昨夜はKaiV91の第一極小があるはずでした。。。。
このEAタイプの新変光星KaiV91は2月12日にFY Oriの観測中に見つかりました。
その後、最初に仮定した周期が間違っていることがわかりました。
このあとで、周期は決定的と考えて予報を作りましたが、周期がほとんど2日に近いため、極小がまた観測できるのは3月下旬となりました。
ようやく予報では昨晩第一極小がまたあるはずでした。。。。
今朝観測データを整約してどうもおかしいです。昨晩透明度が芳しくなくスキャッターはありますが、肝心の減光も増光も全く見られません。これは勘違いして別の星を測光したかと思い、よく見たら実際に隣の星を測光していました。よしと、正しい星を測光しましたがやはり減光も増光も受かりません。。観測結果を破棄しようかと思いましたが、それでもデータを採り、位相図を作ってみました。ピンク色のデータポインが昨晩のデータです。
見事に第一極小の谷の上に昨晩の観測データが来てしまいます。
これは周期があっていないことの確かな証拠です。昨晩のデータも加えてもう一度PDMで周期を探しました。
もちろん、こんなのっぺらぼうのハズがないので、周期はこれの整数倍となるはずです。2倍にしてみます。
さらに2倍にしてみると。
極小光度に二通りあるのでこれで良さそう。この周期2.0368004は当初考えた周期2.0472904とほとんど違いはないのですが、この15分ほどの違いで予報が外れたのです。やはり観測データの積み重ねは大変に大事だとわかった次第です。
UGEMをいろいろと試みてみた
昨年6月頃だったと思いますが、前田さんが大々的にUGEMのことを宣伝してくださって、それ以来もう多数の方々が使って成功しておられるようですね。当時私も28cmのシュミカセ画像で試みて、それなりに上手く行ったのですが、主目的の食変光星観測にはそれほど使う意味がなさそうで、それ以来ご無沙汰してしまいました。
最近になって、40年近く手元にある10cmの反射とキャノンのDSLRと組んだらどうかと考え、ボロの赤道儀の電源を作り28cmのそばに置いていろいろと試みてみました。
10cmの主焦点にキャノンを置いてノーガイドで10秒露光で撮影して、UGEMで測光してみました。ただ、ボロの赤道儀はGotoではないので変光星を導入するのが面倒くさいです。試しにはちょうど見やすい位置にあるプロキオンを2分おきに約1時間40分撮像。ちゃんと整約でき、すぐそばにAK CMiというのがあるので、その星のデータの座標をvarlistで有効にしてUGEMで測光しました。うまく動いてくれて感激です。
HZ Gem 付近の変光星
この続きです。一昨日から天気が安定して良くなり満月ですがなんとか観測しています。HZ Gemのそばの新変光星KaiV92はVSXに登録できましたが、もう一つの新変光星、KaiV93の第二極小が2月中には観測できず、ようやく昨晩観測できました。
本命のHZ Gemの方も第二極小を一昨晩観測できました。
第一極小の方も2月には完全には観測できておらず、幸い今晩も晴れているのでただ今観測中。
KaiV92も健在で、毎晩変光しています。
GSC 3807-0759 (4重星)を再び観測 フレアー?
昨晩はXY Tauを沈むまで観測し、その後先月観測した4重星のGSC 3807-0759を朝まで観測しました。この星独特の奇妙なライトカーブにさらに今回はどうもフレアーらしいものが受かりました。
2回の極小のあとで増光中にフレアーが約5分間見られたようでその後もカーブがやや明るいように思われます。
一つ不思議なのは2回目の極小の底で奇妙な変動があることです。
アパーチャーサイズを思いっきり小さくしてもフレアーの方は検出される一方、アパーチャーサイズを大きくとっていくと2回めの極小に見られる変動が出てくるので、こちらの方はひょっとしたら不良ピクセルのためかもしれません。なので、この星像の中に安定しないピクセルがあることも考えられるので、星像を拡大して調べていますが、今の所犯人らしいピクセルは見つかりません。
なお、雲の通過のようなことは画像を見たところなかったようです。
新変光星 KaiV92 をVSXに登録
この記事にあった、HZ Gem を観測中に発見した2つの新変光星のうち、周期の短い方のKaiV92をVSXに登録できました。
APASS、ASAS-SN Sky Patrol、私の観測データを組み合わせられる周期が見つかり、その周期で作成した位相図です。
この登録で70個目を達成できました。
XY Tauという変光星
vsolj-obsにBさんが何度か報告でおかしな星だと書いておられ、一度vsoljのメーリングリストに加藤さんが
XY Tau とは何者か見てみると、 http://adsabs.harvard.edu/abs/1927AJ.....37..155R の No. 186 のようです。
と書いておられました。
確かにVSXには、ミラ型で206日の周期とあります。それならばASAS-SN VSDBでどうなっているか見てみたくなりました。
https://asas-sn.osu.edu/database/light_curves/122399
なんとこんな位相図が出てきました。
周期は3日弱とありますが、フェーズ0.0.から1.0の間に3回山があります。
これはおかしいですね。データをダウンロードしてPDMで周期解析をしたら、一日にホンのわずか足りない0.9993066が出てきました。それで作った位相図です。
変動範囲が狭いのでELLでしょうか?その場合は周期を2倍に取らなければなりません。
数日前、天気予報では曇りと出ていたのですが雲が切れているようなのでこの星を試しに撮ってみました。
これと言った変動は見られません。もし上記のELLのような変光星であれば、この程度の時間でも変動は受かるはずなのですが。。。なお平均光度はAPASSの値 11.889ぴったりでした。
私の受ける印象としては、ASAS-SN VSDBのライトカーブから見られるように、この星はかなりゆっくりわずかに変動しているのが、たまたま1日弱とか2日弱とかの見かけの周期が出てくるのではないでしょうか?(いつか書いたように観測間隔の恒星日が見かけの周期として出るのかもしれません。)
山本さんが発見されたミラ型の新変光星 続きです
これの続きです。周期も位相図もこれで良いかと気楽に考えていたのですが、とんでもない。セバスチャンにこの変光星の周囲には微光星がいっぱいあって、それらの星の光をサーヴェーデータから取り除かなければならないとのメールが来ました。
それでも、彼が親切に時間をかけてその中から4つの明るめの重要な星を選んでくれました。それとGaiaのデータとの同定が大変でした。数字だらけの世界!
この新変光星の周囲、半径20秒以内の星をVizieRで出させるとGaiaのデータでなんと70個ぐらいあるのです。そのうちの50個しか表示してくれませんが。明るめの星のGmag BPmag RPmagを調べ、それからV等級を出し、それらを使ってAPASS ASAS-3 ASAS-SN のデータをdeblendする作業をして、もう一度位相図を作り直し、周期も求め直し、変光範囲を評価し、2日間かけてようやく満足の行くものにしました。今日昼間にVSXにデータ改訂の申請をして先程、OKが出ました!
昨日はもう目がショボショボになるほど疲れました。終わったー!
これが位相図です。
山本さん、新変光星登録おめでとうございます!
ここで見られます。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=686686