muttenz's blog

スイス星空だより

UGEMとKWSの測光値を比較してみた 続き

3月31日に撮影した画像でも同じようにやってみました。

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24個の変光星のうち、6つで、UGEM-KWSの絶対値が0.15を超えました。(右の列でアステリクスがついている星。)あとの18個では差はそれ以下。そのうち15個では差は0.1等以下です!

10枚のフレームで写っている場合と写っていないケースが変光星ごとに違うのが少々難点です。(星像があっても検出してくれないのが不思議)

差が大きくなった理由は全部はわかりませんが、フレームの縁ギリギリのケースが2つあり、その場合に結果が悪くなるのは収差や周辺減光などを考えれば当然かも知れません。(下の画像を見てください。星像は特に目立って悪くはありません!かなり縁に近いにもかかわらず成績の良いのもあります。)

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左から2番めと、一番右の星がKWSとの光度差が大きい変光星。一番左のは縁に近いにもかかわらず差が0.087と0.1等以下。

UGEMとKWSの測光値を比較してみた

先日来キャノンにズームレンズ28mm-55mmをつけて撮影した画像をUGEMを使って測光することを試しています。撮影はノーガイドですが赤道儀に載せて55mmで30秒露出。

同じ日のKWSのV測光値と比較してみました。時差はあります。

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一番右にその測光値の差が記載されていますが、一番大きくて0.27、かなりの星で0.1等以下にもなっていて、この機材とやり方で観測するのもまんざら悪くなさそうに思えます。

UGEMでは三色のうちGを取り出してFITSファイルにしたものを測光してもらいました。ですからオフィシャルにはcGというバンドになるわけですが、Vに本当にかなり近いです。推定極限光度は約11等でした。

追記

キャノンでの撮影はそれぞれ10回行い、UGEMでの測光の平均値です。

UGEMをいろいろと試みてみた 続き 食変光星 KW Hya

UGEMで測光した値がどのくらいあっているか調べるにあたり思いついたのは前原さんがやっておられるKWSです。

UGEMで得られた値とKWSでの最新データ、3月26日の値といろいろな変光星で比較してみました。星により程度の差がありますが、ほぼ0.1等程度の違いなのでこれならば行けそうです。その比較の際にKWSの最近のデータでちょっと暗いデータがあったので、この星のタイプは何と見たらEAです。そこで、KWSの全データをダウンロードして周期を探したら7.75032日とでました。

VSXにある元期を使って位相図を作成。

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第一極小がフェーズ0.0から外れてしまいます。VSXのやらクラカウなどの周期をを試しましたが、GCVSの周期が一番綺麗な位相図になるので、それをとりあえず採用。元期にKWSの一番暗いデータの時刻を使うことにしました。

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第二極小のフェーズは0.464で、0.5から外れています!楕円軌道ですね。

VSXにあるReferenceの一つはIBVS No.2015、 1981年9月7日で、発見の経緯が書かれています。

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2つ不思議なことが書いてあります。赤の下線の箇所。

まず第二極小のフェーズは0.54となっています。それから名はKM Hyaと名付けられたとあります。(名はおそらく後でさらに変更されたのではないでしょうか)

フェーズはこれが正しければ、現在の0.46とは全く異なり、明らかなapsidal motionとなります。ただちょっと気になるのは0.46と0.54はちょうど0.5を軸に対称なので、何らかの間違いがあるのではないかと。。

インターネットの画像検索でこのようなのが見つかっているのです。

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この位相図では第二極小はKWSと同じ0.46にあります。これが1984年だろうか?それなら上記のIBVSのたった3年あとです。

 

