muttenz's blog

スイス星空だより

周期がわかっていない食変光星BU CMi

Ngaさんがいつだったかブログに載せてくださった、「周期のない食変光星」のリストで、今、あるいは間もなくシーズンとなる星を選んで調査しています。それでKO GemだのOQ Gemを調べたり観測したわけです。

これからの観測しやすい星座としてしし座や乙女座などがあるのですが、順番でおおいぬ座やこいぬ座もその前にあります。

小犬座でBU CMiというのがあります。VSXに元期も周期もありません。6等台と明るいのです。TYCHOが見つけたらしいです。6等ならばKWSで精度の良いデータがあると思い、ダウンロードしてPDM解析しました。KWSのV、Icデータで共に同じくらいの周期が出てきまして、それで位相図を作りました。

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第二極小らしいのがあり、しかもフェーズ0.5から外れています。これは面白いと思いました。

念のためにKrakowに行きましたがこの星は予報のリストには載っていません。次にO-C GatewayにいったらPaschkeさんがASASのデータから出した極小時刻と、Oglozaという人が観測した極小時刻が載っていて、周期は0.996..なんとかというのが書かれています。0.996..は要するに一日を仮に周期としているようです。

次にGCVSに行ったら、なんと元期と周期が載っているではないですか!VSXには星の位置などは2009年のGCVSに従って改訂、などと書かれているのに、元期と周期は採用していないのです。なぜだろう?

とにかくGCVSの元期と周期で位相図を作ってみました。

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極小のフェーズがずれたものの、極小は第一極小も第二極小もグチャグチャにならず見られます!そればかりか元期を最初の位相図のと同じのを使うと最初の位相図そっくりのができます。びっくりしました。

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GCVSの要素を使うとPDMの解析しても見られる位相図を作れなかったASASデータでもこんな位相図ができます。

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かなり本物くさいです。この要素をどうしてVSXが採用しなかったのだろうか。それからどうしてこの星が周期不明のリストに載っているのだろうか?

GCVSの周期と僕の見つけた周期とどちらがあっているのだろうか?

セバスチャンが前にくれた注意書きにはASASデータは7等以上では信頼できる、それ以下は明るすぎるとあったのですが。よくわかりません。実際に観測で確かめるほかはないのでしょうか?