クマのプーさんPU UMaを観測
昨晩(2月15日)FY Oriを引き続き観測しようと思ったら、なんと月がすぐそばで全く観測にならない。先日長崎の前田さんがAlertに出しておられたUGSU+EのタイプのPu UMaを思い出して観測しました。これは大熊座のPUなので、クマのプーさんと思わず笑ってしまいました。
確かに食が4回受かっていて段々と深くなっているようです。ハンプの部分が段々食にはいってしまったためでしょうか。
全体も少しずつ暗くなっている感じなのでその傾向を取り除いてPDMで周期解析をしたら周期として0.077875日が出ました。
VSXに記載の食の周期は0.0778054日で、上記の周期との差は0.00007日=約6秒でした。
食変光星 FY Ori の続き 新変光星を見つけた
前回書いたようにASAS-SN Sky Patrol から得たデータがあるので、そのデータと組んで位相図を作ってみました。もちろん当初の要素でもかなり良い位相図が得られたのですが、今回の観測から得られた極小時刻を元期にして、ASAS-SNデータが観測データに乗るような周期を探しました。かなり良い結果が得られました。
通常、光度がASAS-SNデータと観測データでグラフの縦方向でずれるのですが、今回のは問題なく一致していますね。第一極小は17.2等ぐらいと大変に暗いです。
2月12日の観測から新変光星が見つかりました。KaiV91。これぐらい変動の大きい新変光星は久しぶりです。
ASAS-SN Variable Stars Database、 WISEのカタログには記載がありませんでした。
(VizieRのWISEでは変光の可能性が高いとの数値があります)
食変光星FY Oriの極小を観測
この食変光星はHoffmeisterの記事によればOosterhoffという人に発見されたが、彼が観測していて変光範囲が発見者の記録よりもっと大きいことに気がついたそうです。しかし他の時にはこれほど大きな変光は見つからなかったと書いています。(下記の記事参照)
(Oosterhoffはオランダ、オールトと一緒にライデン天文台で働いていた人と思われます。
Pieter Oosterhoff - Wikipedia)
以来極小観測はどうもなさそうです。なので当然周期はわかっていませんでした。
一年前にこの星のASAS-SN Sky Patrolのデータから周期を見つけて、観測しようとしたのですが、チャンスに恵まれませんでした。その時の要素で出した予報によればこの2月12日に第一極小があるはずなので11日に予備観測をし、12日には無事に第一極小を観測できました。
ディスプレイを見ていてもどんどんと暗くなっていき、また明るくなっていくのがわかるほどです。しかし、暗い!!極小時には17等台になりました。おそらく74年ぶりの極小観測です。
ようやく一晩中晴れて OQ Gemの第一極小を観測
2月5日から6日にかけての夜はようやく一晩中晴れました。このような夜はほぼ一ヶ月ぶりです。しかもちょうどその夜にOQ Gemの第一極小がありました。
昨シーズンは天気の関係でとうとうスイスでは第一極小を観測するチャンスがありませんでしたが、日本では赤澤さんが一度観測してくださいました。
というわけで、当地では2年ぶりの第一極小観測です。
このアルゴル型変光星は周期が2日半ぐらいでうまくすると第一極小と第二極小を続けて観測できるのです。第二極小が起こる2月6日から7日にかけても夜半過ぎまでは晴れましたが、その後雲がきて結局極小は観測できませんでした。
左が第一極小、右は第二極小に向かって減光を開始したあたり。
以前ブログに書きましたが、この星はKeplerが観測したデータがあり変光星の教科書に出てくるようなライトカーブが見られます。赤線はPhoebeで作ったライトカーブです。
今までのいろいろな観測をまとめた位相図はVSXにデータ改訂のために提出したものがあります。
この位相図作成に使った要素で今回観測した極小のO-Cは -0.0021日で、約3分早かったことになります。
1年半前に見つけたKaiV64をVSXに登録できた
一昨年6月、V432 Lyrの観測中に見つけたDSCTタイプの変光星、KaiV64をようやくVSXに登録できました。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=684215
これはだいぶ苦労しました。
一つにはPeriod 04でフーリエ解析をやると2.00549324 c/dという周波数がまず第一に出てきて、これを周期にすると0.4986305で、この2倍0.997261は一恒星日になります。
この周波数は他のときにも出てきて、気をつけなければならないと思ったことがあります。ただ、同じ写野で見つけた新変光星を同じ比較星で処理しても出てこないのことがあるので不思議に思いました。
今回、KaiV64を解析していて原因がわかりました。
これは誰しもが経験する、望遠鏡をフリップするとライトカーブに起きる段差が原因です。
ある星をしばらく続けて観測するとその星が子午線を通過したら望遠鏡をフリップしますが、その時刻はほぼ一恒星日の周期で起こります。そしてその時にライトカーブに段差が生じるとそれが変光の周期のように見えるということです。
なので、今回は望遠鏡をフリップする前の測光値をフリップ後のライトカーブにつながるように全部ずらしました。これが大変な作業でした。
5年半前に見つけたKaiV12をようやくVSXに登録できた
2013年9月に当時ASASSN-13cvを観測していて、KaiV12を見つけました。周期は短く変動幅も小さいのでDSCTタイプはすぐにわかったのですが、その当時多重周期を見つけるようにとセバスチャンに言われだいぶ挑戦したのですが見つからず今にいたってしまいました。最近になって彼に、私のようにときどきしか観測できないものにとって、多重周期を見つけるのは困難だから基本周期だけで登録したいと尋ねたらOKが出ました。それでこのところDSCTばかりVSXに登録しているわけです。今回のでいままで見つけた19のDSCTのうち、17個が登録できたことになり、後2つです!
KaiV12はCSSにデータがあり、それと組み合わせてかなり精密に周期が出せました。
位相図です。
変動幅はDSCTにしては大きめでほぼ0.1等ぐらいで、はっきりしています。
KaiV55をVSXに登録できた
2016年11月4日にASASSN-16msを観測していて4つ新変光星、KaiV53-56を見つけました。今日そのうち最後に残っていたKaiV55をVSXに登録することができました。KaiV53はEA、KaiV54はEW、KaiV55と56はDSCTタイプでした。
KaiV55の観測データをPeriod04でフーリエ解析すると、割と強い周期が二つ見つかりました。P1: 0.0649802 d.とP2: 0.0938211 d.の二つです。
ですので、それぞれの周期をdetrendした位相図を作りました。
これで、今まで見つけた19個のDSCTのうち15個をVSXに登録することができました。残るあと4つも頑張ろう。