3つの測光ソフト、AIP4WIN、Muniwin、AstroImageJを実際に測光して比べてみた
今年の変光星観測者会議の集録に、鈴木仁さんがAstroImageJの使い方を大変丁寧に詳しく書いてくださったので、実際に使ってみることにしました。鈴木さん、どうもありがとうございました!
(ここから集録をダウンロードできます。http://vsolj.cetus-net.org/VSCong2017.pdf)
そこで、使い慣れている二つの測光ソフトと実際に測光して比べてみることにしました。測光には昨年12月28日にV343 Lacを観測したフレームを使いました。ダークやフラットの処理はすでにしてあります。
星のアパーチャーサイズは(ほぼ)4(Muniは3.8)、スカイは7、11です。
得られたライトカーブです。DSCTのような0.03等ぐらいの変動が受かっています。これについて永井さんが同じ集録で書いておられます。
AIP4WIN
Muniwin2.1
AstroImageJ (remove star from backgroundのオプション、オン)
AstroImageJ (remove star from backgroundのオプション、オフ)
こう見ると、どのソフトでもかなり同じような結果が出ています。ただ、AstroImageJのオプションをオフにすると、今回比較星のそばのスカイのアパーチャーに入っている星の影響が出て、少々ライトカーブが明るく算出されてしまうようです。
各フレームでのアパーチャーの置かれ方(星の追跡のされ方)ですが、AIP4WINでは、V、 C1、C2の星々をそれぞれ独立して追跡させました。
Muniwinでは最初に各フレームから星を検出して星の配置からフレームをアラインメントし、検出された全部の星の測光をするので、星が移動しても、望遠鏡を反転してもほぼおなじ写野であれば、一晩であろうが幾晩であろうが観測フレームを全部入れて測光しても問題ありません。(これが非常に便利です。たとえ雲の通過でほとんど写っていないフレームがあってもそのフレームが測光されないだけで、そこで測光が中断されるということは起こりません。)(ただすごい量を入れると計算が遅くなったりしますので、程度問題です。)
AstroImageJではAIP4WINと似たやり方ですが、必要ないフレームを一旦入れたスタックから削除するのが大変やりやすく、その点ではAIPより良い感じです。(AIPだとせっかく連続測光しているのが中断したり、ソフトがダウンしたりして不便です。)
測光のデータとしてはどれも同じような結果が出たのでどれも信頼できるものと思いますから、後はどれを選ぶかは個人的な使い勝手や使用目的によると思います。(変光星探しにはMuniwinが圧倒的に便利です。)