muttenz's blog

スイス星空だより

ハヤブサ2、カプセルの帰還のライブ中継を見た

ハヤブサ2の地球への帰還そして再出発、カプセルの大気圏突入のライブ中継は素晴らしかった。日本だと夜中の2時からの中継で起きているのが少々辛いだろうが、スイス時間だと夕方6時と最高の時刻。ゆっくりと1時間半の中継を楽しんだ。色々の説明や動画も良くできていたしあちこちからの中継も実に連携が良く、もちろん最高の眺めはカプセルの大気圏突入で、感激的だった。

今回の中継を見ながら10年半前のハヤブサ帰還の時を思い出していた。あの時は6月でまだ明るい時間で、今は亡き家内と緊張しながら待っていた。和歌山大学の方達が中継しているのを見たのだが、関西弁で先生らしい方が、ハヤブサが見える頃になっても見えず、「ハヤブサ、どこやー、どこにおるんやー」という声が聞こえたかと思ったら学生さんらしい声で、「あ、あそこに!」と嬉しそうな叫び声が聞こえたのを思い出す。今回はもう時間ピッタリに現れ、カメラも地平線から天頂、地平線という180度の広角で見事に出現から消えるところまで見られた。

中継中「星の王子さまに会いに行こう2」のキャンペーンのことが話された。今回も申し込んだような気がして確かめたらちゃんとブロック36に記載されていると出た。家族3人の名がリュウグウに残っているのだと思うととっても嬉しくなる。

ハヤブサ2はさらなる小惑星探査に出発したわけだが、目的小惑星には11年後に到着とのことで、果たしてそれを見ることが出来るのだろうかとちょっと考えてしまった。

山本さん発見の新変光星、YmoV30をVSXに登録

この新変光星は山本さんが発見されて今年11月8日にVSOLJに報告なさっていました。その記事を読んでASASSNのデータをダウンロードして周期や変光範囲などを決めて昨日VSXに登録申請したら今日受理されました。なおVizieRを見ても変光星として上げているカタログはありません。

ここからVSXのYmoV30が見られます。

www.aavso.org

この変光星は69日ぐらいの周期ですが、時によってはもっと長くなるようです。射手座にあるので周囲にびっしりと星があり、それらの星の光の影響をASASSNデータから取り除くのにとっても手間がかかりました。これはAladin Liteで得たPanSTARRSの画像です。

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山本さん、おめでとうございます!

またセバスチャンにはいっぱい色々と教えてもらいお世話になり、ありがとうございました。

小惑星 リュウグウ を撮れた

もうすぐハヤブサ2が戻ってきますが、ハヤブサが訪れた小惑星「リュウグウ」が夕方にちょうど写しやすいところにあるようなので撮ってみました。16.7等とあったのでノーフィルター、積分時間1分で撮影しました。移動速度は1.8"/minとあり、ルーペで画像を見ていると毎回少しずつ右の方(南)へと移動していくのがわかるほどの速さです。

ここにハヤブサが行ってきたのかと感慨ふかくライブで眺めていました。

ムービーにすると面白いのですが、やり方がわからないので6分間隔の撮影画像を載せます。大きさがたった700mぐらいで、1天文単位の距離でよく写るものです。

 

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KaiV111の周期を求めた

前回の投稿でゆっくり小さな変動をしている変光星、KaiV111を見つけたと書きましたが、6月からの観測フレームでこの星が写っているものを全部測光したデータから周期を求めてみました。一番良さそうな周期は12日あまりで、その周期で作った位相図です。

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変動の範囲が明るめの時と暗めの時があるようです。それぞれの晩で変動しているように見えるのはどちらかというとクリアフィルターでの観測で、比較星との色の違いの影響でしょう。

前回の投稿のKaiV110のライトカーブの図はちょうど12日間で、一番左の青いデータの高さにだいたい右の方のデータが来ているように見えますね。

KaiV110の続き

KaiV110は前回の投稿記事に書いたEAらしい新変光星ですが、その後観測を続けていたらなんと9日後の9月18日にまた極小が受かりました。その間、ほぼ毎日観測できて、下はそのライトカーブです。緑がKaiV110、青はチェック星。

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一番左が初めて極小が受かった晩で、右から2番めが極小が2回めに受かった晩です。青はチェック星の光度から比較星の光度を引いた値をグラフに入るようにずらしたものです。

緑のKaiV110とチェック星がほぼ並行して変動していますね。これは比較星が変動していることを意味します。この比較星をVizieRで調べてみたらすでにASASSNで変光星として見つかっており、タイプはSR、周期は302日!となっていました。302日はちょっと長すぎると思うのですが。。。一方ATLASも同じ星を変光星として見つけていましたが、こちらの方はdubious、周期は2日となっています。とにかく調査することにしてKaiV111としました。

KaiV111はB-Vが1.75と大変に赤い星でGaiaデータによって絶対光度を算出するとほぼ0等の星です。今期、KaiV67の観測は全部クリアフィルターで行ったので、比較星が赤いと、星の高度が下がるにつれて、さほど赤くない星は相対的にどんどん暗く測光されてしまいます。それなので、上のライトカーブの図ではどのデータも右肩下がりになっています。今日の午後中かけて6月から今までの34晩の観測フレームでこの星を測光しました。結果はまだまとめていません。

KaiV110の方も測光しましたら、いくつか極小付近が受かっていました。これについてはまた。

KaiV67の副極小をようやく観測できた! そして新変光星を2つ発見!

KaiV67の周期はほとんど5日なので毎日観測できたとしても5日ごとにほとんど同じフェーズが観測されます。今年6月から観測し始めてようやく副極小がスイスで観測できる時期になりました。昨晩はUT20.568時に副極小の予報でした。下図が昨晩の観測。

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ほぼ予報通りの極小時刻でした。(使っている元期がややおそすぎるのはわかっていますので。)

今期に比較星を以前より暗いものに変更したので写野を以前より少しずらしていたら、2つ新変光星が見つかりました。(なので共に写野の縁ギリギリでした。)VSXにもATLASにも全く記載がありません。

KaiV109です。

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Gaia DR2データから算出したV等級は17.5等です。おそらくDSCTと思われますが、同じように算出した絶対光度がVで4等台というのはDSCTにしては少し暗すぎますが。。。

 

KaiV110です。こちらはEAでしょうね。

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この星のAPASSデータはあって、16.438B/15.488Vとなっていて少し赤い星です。Gaia DR2から算出したV等級は15.62となり、変換式はかなり良さそうです。この星までの距離は3662-8117パーセクとなっていて少なくとも1万光年より遠くになります。