スイスでもV432 Lyrの第一極小を観測できました
昨晩、10月10日夜19.9UTに第一極小があるはずでした。天気に恵まれ、朝方霧が出るまで、第一極小をかなり長くほぼ対称に観測できました。
日本での、水谷さん、赤澤さん、大倉さんの観測から得られた元期と周期で今回のデータから位相図を作りました。この極小はそれ以来3周期経過しています。
O-Cを計算してみましたら、-0.0012 d.ぐらいでした。
周期未知の食変光星V371 Cas を観測してみた
ほぼ1年前にカシオペア座の周期未知の食変光星の周期をASAS-SNのデータを使っていくつも探しました。その一つがこのV371 Casです。
この時に見つけた要素で予報を出したら、昨晩、10月8日19.3625UTに第一極小があるはずでした。
この星に望遠鏡を向けて少々びっくり、もう食もかなり進んでいて大変に暗いです。ピントがなかなかピッタリと合わず、データで欠けてしまったところがありました。
これがそのライトカーブ。でもAIP4WINで測光したら極小のあたりも測光できました。一番暗いときには17等台でした。
望遠鏡を反転する前にmuniwinで変光星探しをやったら、一つ見つかりました。
変動幅もかなりあり、既知の変光星かとVSXで調べたら出ていません。ASAS-SN Variable Stars Database にも出ていません。念のためにWISEのリストを見たら記載されていました!残念!やはりWISEのリストはまだVSXに組み込まれていないですね。
V583 Cyg の第二極小への減光を観測できたかもしれない?
周期未知の食変光星 V583 Cyg を再び観測 - muttenz's blog
前回のブログの続きです。
今朝、26.6時UT=夏時間の4時半ごろに第二極小があったはずで、昨夜は21時過ぎに観測開始。雲が頻繁に通過する悪条件で、最後には霧が発生して食の中心には程遠いところで終了でした。
ちょっと小さくて見にくいかもしれませんが、先日の第一極小と並べてみます。
なんとなく僅かですが減光しているように見えませんか?
今までの位相図に入れました。
黒のAAVSOのデータは明らかに明るすぎます。これらをカット。フェーズ-0.5から0.5にしてみました。青が昨晩のデータです。
前回の第一極小付近の位相図を見ると食の継続は約-0.06から+0.06まで。
今回のはフェーズ0.44より少し早く減光しているようです。
まあ、とにかくこの変光星の周期は今仮定している周期の2倍ではなく、そのままで良さそうです。
周期未知の食変光星 V583 Cyg を再び観測
これの続きです。
この第二極小付近を先日赤澤さんや大島さんが観測してくださったのですが、食の深さが不明なのと極めて長い(約14時間弱)ので得られた光度が食外と比較してみないと食だったのかどうか判断できません。まだ、こちらの方は結論が出ていません。
昨日10月5日夕方16.932UTに第一極小があるはずでした。その時刻にはまだ明るいので日没後できるだけ早く観測を開始しました。そうしたら、まだ皆既食の最中で、そこからの増光と復光を観測できました。
薄雲で時々濃いものが通過して残念ながら復光あたりからデータに乱れが多いです。
早速このデータを今までの位相図に入れました。
あれれ~、AAVSOのデータは明るすぎ。ピンクのCOOさんはまあまあ。他のは完全に明るすぎます。おそらくすぐそばの11等の星の光が混入しているのでしょう。
食外光度はVで15.1あたりでしょうか。APASSのデータもほとんどが隣の11等の星で、唯一V583 Cygを測ったらしいのが15.2等となっています。(赤い点)
第一極小付近の拡大図。
皆既食は10時間弱継続することがはっきりしました。
新変光星 KaiV83 をVSXに登録できました!
