hoffmeister
2439063.5300        273                           Hoffmeister
2453056.4122      6089                           Frank
2456788.050        7640                           Kepler(幾つもあるので、中央を取りました)
2457774.5030      8050                           Kasai
2457803.3770      8062                           Kasai 

HJD~Nで線形回帰をして切片と傾きを出してそれぞれを元期、周期にします。

その要素でそれぞれのO-Cを出してグラフにしたものです。

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左の端の二つがホフマイスターの、6000のあたりのがフランク、最後から二番目のがケプラーの、最後の二つが私の極小観測です。これらをうまく説明出来るものとして、波のような周期変動を仮定しました。

しかしどうもうまく行きません。終わりの方の拡大図ですが、どう見ても波の上にデータが乗っているとは言えません。

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このままでは行き止まりです。そこで、もう一度始めから見直してみることにしました。

そもそも極小時刻を間違えて書き写していないだろうか?とか、自分の観測の極小時刻をもう一度測り直してみようかとかです。フランクの値はあっていました。自分の極小時刻はもう一度やり直しましたが上記の値で妥当と思われます。

ホフマイスターのデータが載っているAN(Astronomische Nachrichten)をもう一度読み直しました。これがそのデータが記載されているところです。

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赤で囲ってある所、11.がOQ Gemの極小時刻で、2438406.65の2430000は省略されて8406.65と書かれており、その後に(乾板シリーズ)とカッコに書かれています。その次に9063.53とあるのが二つ目の極小時刻です。

8406の夜は上の方の5.の星の説明にも出てきて(赤線を弾いた部分)、5.の星の一時間おきの光度が書かれていて、その夜には計11枚の乾板が撮影されていることがわかります。(それが「乾板シリーズ」の意味する所のようです。)この記述からその最後から二番目の乾板でOQ Gemの極小が観測されていたことがわかりました。それに対して、9063.53の時刻は他の星であちこち水色のところに見られますが、その夜の他の時刻は見当たらず、単発の観測であったことが推察されます。したがって、これは極小時刻を観測したのではなく、その時の乾板で暗く写っていたという事実を書いたに過ぎないと思われます。なので、この極小時刻からO-Cを出すことは意味がないということになりました。(後で得た元期と周期からその日の極小を計算したら、9063.466となり、9063.53の時には暗かったはずだと確かめられました。)

以上のことから極小時刻の候補は一つ減り、O-Cの状況は大変に変わります。

 

トートロジー

前のブログの投稿にO様からメールで、ケプラーの14回の極小観測からそれぞれの極小時刻をあのようなプロセスで求めることはトートロジーではないかとのご指摘を頂きました。

まことにその通りで、それぞれのデータポイントの位相値は元期と周期が決まっているから出てくるわけで、位相値をいじくりまわしても他の周期値や極小時刻が出てくるはずがありませんね。このようなプロセスで出て来る極小時刻は単に元期に仮定している周期の整数倍を加えただけのことで、大変お恥ずかしいお話でした。

O様ご指摘どうもありがとうございました!

ケプラーデータの出現で、色々考えていたことをとりあえず白紙に戻さなければならないようです。

ケプラーの観測データから極小時刻を出したい

ケプラーの観測はご存知のように雲も夜もないのでほとんど途切れることなく何日も観測されます。

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こんな具合に極小が14回観測されています。(このグラフはFluxで表現されているのでmag.とは印象が随分異なります。)

この極小観測の極小時刻をなんとか得られないかと考えました。

しかし極小付近のデータ数はまちまちでしかも割に少ないのが問題です。(上の図をご覧ください。)

例えばそれぞれの極小付近のデータポイントをminima v2.3に取り入れてフーリエカーブで極小を出すとか、極小付近のカーブ(例えば昨日ブログに載せた位相図から)を取り出して代数的にそれを表現して毎回極小のところにそれを当てはめて極小時刻を求めるとか。どれも実現不可能と思われます。

いろいろ考えた末、次のようにしました。

データ全体をまず光度-11.1より暗い第一極小へ落ちている部分だけに絞ります。

ケプラーのデータの精度は極めて良いので、PDMで得られた周期Pで位相図を作るとほとんど例外なくきれいにカーブにのります。

Pと一番暗いデータを極小時刻として各データポイントの位相phを計算します。ph は極小付近だけなので0.9から0.1ぐらいの間に入ります。

     BJD     ph

2456773.51918 0.9600307963354
2456773.53961 0.9685223322029
2456773.56004 0.9770139096799
2456773.58047 0.9855054041315
2456773.70306 0.0364546607527
2456775.93011 0.9620320780561

各データの時刻tとすると、

min = t + (round(ph) -  ph) xP

を各データごとに計算します。

例えば上の数値だとこんな風になります。

      BJD                 (round(ph) -  ph)       min

2456773.51918  0.0399692036646  2456773.61535
2456773.53961  0.0314776677971  2456773.61535
2456773.56004  0.0229860903201  2456773.61535
2456773.58047  0.0144945958685  2456773.61535
2456773.70306  -0.0364546607527  2456773.61535
2456775.93011  0.0379679219439  2456776.02146

最初の5行で計算した結果は見事に同じ値、2456773.61535となりました。

このようにして一気に14個の極小時刻が得られました。

Nはホフマイスターの極小観測以来、N番目の極小という意味です。

 min I                      N

2456773.61535  7634
2456776.02146  7635
2456778.42758  7636
2456780.83369  7637
2456783.23980  7638
2456785.64592  7639
2456788.05203  7640
2456790.45815  7641
2456792.86426  7642
2456795.27038  7643
2456797.67649  7644
2456800.08261  7645
2456802.48872  7646
2456804.89484  7647

 

なんとケプラーがOQ Gemを観測していました!

この星をVizieRでもう一度よく見たら、K2カタログとあるのでドキッとしてクリックしたらこの星の観測データがでてきました。

そのデータで作った位相図。もう嫌になってしまう!まるで作図したような位相図!

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等級は器械等級ですので、ここでは大雑把に25ぐらい足さないと普通のになりません。