2年前に見つけた新変光星、KaiV54 をVSXに登録
2年前にカシオペア座に現れた矮新星ASASSN-16msを観測中にKaiV54を見つけました。17等台で相当に暗く、UCAC4カタログには記載されていません。
上が当時のブログの記事です。
以来、シーズンの度にちょっと観測してみますが、なかなかデータが採れません。
先日、12月11日に一晩中観測出来てまあまあのデータが得られたのでここ2年のデータと組んだら周期が相当細かく決められました。
早速位相図を作って先程VSXに登録申請したらもうOKが来ました。
これが位相図。
緑がVフィルターの観測データ。ピンクはそれに合うように0.33等明るくずらしたクリアーフィルターの観測データです。
登録したページです。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=625860
同好会誌 Orion の続きです
先日書いたOrionには日本のハヤブサ2についての記事がかなり詳しく出ています。
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Wandfalkeというのはハヤブサの訳ですね。竜宮がUnterwasserpalastと訳されていますが、Unterwasserは水中、Palastは宮殿で、水中宮殿という感じです。
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写真は着陸(?)実験の際に表面から21mの距離で上昇中に撮られた、と説明がついています。
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ドイツとフランスの協同制作のMASCOTについて書かれています。
4ページ
MASCOTが竜宮の表面で投下ごどのように動いたかの経路の写真が掲載されています。
もちろん、ハヤブサ2がこれからどのようなことをするかについて詳しく説明されています。
また、以前ハヤブサ1が持ち帰った物質の一部はチューリッヒのETHに持ち込まれ、研究されているとのこと。
やはり日本人として、日本がこのようなことができ、それがヨーロッパでも高い評価を得ていることは大変に嬉しいし、誇らしいことです。
スイス天文協会同好会の会誌 ORION
スイスにはアマチュア天文家の集まりがあり、SAG (Schwizerische Astronomische Gesellschaft) といいます。一度ブログでその集まりのことを書いたことがあります。
その同好会で年に6回、隔月でOrionという名の会誌を出しています。今年はOrion創刊75周年だそうで、かなり歴史のあるものです。最新号の表紙です。
これは皆さんご存知の「月への第一歩」ですね。内容全部を紹介するのはちょっと多すぎるので、一部をご紹介しましょう。
来年早々1月21日の未明にスイスで皆既月食がはじめから終わりまで見られるという記事です。日本ではもう夜が開けて月は沈んでいますね。
次の記事は、まだ私は見たことがないのですが、スイスの200フラン札が新しくなるそうです。その図案が実に変わっています。宇宙の創生から形成の歴史を描いています。
左下の円内はビッグバンを、その後に素粒子が作られ、それから水素とヘリウムが作られた様子を表しているそうです。
もっと離れると星や銀河、そして太陽系が形成された様子が描かれています。
右上の写真はスイス国立銀行のアプリをダウンロードするとリアルタイムでお札の周りに今の惑星の配置が見られるとか。。。
左下の部分を拡大しました。
小さな字でプランク期、インフレーション期、などなど細かく時代区分と時間経過が書かれています。
スイスもなかなかやりますね!
昨年発見した新変光星、KaiV74の周期を見つけた
この続きです。
KaiV74はUCAC4のカタログに記載されていない、かなり暗い星です。なのでASAS-SN Variable Stars Databaseにもいろいろなカタログを見ましたがどこにも変光星として記載されていません。
データがずいぶんたまったので全部ひっくるめてPDMで周期を探したら、あっさりと出ました。約半日の周期です。暗いため、位相図もスキャッターが多いです。
ただ、タイプに自信が持てません。一応ELLとしてVSX登録を試みました。セバスチャンがどう言ってくるでしょうか?
もう一つDSCTタイプの新変光星をVSXに登録
今回のはKaiV81で、楕円軌道を持つV426 Lyrの観測中に発見しました。
9月9日の発見画像です。
周期がかなり短いのは一見してわかりますね。45分です。
これが作成した位相図。
昨日の2つより極大付近が尖った印象の上、Gaiaのデータによると4144パーセクと遠い星で、Mvが1.7ぐらい.なのでセバスチャンにこれもDSCTかと尋ねたら、周期といいMvもA3ぐらいに対応するし、DSCTにピッタリだとのこと。13000光年も離れた星というのにはちょっと驚きました。
VSXのページです。
https://www.aavso.org/vsx/index.php?view=detail.top&oid=625785
ふたつのDSCTタイプの新変光星をVSXに登録
今年後半に発見したDSCTタイプの新変光星を無事VSXに登録出来ました。
一つはKaiV86で、このところブログに書いていたKaiV87と同じようにV583 Cygを観測していて気が付きました。発見した日のライトカーブです。
DSCTを見つけても、それが比較星の変動ではないことを確かめないといけませんが、これは比較星をいろいろと変えてもこの変動が見えるので明らかでした。
もう一つの方はKaiV80で、8月にV931 Ophの観測中に見つけました。V931 Oph の周囲では2年前の観測で6つも新変光星が見つかっていました。
ここに新たにDSCTのKaiV80が加わりました。8月19日の発見画像です。
これが今までの観測全部から得たデータで作成した位相図です。
飽和や反転のギャップを避けるために比較星やチェック星を今までのから変えて半日がかりで観測全部を測光しました。昨日VSXに報告して登録出来ました。54個目。
KaiV87 の第二極小を観測した?
昨日の続きですが、書いたように第二極小を観測することが大事と思っていたら、幸運にも一週間後の11月29日にチャンスが来ました。今までの食要素での予報は22.74UTです。天気がまた不安定で雲が時々やって来ました。
その晩のライトカーブです。
雲が来て、ライトカーブに穴が空いてしまいました。しかし、予報の22時すぎには20時ごろよりむしろ明るくなっているように見え、ちょうど雲のために空いた穴あたりが一番暗くなっているようです。これはおそらく雲が来たためにあたかも減光しているようになってしまったのだろうと思いました。
それでもとにかくこの晩のデータを位相図に入れてみました。フェーズ0.5直前の青のデータです。
そのあたりを拡大してみます。
なんと、以前に観測した少々減光しているデータ(黒色)にピッタリと重なります。この減光は雲のせいではなさそうで、その後スキャッターがひどいものの、どうも増光しているようです。
まだ確実とは言えないのですが、この第二極小はフェーズ0.5より少し早く来て、弱い楕円軌道かもしれません。
このところ、そしてこれからもしばらく天気予報がよくないので、これを確かめるチャンスがいつ来るか皆目見当がつきませんが、いつかやれるでしょう。それを楽しみに待つことにします。