先月立て続けに新変光星を見つけましたが、それらを立て続けにVSXに登録しています。
これの続きです。
たった二晩の観測でしたが、それでも周期は十分に絞ることができました。観測データから作った位相図です。
そして今ではありがたいことにASAS-SN Sky Patrolのデータがあります。ただしASAS-SN Variable Stars Databaseにエントリーはなく、ASAS-SNのグループには発見されなかったわけです。
それをダウンロードしてPDMで周期を求めたら0.3647691日と出ました。ASAS-SNのデータで作った位相図です。
両方のデータを組み合わせたら、ASAS-SNのデータから得られた周期でぴったりです。最後の桁の1を取り除いても見かけ上全く変わらないので、0.364769日を周期としました。元期は私の観測データから極小時刻を求めたものを使いました。
この位相図と要素で今日VSXに登録申請したら、先程OKのメールが来ました。
ただ、タイプを私はELLと判断したのですが、セバスチャンはEWにしました。
そう言えば、極小は尖っているけど極大部分が丸っこいですね。いつまで経ってもこの判断は難しい!
新変光星 KaiV84 をVSXに登録できました
これの続きです。
この新変光星、KaiV84をその後続けて数晩観測しました。最初はELLかなと思ったのですが、ASAS-SNのデータをダウンロードして見たら、どうもEBくさいです。
これならASAS-SNのデータを少しずらせばもう登録できるかと思われました。
念のためにもう数晩観測を続けたらちょっと不思議なことに気づきました。
周期は一定なのですが、極大光度や極小光度がどんどん毎日のように変化するのです。
これはなんだろうと大島さんに相談したら、二つの可能性を指摘してくださいました。1.脈動変光星でいくつかの周期が重なっているのではないか。
2.食変光星で黒点ないし白点が増加、減少しているのではないか。
とのことです。脈動変光星の場合を考えてPeriod 04で多重周期を探したらいくつも出てきたのですが、基本周期とその半分はほぼ一定なのですが、他の周期はどんどん違うものが出てきます。それでも観測データを説明するには十分な精度が得られます。
得られた多重周期
その合成カーブと実際の観測のカーブ。
位相図に使った5晩のデータをかなりよく表せています。いくつかの例です。
9月15日
9月17日
9月20日
といった具合。
しかしこのぐらいの周期の脈動変光星というとRRLyraeぐらいなのでそれにしてはふたこぶあるのがおかしいです。
とうとうセバスチャンにメールを書いて、これはなんだろう?と訊ねました。
彼の意見ではEBでRSタイプ。大島さんのご意見の2番目の可能性の方です。
こんなに毎日黒点やら白点ができたり消えたりするものかという感じはするのですが、その線で昨日VSXに報告しました。
今日受理のメールが来ました。これが新変光星のページです。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=624712
ちょっと気になる変光星です。
V443 Cas のデータ改訂をVSXに登録
昨年この変光星について何度もブログに書いています。
カシオペア座の周期不明の食変光星の周期をASASSNデータで探そう - muttenz's blog
この後数回書いています。
もう一度概略を書きますと、V443 Cas は1967年のAN (Astronomische Nachrichten) にHoffmeister が1939年の発見を報告しています。(彼はこのあくる年1968年になくなっています。)ただ、一回の極小しか記録されておらず、もちろん周期もずっと未知のままでした。GCVSやVSX、O-C Gatewayにも周期は書かれていませんでした。
VizieRには最近になってパンスターズのデータから作られたRRLyrae(!)のカタログに周期が載っていて、0.2228.....とありますが、今回デタラメと判明。
例のごとく昨年ASAS-SNのデータを使えるようになってすぐに周期がわかり、昨年、第一極小を私と倉敷の赤澤さんが観測できました。
V443 Casの続きです - muttenz's blog
しかし第二極小をきちんとは観測できず、昨シーズンは終わってしまい、VSX登録もできませんでした。
今シーズンになって9月27日に第二極小観測のチャンスが到来。できました!
これを昨年来の位相図に入れました。
これでVSXに登録できます。今朝登録して、めでたく、先程OKのメールが来ました。VSXのサイトです。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=6774
赤澤さん、どうもありがとうございました!