食変光星 IO Com
例のBAV(ドイツの変光星観測者の団体)で見られる表、どの食変光星がいつ最後に食を観測されたか、を系統的に見てみることにしました。(今まではこれから観測シーズンを迎える星座で見てきたのですが。)そこで、アルファベット順に見てCom、かみのけ座に来てます。そうしたら、タイトルの星、IO Comの最後の食の観測は1989年3月に一回だけの観測となっています。
そこで、VSXに行ったら周期も元期も不明の扱い。文献を見たらIBVS3332が記載されていて、リンク先を見ました。
http://articles.adsabs.harvard.edu/full/1989IBVS.3332....1O
著者は大島さんと伊藤さんで、立派な観測の詳細な報告です。そしてそこには元期として2447605.150、周期として53.1887日が書いてあります。
どうしてこのデータをVSXは(GCVSも)採用していないのだろうと不思議に思いました。その一方で、スペインのグループのオンラインのデータのリンク先もVSXには載っています。ここでは、タイプEAと書いてありますが、「この星が変光していないのでは?」と言いたげです。もし周期が50日もあったら、6回ぐらいの観測で変光が全く引っかからなくても、むしろあたりまえだと思いますが。。
http://sdc.cab.inta-csic.es/omc/var/1464000025.html
そこで、あちこちからデータをかき集めてみた。
ASAS、NSVS、SWASP、KWS。(TAOにもデータがあるのですが残念ながら少ないです。meinekoさんごめんなさい。)
NSVSはほとんど変光なしで極小は観測されていないようだ。(IBVS 3332によるとVで0.25等ほどの減光とわかっています。)
そこで、IBVSのepoch、Pでそれぞれのデータセットからphase plotを作った。
ASAS
SWASP おそろしく暗いデータもあるが、変光範囲0.25等をはるかに超えているのでそういうデータは切り捨てた。
KWS
おお、ここではフェーズ0.0に載っている暗いデータがある!ただ、他の暗いデータは完全にハズレ。しかもフェーズ0.0のあたりでいくらでも上の方に点があって極小の様子は全く見られない。
以上のようにかき集めたサーベ―データで見た限りでは、残念ながら上記の元期と周期は現在では合わないようだ。
補遺。SWSAPデータについて。
SWASPデータはあちこちですだれのように減光しているように見える。
が、これが曲者で、例えばこのデータの部分(一番右の大きな変光している所)を拡大するとこのように減光や増光ではなく、はちゃめちゃなライトカーブ。
なので、SWASPデータを扱う時はかなり注意がいるようだ。
(どうしてこんなことが起こるのだろう。そしてこんな状態でよくExoplanetを見つけられたものだ。)