muttenz's blog

スイス星空だより

ASASの周期は時々間違ってる

ASASの周期をチェックしてますと書きましたが、これにはきっかけがありました。(ブログは基本的には時間軸にそって書いていくものなのに、古いことを書いてしまいます。)

この冬、ヨーロッパ全体で雪が多く悪天候の日ばかりが続きました。この冬はいろんな事情からあまり変光星観測する気が起きなかったのですが、3月3日にちょっと久しぶりに望遠鏡を動かしてみるかと、ASAS075545+2728.7にたまたま向けて数時間CCDでVとRcで観測しました。(今気がついたけどこの時の観測、VSOLJにまだ報告してないや!)

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ASASのカタログには周期として0.327641dが載ってます。明くる日観測結果を見て、あれっと思いました。上がそのライトカーブ(V-band)です。なぜでしょう?

(後に僕の訂正がASASに受理されて、いまのオンラインのカタログには0.392049dが載ってます)上のライトカーブから見ると極大から極小まで大雑把に見ても0.09dはありそう。EW型の食変光星で、二つの星が楕円軌道でも描いていない限り、周期はおおよそ、極大から次の極小までの時間の4倍。今回の場合だと0.09の4倍、0.36dでASASの0.32.....は短すぎる!それではこの星を観測し続けてみるかとさらに2回、計3回の観測をしました。3回の観測から周期を求め、それで作ったPhase Plotがこれです。(雲が多くて穴だらけ、苦労しました)

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さらにCRTSからデータを取得して僕の観測データとあわせて周期解析、0.3920492(46)dが得られました。下の図で、赤が僕のデータ、水色がCRTSデータです。(CRTSのデータは少し暗い方へずらしてあります。+0.22mag)

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これでようやくVSXに報告できることになり、ぶじ3月17日に受理されました。

この経験と、もう一つ昨年8月に見つけた周期の誤り(ASAS174755+2056.9)から、暗い変光星のASASの周期はちょっと怪しいことがありそうだと考えて、ひとつ系統的にチェックしてみようと思いたったわけです。。。

アマチュアのたった1回の観測でもプロのカタログの周期にNo!をつきつけられるのは面白いですね。でも本当の周期を求めるのは時には大変な根気と運が必要なこともあります。(Ngaさんがよくブログに書いておられるように。)いつかそんな例もかいてみたいとおもいます。