muttenz's blog

スイス星空だより

V437 Aurの要素の改訂をVSXに登録できました!

昨年末にこの星のことを書いて以来、東京の鈴木さんに倉敷の赤澤さんも加わってくださって、1月1日の第一極小、6日の第二極小、13日の第一極小と天気にも恵まれ見事に観測してくださいました。そのおかげで元期や周期、変光範囲など非常に正確に決めることができ、立派な位相図も描け、昨日VSXに登録申請したら、今朝無事に受理されました。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=4199

これが全体の位相図です。

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この食変光星はかなりの楕円軌道なのが面白いですね。また第一極小の食よりも第二極小の食の方が長くかかります。

初めてHIPPARCOSのデータを使いました。セバスチャンの話ではいろいろのサーベーデータではHIPPARCOSのゼロ点は一番正確なんだそうで、他のデータはそれに合わせるべきだそうです。ただしHipからVへの変換が必要で、彼がわざわざ変換のhtmlを送ってくれました。変換には正確なB-Vがいるので、GCPDあたりの信用できる観測からB-Vを得ることと言われました。このGCPDとはなんだろうとググってみたら、なんとスイス、ローザンヌの大学で出しているカタログでした。

GCPD: The Lausanne Photometric Database

第一極小の拡大図です。(要素がちょっとだけ最終的のと違います。)

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第二極小の拡大図です。(同上)

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25年以上前のHIPPARCOSのデータポイントをほぼカーブの上に載せられたので、大きな近星点移動はなさそうです。

鈴木さんがVSOLJに観測報告で、「予報が外れたが、12月13日に減光を観測できた」と、書いておられるのを見て以来1ヶ月半で、今まで25年間わからなかったこのかなり明るい食変光星の周期がわかってVSXに報告できたのは実に素晴らしいことで、鈴木さんと赤澤さんのおかげです。どうもありがとうございました!

今後とも宜しくお願い致します。

 

乗りかかった船 MT Gem

自分でやった観測はホンの僅かですが、乗りかかった船、MT Gemのいろんなデータを探し出して位相図に詰め込みました。

まず、AAVSOでMNICの略称の人が2016年にどうやって極小を当てたのか、第一極小を観測していました。(観測データはそれ一回のみ)ただ、途中に雲でも来たのか大きな穴が空いていますが、極小付近は観測されていてそれの極小時刻を元期にしました。(位相図の青)

さらにAPASSのデータ(赤)、そしてこれを見つけたHoffmeister自身の3つの極小観測(ピンク)。

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いろいろ試行錯誤して周期を探したのですが、最近のデータ、つまりASAS-SN、MNIC、そして私のをうまく重ねようとするとHoffmeisterの極小はフェーズ0.0のずっと左に外れます。それらを0.0の近くにしようとすると最近のデータが重ならなくなります。(Hoffmeisterの極小光度は見やすくするために便宜上17.0にしてあります。)

このことからすると周期が発見当時より少しずつ短くなっているのかもしれません。

APASSのデータは幾つかとんでもないのがあって、カーブの上に全部を載せることは不可能です。でも食外のデータがあって、それは信用できそうなのでゼロ点の基準になります。

第一極小付近の拡大図。黒、青、緑、赤と幾つものデータがうまく重なるようにするのは結構大変です。

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この変光星の第一極小での減光はかなり大きく、2.8等(13.9-16.7)位あります。

 

昨日のデータでもなんとか使える!

昨晩のMT Gemの観測データは押し寄せる雲の間からなんとか観測したものでした。

それでもASAS-SNのデータから周期を見つけて作った位相図と組み合わせられました!(昨年10月に周期を見つけました。これがその頃の記事。)

muttenz.hatenablog.com

 

ただこのMT Gemのすぐそば10秒のところに16.2等の星があり、ASAS-SNの分解能より近いので、ASAS-SNのMT Gemのデータにはこの光が混入して観測されています。

そこで、この光量を差し引かなければなりません。(deblendといいます。)

そうやって作成した位相図。緑が昨晩の観測データ。

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第一極小付近の拡大図です。

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カーブが結構うまく重なりますね。

3年余り前に研究したOT Lacの位相図をASAS-SNデータで作ってみた

OT Lacの周期は私が2014年に見つけるまでわかっておらず、その年の11月にVSXに登録できました。

muttenz.hatenablog.com

周期が長いので全位相を観測するのは大変で第二極小と第一極小の間はほとんど埋まっていませんでした。今日思いついてASAS-SNデータを使って位相図を作りました。

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上のはここ3年間のデータによります。

下のは私と広沢さんの観測で作った位相図です。2014年秋のデータです。

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第一極大で尖った部分があったり、第二極大が平というのは相変わらずのようです。

食の部分はやはり連続測光観測の方がきれいにカーブが出るという印象です。

食変光星FG Aurについて

この変光星を2014年に調査し始め、観測して、ついついほったらかしにしてあった事に「2017年をふりかえって」の時に気が付きました。

元日から一気に調べまくって昨日セバスチャンにメールを書いてみてもらいました。そして、今日この星の要素の改訂をVSXに報告して、先程OKが出ました。

これがその為の位相図です。

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ピンクはNSVSのデータ。黒はASAS-SNのデータです。黒は全位相にわたって、食外ではほぼ平坦ですが、ピンクでは食外で明らかに変動しています。第一極小前より後のほうが明るいです。

第一極小付近です。

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食の継続時間は周期の10%なので、13.6日の一割、1.36日も継続することになります!

極小付近の緑は昨年の観測でした。

muttenz.hatenablog.com

VSXのサイトです。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=3933

 

もう一つカレンダー

昨日は歳時記カレンダーの事を書きましたが、家内の実家の方から私の趣味を鑑みて、素敵な星のカレンダーを送ってくださいました。

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でも、このカレンダーには各月ごとの写真の説明がありません。

そこで、クイズ!

この表紙の写真はどのあたりを写したものでしょうか?答えをコメントに書いてください!正解でも賞金は出ません。。。