muttenz's blog

スイス星空だより

久しぶりの観測

四週間日本で過ごして、一昨日スイスに戻ってきました。

日本では天文台巡りをして実に楽しかったです。個人の天文台から、美星天文台、倉敷天文台、岡山天体物理観測所、三鷹の古い天文施設など、規模、目的、時代など様々な観測設備を見せていただきました。それにいろいろな説明や体験談ご意見などを聞かせて頂いて、本当に楽しくみのり多い時間を過ごさせていただきました。快く見学をさせて下さった方々に心からお礼を申し上げます。

日本では観測したくてもできず、沢山の望遠鏡を見ると観測したくてウズウズしていたのですが、スイスに戻ってすぐの昨晩に幸運にも晴れました。ただ、望遠鏡は赤道儀から外してあったし、冷却カメラのファンがこの所動かなくなっていたのでそれを外してみたりして、かなり準備に時間がかかりました。

昨年観測、調査して周期や変光範囲などを見つけられたV931 Ophを手始めに観測してみることにしました。(雲の通過やら透明度の悪さから、CVは観測してもあまり良い結果は得られないのがはっきりしていました)

昨晩の観測データで昨年求めた要素を用いて位相図を作りました。副極小が受かり、ほぼ周期もあっていることが分かりましたが、あまり精度の良い観測はできませんでした。副極小の部分を見ると、ひょっとしたら周期はもう少し短いのかもしれません。

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ちなみに下のは昨年作成した全位相の位相図で、比較しやすいように上の図の変光範囲はこれと同じにしてあります。

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TCP J18154219+3515598再増光後のハンプの周期を求めてみた

昨日の続きです。

まあ、素人がやる計算の意味があるかどうかはともかく楽しみにやってみました。

まず減光しているので、それをlfitで平らにしてからPDMで周期を求めます。

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こちらは再増光前。

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ちょっと周期が長くなったように見えますが、まあハンプがいっぱい受かっているわけではないのでどの程度の信頼度かわかりません。

再増光前 "0.0618558 +/- 0.0000440"

再増光後 "0.0632261 +/- 0.0000467"

位相図を作りました。

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TCP J18154219+3515598が再増光

7月5日に観測した時は17等台ぐらいで大変に暗かったのが、6日夜に急に13等まで増光したというメールが来た。残念ながらその夜は曇られて観測できなかったが、昨晩7日夜(七夕)は月明かりが強いもののわりにきれいに晴れたので、観測。

これは5日のフレーム

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これが二日後、昨晩のフレーム(Vフィルターで撮ったので星の数は減っているが赤線の星ははっきりと明るくなった。

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これが測光データ。

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明るくなったものの、再びどんどん暗くなっているが、ハンプが次第に成長しているのがわかる。

AAVSOのTarget Tool

今夜何を観測すればよいの、と誰しもが考えるが、その手助けとなるツールがAAVSOのサイトにできた。会員でなくても使えるのかな?興味のあるジャンルに限定出来るようで、CVというジャンルにフルイをかけてみるとどの星がどのようにモニターされているか色別に示される。

AAVSO Target Tool | aavso.org

TCP J18154219+3515598を観測、周期を求めてみた

vsnet-alertで磯貝さんが観測のリクエストを書いておられたので、昨晩観測してみることにした。開始時に薄雲があり、暗い星は難しいかと危惧したが、どんどん透明度が良くなり、かなりの月明かりにも関わらずまあまあのデータが取れた。

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報告には「ハンプは受かりましたが、周期が求められるほどのものか、わかりません」と書いた。

じゃあ自分でもやってみるかと、PDMで周期を探した。

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結果は "0.0618558 +/- 0.0000440"とでました。

磯貝さんのメールには

The superhump period
of 0.06195 (1) d is longer than one in the stage B of 0.06168 (1) d.

とあり、周期として0.06186(4)が得られたので、はっきりステージBの周期よりは長いので、このデータもまあまあなのではないでしょうか。

ちょっと変わった新変光星、KaiV37をVSXに正式登録

muttenz.hatenablog.com

この星です!

一昨日セバスチャンにこれを登録したいので下見をして欲しいとメールで位相図やデータを送ったら、幾つかのマイナーチェンジを提案されたので今朝早速言われたことを変更してVSXに登録申請した。ものの30分もたたずに、VSXから登録おめでとう!のメールが届いた。このメールもセバスチャンが送ってくれているはずで、アルゼンチンでは早朝の3時頃。彼、星でも観測していたのだろうか?

登録には新しく作成した位相図を送った。

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前のブログに書いたように、この変光星はBYタイプということになったので、元期は一番暗いところになる。この位相図を見ると、昨年と今年の変化や、昨年のピンクが黒のCRTSのカーブとかなり重なっているところが良く分かる。

今まで38個登録できたが、BY Draタイプの新変光星は初めて。

BYってこんなのかなぁという感じは残る。黒点がどんな風に分布しているのだろうか?

このアドレスから見られます。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=512727

TCP J20100517+1303006を一晩中観測でき、新変光星を二つ見つけた

このCV、小嶋さんに19日に発見され、22日にvsnet-alertがでてすぐ、6月22日に一度観測したが、雲がやってきて穴だらけの上に途中で完全にベタぐもりとなって観測を中止した。

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昨晩25日夜は雲が時々通過という天気予報だったが、結果的には完全に晴れた一夜だった。

透明度も良く、クリアフィルターで30秒撮像したので22日の比較星は使えない。そばの他の暗い星を使った。

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ダブルピークのスーパーハンプですね。

ちなみにVanmunster氏がvsnet-alertの観測報告中に彼の新発見の二つの変光星のことを記述している。

[vsnet-alert 21153] TCP J20100517+1303006: new WZ Sge type dwarf nova (early superhump period update) + 2 new variable star discoveries

一つはEWで昨晩のフレームでも見つかった。

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ただ、Vanmunster氏は周期を0.2192 d.と書いているが上のライトカーブですぐにわかるように1/4周期が約0.1日なので、彼の求めた周期の2倍が正しい値だと思う。

もう一つ彼が変光していると書いた星は昨晩は特に変光していなかった。

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0.07等程度の不規則な20分以下の変動が受かったと書いているけれど、これを見る限りではおかしなところはない。

以上の星とは別に二つ新変光星を見つけた。

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これはUCAC4のカタログにないくらい、暗い。極小付近は17等。

2MASS J20095877+1303253

 

こちらは少し明るい。UCAC4 516-125676 暗いところは15.5等位。

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