UGEMをいろいろと試みてみた  続き

http://muttenz.hatenablog.com/entry/2019/03/24/052818

の続きです。

あの時は10cm反射にキャノンの組み合わせで、食変光星を観測してみたのですが、

10cmでの食変光星の観測は出てくる画像の大きさがすごいです。1時間半もやったら数GBになってしまう。

今度はキャノンについてきたズームレンズ18mm-55mmで撮影してUGEMで測光を試みました。以前石垣島で18mmでノーガイドで撮影した画像をUGEMで試みてうまく整約できずがっくり来ましたが、55mmでProcyon付近を撮影したものは、整約したらちゃんとできました。しかし、出てきた焦点距離はなんと半分の27ミリです!それはまあ、どうでもよくて、整約できることが肝心です。画像をUGEMに測光をしてもらうとずらずらっと次から次へといくつもの変光星の測光の様子が出てきます。今まで見たこともないものばかり。大変に感激しました。

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残念ながらピントがあっていなくてドーナッツ状になっています。。

この分ならやってみる価値はあるかもしれないと、カメラとミードのファインダーを一緒にして反射望遠鏡の代わりに赤道儀に載せる板を作りました。そして昨晩またProcyonから撮影を始め、2分おきに30秒露光で10枚、その後は赤経で30分東へずらして同じように。全部で4箇所の撮影をしました。それを今日UGEMで整約。結果はなかなか良い感じです。比較のために前原さんのKWSで該当する変光星の最近のデータを見てみましたが、ほぼ0.1等以下の違いでした。一つのフレームで大体30個の変光星が受かっています。(varlistのリストにもよりますが、30秒露光で約10等どまりでした。)

その比較の最中に一つの食変光星に行き当たりました。KW Hyaという明るい食変光星です。

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赤い枠で囲まれているのがHyaKW

この星のKWSの測光データが面白いです。vsolj-obsを見たら、もうい~っぱいの観測データがありますね。この星をご存知の方はきっと多いことと思いますが、私には全くの初対面でした。この続きはまた明日。。

2月に見つけた新変光星、KaiV93をVSXに登録

もう何度かブログにこの食変光星、KaiV93について書きましたが、ようやくVSXに登録できました。

先日、セバスチャンに登録の際のprimary nameについて、VSXを見ているといろんな名前の付け方があるようだけれど規則があるのか?と尋ねたら、primary nameはどちらにしても、正式名がつくまでの臨時の名なので、規則はないとのこと。私はずっとすでに星表にある名を、中でも主に2MASS JXXXXXX...を使っていましたが、KaiVをprimary nameにしても良いとのことなので、今回からKaiV93で登録しました。

VSXのページです。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=686893

位相図はこれ。

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昨夜はKaiV91の第一極小があるはずでした。。。。

このEAタイプの新変光星KaiV91は2月12日にFY Oriの観測中に見つかりました。

その後、最初に仮定した周期が間違っていることがわかりました。

muttenz.hatenablog.com

このあとで、周期は決定的と考えて予報を作りましたが、周期がほとんど2日に近いため、極小がまた観測できるのは3月下旬となりました。

ようやく予報では昨晩第一極小がまたあるはずでした。。。。

今朝観測データを整約してどうもおかしいです。昨晩透明度が芳しくなくスキャッターはありますが、肝心の減光も増光も全く見られません。これは勘違いして別の星を測光したかと思い、よく見たら実際に隣の星を測光していました。よしと、正しい星を測光しましたがやはり減光も増光も受かりません。。観測結果を破棄しようかと思いましたが、それでもデータを採り、位相図を作ってみました。ピンク色のデータポインが昨晩のデータです。

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周期2.0472904 日で作った位相図

見事に第一極小の谷の上に昨晩の観測データが来てしまいます。

これは周期があっていないことの確かな証拠です。昨晩のデータも加えてもう一度PDMで周期を探しました。

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新しく見つかった周期で作った位相図

もちろん、こんなのっぺらぼうのハズがないので、周期はこれの整数倍となるはずです。2倍にしてみます。

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見つかった周期の2倍の周期で作った位相図。

さらに2倍にしてみると。

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見つかった周期の4倍の周期で作った位相図。

極小光度に二通りあるのでこれで良さそう。この周期2.0368004は当初考えた周期2.0472904とほとんど違いはないのですが、この15分ほどの違いで予報が外れたのです。やはり観測データの積み重ねは大変に大事だとわかった次第です。