muttenz's blog

スイス星空だより

ASASJ071404+7004.3を観測 周期解析のつづき

21日と24日のデータを合わせた昨日の周期解析は、21日の急速な増光が0.23日の間隔で起こったので、周期が0.2-0.3日の範囲と思い込んでやっていました。

今朝になって、はたともう一度周期を0.1-1日の広い範囲でPDM解析をするべきではないかと気が付きました。

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21日24日のデータを合わせて周期0.1-1日の範囲でPDMで解析

はたして、0.2-0.3の範囲のところより0.4-0.5の範囲でもっと強いピークが出ました。0.4612294日です。

これで位相図を作りました。

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結構良い感じです。これを見ると、急増光(フェーズ0.0付近)は24日には観測されていなかったです。しかしフェーズ0.5-1.0での細かい増光がかなり合っています。

以前、まだ21日の観測だけだった時にVSOLJ-obsに伊藤さんが報告されていたのと合わせて周期を探したことがあるのですが良くわかりませんでした。それを思い出して、この新しい周期でどうなるか試みました。

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伊藤さんの観測(2月10日青)、笠井の観測(2月21日赤、24日緑)

いや、実にぴったりです!(伊藤さんの観測はC-filterで、しかも比較星も異なるので

-11.680-0.65 ずらして、私のdVmagに合うようにしました。)

それならばと、伊藤さんのデータと私のデータを合わせてPDMで解析しました。

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伊藤さんの観測と私の観測を合わせてPDMで解析

伊藤さんのと私の観測が10日以上離れているのでピークが細くなりました。(精度が上がった)得られた周期 0.4612556 +/- 0.000029

この周期で位相図を作りました。

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この位相図のフェーズ0.5-1.0を拡大してみると

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上の位相図のフェーズ0.5-1.0付近の拡大図

フェーズ0.9からの増光がぴったりです!

ところで、この0.4612556は、以前21日の急増光が重なるように探した周期0.230のほとんど2倍です。なので当然2番めの急増光がちょうどフェーズ0.5に来ています。そこで、念の為に周期を半分にした位相図も作ってみました。

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もちろん重なる部分はありますが、ゴチャゴチャであまり信頼できないですね。

これからの観測で、この見つかった周期が合っているかはっきりするでしょう。

ASASJ071404+7004.3を観測 続き

昨晩、2月24日夜も、雲の通過があったりしましたが、かなり長く観測できました。

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21日夜のフレアのような増光は受かりませんでした。なので周期性があるのかもよくわからないライトカーブとなりました。

21日のデータと合わせてPDM解析をしてみましたら、周期として0.2486(1)日が出てきました。

昨日のブログの位相図の元期をそのまま採用して周期を新しい周期にして位相図を作りました。赤は21日夜のデータ、緑が昨晩のデータです。

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どこが重なっているのかよくわからないほどゴチャゴチャしています。

今朝のVSNET-alertで加藤さんが周期として0.2482を書いておられたので、その周期でも位相図を作りました。

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フェーズ0.5-1.0のあたりのライトカーブが重なるように見えます。0.2-0.4あたりも重なっているような気がします。

天気予報では、これからまた悪天候の様子で当分観測はできない見込みで、残念です。

今夕のニュースでスイスで初の新コロナヴィールスの患者が見つかったそうで、いよいよこちらにもやってきました。その方はミラノに出かけていたそうです。他にオーストリア、クロアチアでも患者が見つかって、ヨーロッパにもじわじわと広がり始めています。

ASASJ071404+7004.3を観測

2月21日はよる久しぶりに一晩中きれいに晴れて長い観測ができました。

観測したのはASASJ071404+7004.3というCVで、赤緯が70度を超えていて、当地の緯度も高いので夕方19時ころから明け方5時半まで観測できました。

大変に変化の激しいライトカーブが得られました。変光範囲はVで0.2等くらいです。

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よく見るとまるでフレアのように急速に増光しているところが2回受かっているので、そのあたりで全データを2つ、赤と緑に分けました。

