宇宙の「プランクトン」矮小銀河と暗黒物質の問題
というタイトルで、昨晩バーゼル大学の天文学教授のB. Binggeli氏が退官記念講演を行い、聴きに行きました。教授の講義は2012年にずっと受講して大変に面白かったので、今回も楽しみにしていました。
ユーモアも交えて暗黒物質がツヴィッキー(Zwicky、なんとスイス生まれです!Glarusの出身ですが、後にUSAに移りました)によって初めて指摘されたあたりから現在までの研究をわかりやすく、しかも問題点をうまく突きながら説明してくださった。
最後の方で、彼の研究室の若手の天文学者Oliver Müller氏が数年がかりで観測したケンタウルスAの近傍の矮小銀河の分布と運動を紹介してくれました。
私が理解したところでは、いまのCDM(Cold Dark Matter theory)によれば、大きな銀河の周囲には相当多数の矮小銀河がほぼ一様に存在するはずだが、我々の天の川銀河でもアンドロメダ銀河でも矮小銀河が平面的に分布しており、しかも大銀河の回転面にほぼ直角をなしていて動きも互いに関連しているそうです。そのような状態が他の銀河でもさらに見つかるのか、Oliver Müller氏は有名なCentaurus Aの近傍を観測研究し、そこでも上記のような分布が見られると今年Science誌に発表したそうです。
これのような事例が3つも見つかって、とても偶然ではすませられず、CDMの理論ではうまく説明ができないのではということになり、CDM理論の見直しが迫られるかもしれないとのこと。
矮小銀河がこのように偶然に並ぶのはCDM理論では1%以下の確率だそうです。
この研究をScienceに発表したOliver Müller氏は右から2番めの人。
このホールの壁は有名な歴史的科学者たちの肖像画が所狭しとかけられている。
YoutubeでOliver Müller氏(左)と仲間の説明が見られます。