全体にはやや減光しているようなので lfit を使ってその減光傾向を取り除き、周期解析をして急増光の部分が重なる周期を求めてみたところ、0.230d.となりました。その周期と一番暗かったデータポイントを元期として位相図を作成しました。

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VSXには周期は記載されておらず、ここで見つかった0.230日の周期が何を意味するかはわかりません。22日、そして今夜も天気は悪く、この続きを観測したいのですが、残念ながらできません。

もう一つDSCTタイプの新変光星をVSXに登録 KaiV106

今月16日にMisV1398を観測してデータを処理していたらDeltaScutiタイプらしい変光星を見つけました。

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KaiV106の発見

それ以後天気が良い夜があまりないので観測できませんでしたが、幸い2018年12月、2019年12月の観測があったのでそのフレームからKaiV106のデータを集めて周期をかなり詳しく決定できました。その要素を使った位相図です。

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変光幅はわずか0.02等で、さすがにこれはATLASも検出していませんでした。

昨日VSXに登録申請したらすぐにOKが来ました。78個目でした。

https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=1540539

1月16日のMisV1398は第二極小があり、そのライトカーブ(位相図)です。

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緑色が1月16日のデータ。黒は以前の観測データ。

 

V371 Casを観測 位相図の謎?

新年に入ってからわりと天気が良く、昨晩(5日夜)も一晩中晴れていました。

2年前に一度観測してずっと休んでいた星、V371 Casの極小があり、それを観測できました。

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一番暗いときは17等台になりました!

 

今までの観測(たった2回)とAPASSやASAS-SNなどと組んで以前に位相図を作成しました。周期と元期はGCVSにありました。

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これだと位相0.5になんの変化もなさそうです。

そこで2倍周期でASAS-SNデータの位相図を作成してみました。(元期が上のとはちょっと違っていますが)

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なんとなく極小の深さが違うように見えます。ひょっとしたら周期はGCVSの2倍かもしれません。その要素で予報を出していたら昨晩に第二極小があるはずでした。

はたして、第二極小の方が第一極小より浅いとの観測結果が出ました。

位相図です。

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ただ、この結果に頭を悩ましています。

図としてはEAで良くある形なのですが、その食の深さが深すぎるように思われます。

第一極小は約2等級の深さ、第二極小は1.5等級の深さです。

こういうことはあり得るのでしょうか?それぞれの極小値がそれぞれ伴星、主星の明るさだとすると合成等級は16.8等ぐらいにしかならないのです。それとも周期は二倍ではなく、暗い方の星が変光しているのでしょうか?

どなたか、この謎を解くアイデアを教えて下さいませんか?

大晦日の観測から新変光星!

あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします。

このところブログ更新が少なくて申し訳ございません。観測できる夜が極めて少ないのです。

大晦日の昨晩も、暗くなったばかりは素晴らしく晴れていたのですが、スイスの冬によくあるように9時過ぎあたりから透明度が落ち始め10時頃にはベタぐもりになってしまいました。

それでも得られた観測フレームをチェックしていて一つ変光星らしいのを見つけました。

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これはどうもDSCTのようです。VizieRでその星をチェックしたらATLASの記載があります!しかしdubiousの分類!

自分の観測記録を見るとこのV431 Casを2回2018年と2019年に観測しています。その観測フレームと合わせてデータを取り、PDMにかけたら周期は0.0901151日と出ました。昨晩の極大を元期として位相図を作りました。

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これで、変光星は確実です。ATLASに記載されていた周期は0.180230で、PDMで見つけた周期のちょうど2倍でした!(2倍は0.1802302)

ATLASの解析も素晴らしいです!(外れていることも多いのですが。。)

昨晩の観測は3時間にも満たないものでしたが、一本釣りで大魚を見つけた感じです。

ATLASの分類がdubiousなので新変光星発見にできるでしょう。